暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 (岩波文庫)

著者 : 尾崎一雄
制作 : 高橋 英夫 
  • 岩波書店 (1998年9月16日発売)
3.59
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  • 本棚登録 :86
  • レビュー :8
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003115718

暢気眼鏡・虫のいろいろ―他十三篇 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • やはりベストは『虫のいろいろ』。額のしわで一匹の蠅をつかまえながら(くしゃおじさんに匹敵)、そこから確率論、宇宙の有限or無限まで話がいって、最後は「うるさくなったのだ」というサゲ。笑える。

    続く「蜂」の連作もよい。対象即自己。『城ノ崎にて』を落語にするとこんな感じか。

  • [ 内容 ]
    出世作「暢気眼鏡」以下のユーモア貧乏小説から「虫のいろいろ」、老年の心境小説まで、尾崎一雄(1899-1983)の作品には一貫して、その生涯の大半を過した西相模の丘陵を思わせる洒脱で爽やかな明るさがある。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 芥川賞受賞作から1982年の最後の作品まで、編者に選ばれた短編や随筆で構成された一冊。どこかユーモラスで明快な文章が並ぶ初期の小説が面白い。志賀直哉に師事したとあってなるほどと。私小説の定義と尾崎一雄のスタイルについての編者解説がわかりやすく、また読み直そうかと思う。

  • 「暢気眼鏡」などの初期作品よりも、晩年の作品が心に響く。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003115716
    ── 尾崎 一雄《暢気眼鏡・虫のいろいろ ~ 他十三篇 19980916 岩波文庫》高橋 英夫・編
     
    (20091203)
     
    …… 私は、世にも珍らしいことをやってのけたことがある。
     額で一匹の蝿を捕まへたのだ。
     額にとまった一匹の蝿、そいつを追はうといふはっきりした気持でも
    なく、私は眉をぐっとつり上げた。すると、急に私の額で、騒ぎが起っ
    た。私のその動作によって額に出来たしわが、蝿の足をしっかりとはさ
    んでしまったのだ。蝿は、何本か知らぬが、とにかく足で私の額につな
    がれ、無駄に大げさに翅をぶんぶん云はせてゐる。その狼狽のさまは手
    にとる如くだ。
    「おい、誰か来てくれ」私は、眉を思ひきり釣り上げ額にしわをよせた
    とぼけた顔のまま大声を出した。(略)「なになに? どうしたの?」
     みんな次の部屋からやって来た。そして、長男の報告で、いっせいに
    ゲラゲラ笑ひ出した。
    「わ、面白いな」と、七つの二女まで生意気に笑ってゐる。みんなが気
    を揃えたやうに、それぞれの額を撫でるのを見てゐた私が、
    「もういい、あっちへ行け」と云った。少し不機嫌になって来たのだ。
    ── 尾崎 一雄《虫のいろいろ 19400100 新潮》
     
     美は乱蝶にあり ~ 切符を買ってチョーだい! ~
     
    ♀太田 幸江 flute 1985‥‥ 静岡 /20140920 2位入賞
     国際フルート コンクール 一次審査 20140915 Danmark
    https://www.youtube.com/watch?v=5I60gr0ZQfw
     
    https://twitter.com/awalibrary/status/513982486875865088
    (20140922 18:25:48)
     

  • 2009/05/06
    病気とか貧乏の話なのに、からっとしてさわやか。

    2012/11/15
    尾崎一雄が好きなのを確認するために読んだようなものなので特に新しい感想はないけれど、尾崎さんの何がいいって、思考が借りものじゃないところ。派手な独創性はないかもしれないけれど、100%自分の人生を生ききった人だ。この若いころから絶筆までの選集を読むと、ねばりづよく時間をかけて家族と自身を作り上げてきたのがわかる。憧れざるを得ない。

    題名もすてきな「美しい墓地からの眺め」の、親戚との会話が好き。言わないでおくことの良さ。

  •  曲が終わった.すると蜘蛛は,卒然といった様子で,静止した。それから,急に,例の音のないするするとした素ばしこい動作で,もとの壁の隅に姿を消した.それは何か,しまった,というような,少してれたような,こそこそ逃げ出すといったふうな様子だった。――だった,とはっきりいうのもおかしいが,こっちの受けた感じは,確かにそれに違いなかった。
     蜘蛛類に聴覚があるのか無いのか私は知らない。ファーブルの「昆虫記」を読んだことがあるが,こんな疑問への答えがあったか無かったかも覚えていない。音に対して我々の聴覚とは違う別な形の感覚を具えている,というようなことがあるのか無いのか。つまり私には何も判らぬのだが,この事実を偶然事と片付ける根拠を持たぬ私は,その時ちょっと妙な感じを受けた。これは油断がならないぞ,先ずそんな感じだった。
    (「虫のいろいろ」本文p.111)

  • 尾崎一雄の奥さんが面白く描かれている。本当にそうだったのかは知りませんが、こういう人なら気楽でいいなと思ってしまいます。虫のいろいろもよく観察しているなと感心してしまう。この本はおすすめです。

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