岸田劉生随筆集 (岩波文庫 緑 151-1)

著者 :
制作 : 酒井 忠康 
  • 岩波書店
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003115114

感想・レビュー・書評

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  • 岸田劉生 随筆集。芸術論やプロ論として面白い。一流芸術家の独創性、創作思想など 一流たる理由がよくわかる。読む前と後では 麗子像の見方が、写実的なものから 観念的なものへ 変わった

    麗子像から 内なる美〜芸術的稚拙感、卑近美、静的で神秘的、老熟な落ち着き から 生まれる 民族的な美〜を抽出した気がする

    芸術論
    *芸術は ただ力である
    *写実は 美術の一般的な道だが 写実のみが美術ではない
    *見えたように正直に描く〜見えた通り描いても非凡となることが 尊い
    *芸術は 味をつけて煮たものでなければならない〜生のものを芸術的に殺して 料理して 煮て食わす
    *優れた画には 芸術的稚拙感が加わっている〜一見まずそうに見える不思議な美
    *美は 結局、無限に帰する

    東洋美、古い日本の美
    *内からにじみ出た民族的な美
    *卑近美(卑しさや下品に見える美〜端正など露骨な美の条件とは正反対)
    *露骨な美が避けられている〜そこに 深さ、無限さ、神秘さがある
    *深さ、蘊奥(うんおう)、味わいにおいて 西洋美より勝る
    *東洋美は 陰的、神秘的〜老熟、落ち着き

    現代の日本の美、西洋美
    *民族の心、内なる美が変化
    *静がない、忙しい美
    *西洋美は 陽的、現実的〜西洋美術は 露骨に生きている→若くて生き生き

    デカダンスの考察
    *芸術的な堕落、道徳的な堕落
    *デカダンス芸術は 芸術としての本道ではない
    *美と反対のグロテスクは、より深い美を含蓄

  • ずっと昔から「麗子微笑」を描いているひとは
    いっちゃっている人だと勝手に思っていたのですが。

    実際、いっているところもあるけど、
    お金持ちでぼんでわがままなあたらしもの好きなおじさんでした。
    まさに明治の金持ち。
    大好きなバーナード・リッチと交遊があったところが衝撃。

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