新美南吉童話集 (岩波文庫)

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  • 岩波書店
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レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003115015

感想・レビュー・書評

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  • 特に印象に残ったのは赤い蝋燭、屁、牛をつないだ椿の木。

    赤い蝋燭はいかにも童話的な、動物を主人公としてた、優しくも楽しげで温かい世界が描かれ、読んでいて温かい気持ちになる。

    屁という作品は児童向け童話にしては難しいのではないか。着眼点は非常に面白い。ある事件をきっかけに、主人公の周りの世界が変わって見えてしまう。世界とは不安定なもの、というのを実にユニークな視点から描いている。この短編の末尾もまた、短刀のように心にちくりと刺してくる。

    牛をつないだ、は後半での母のセリフに主人公がはっとなり改心する場面が好き。

    世界も人も変わっていく。その残酷さ、無情さ、しかしそれはそれで仕方ない。その中でも人のよき心というのは変わらないはず。そこにつながりを求めたい…というような作者の想いが、全体の物語の内に、流れているメッセージのような気がした。

  • 小学生の頃、新美南吉童話で知っていたのは教科書に載っていた「ごん狐」と「手袋を買いに」の2つでした。
    特に「ごん狐」は大好きで、寂しがりやで根は悪くは無いものの、ついつい村人にいたずらをしてしまう子狐が、可愛らしくてたまらなかったものでした。

    大人になってからは、新美南吉の「光」の描写の上手さに驚きました。
    こぎつねの可愛らしさがこれまたたまらない「手袋を買いに」ですが、雪の光、月の光、街の灯りなどの日本語描写が本当に綺麗です。

    今回、この『新美南吉童話集』で初めて読んだ短篇は幾つもありましたが、どれを読んでも心が洗われる思いでした。
    その初めて読んだ中でもとりわけ好きだなと思ったものは、「赤い蝋燭」と「おじいさんのランプ」でしょうか…。

    また「竜宮城のような」という形容詞は、2度出て来て印象的でした。1度目は「最後の胡弓弾き」、2度目は「おじいさんのランプ」です。

    最後に蛇足でありますが、
    チェコの童話作家でもあり挿絵画家でもあるヨゼフ・ラダも大好きでして、
    ヨゼフ・ラダも新美南吉も、どちらも明るくほのぼのとしたユーモアを根底には持ちつつ、牧歌的な風景を描くのが得意な童話作家かな…と、個人的には思っております。

  • 短編集といってもいいぐらいの読み応えです。14のお話はほのぼのとした哀愁にテーマが込められ、大人の胸にもズーンと響いてきます。
    子どもの頃、「ごん狐」の結末に涙が止まらなかったのを、そして「手袋を買いに」では「円いシャッポの看板のかかっている家を探すんだよ」の「シャッポ」の言葉の響きが大好きだったのをよく憶えています。
    今回一番感動したのは「おじいさんのランプ」。ランプに石をぶつけるところが泣けました。

  • ほんわかと、しかし、厳しい。切なく、暖かい物語がつまっていた。
    後、ちょうど日本の戦前の時代で戦争に行ってしまったなどの結末も多かった。

    ●ごん狐
    漁師兵十が仕掛けた罠のウナギをごん狐ごんが食べたから、兵十のおばあさんが死んだと思い込んだごん。それから兵十に自分が狩った食べ物を置いていくようになるが、、、、兵十にみつかり、、、

    ●最後の胡弓弾き
    最後の最後まで家々へ訪ね、胡弓を弾いて商売をしていたが、近代化に伴い、そのような文化がなくなってきた。
    最後には胡弓は入らないと思って古道具屋に売るが、やはり、思い出の品、取り返したところ、金を払わねばならなくなった。。。

    ●うた時計
    久しぶりに帰ってきたどら息子。
    が、次の日にはもう帰路へ付く。そこへ近所の子供がやってきて、いろいろと話をし始める。夫婦の大切なうた時計の思い出の大切な話。
    その話を聞いているうちに、うた時計を盗んで売ろうと思っていたが、近所の子供へかえしたとさ。

    などなど

  • 来年が生誕100年ということ、自分が幹事を務めた忘年会の景品に使ったことなどから読みました。「ごんぎつね」や「手袋を買いに」くらいしか知らなかったけど、作品がたくさんあることを知りました。岩波文庫を選んだ理由は棟方志功の版画が挿絵に使われてたから。

    童話といいながら、大人が読んでも読み応えがあるというか、感じるものがある。

    ちょうど今日、NHKの番組で新見南吉を取り上げていたけど、いつか新美南吉記念館も行ってみたい。来年一月にリニューアルオープンらしい。

    登場人物の話し言葉など、随所に三河弁が出てきて、その度に親近感が湧いて興奮しながら読みました!

  • DIME 2012/10/02号

  •  構成、設定にかなり気を配っていることに、全編を何度か読んで気づいた。ワンアイデアの世界だから、そうなるのは当然かと、思ってみたりもする。
     えっ、こうなっちゃうのという、子どもがトラウマにならないか心配な結末の作品もある。新しい童話を模索していたのだろうか。かなり小説的なものもある。本当は小説家として立ちたかったのではないのかな。
     ある意味、切ない作品群。
     

  • 切なさ漂う新美南吉の童話集。母の深い愛を感じさせる作品多数。時代の移ろいを鋭く描いた作品に、はっとさせられた。

  • あったかい毛布に
    包まれたような気分になる物語たち

    ごんぎつね
    改めて今読んで やっぱ最後の1行は切ない
    いたずらだけどほんと優しいごん
    子供できたらごんぎつねみたいに育ってほしい

    うた時計 手袋をかいに 全編通して
    あたたかい優しい気持ちになれます

    お父さんお母さんに会いたくなる 
    あの包容力 安心感
    愛がいっぱいつまった最高の短編集

  • 暖かい。とてつもなく人間のぬくもりを感じる作品。形だけの優しさじゃねえんだよな。芯から微笑ましくなる。うーん。汚れちまったぜ。

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著者プロフィール

1913年愛知県半田市に生まれる。『赤い鳥』に「ごん狐」など多くの童話、童謡を発表した。東京外国語学校を卒業後、小学校や女学校などで教鞭をとる。18歳のころ『赤い鳥』に童話を投稿して掲載され、その後「ごん狐」など多くの童話、童謡を発表した。1943年、29歳で早逝した。

「2019年 『2ひきのかえる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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