江戸川乱歩作品集 I 人でなしの恋・孤島の鬼 他 (岩波文庫 緑)

  • 岩波書店 (2017年11月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (528ページ) / ISBN・EAN: 9784003118146

感想・レビュー・書評

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  • 江戸川乱歩の短編「日記帳」「接吻」「人でなしの恋」と中編「蟲」、そして長編「孤島の鬼」の計5作を楽しめる作品集。

    どれも印象深かったけど、やはり「孤島の鬼」の完成度は高い。乱歩の最高傑作と言われるだけはあると思う。

    推理、怪奇、同性愛など複雑に絡んでくるんだけど、それがかなりよく調和されていて、長いけど読んでいて全く飽きないし、読み終わった後は全ての謎が解かれていて、モヤモヤする気分もない。

    久しぶりに読んで良かったと思ったミステリーだった。

  • 愛が絡む5編を集めた作品集。
    中でも「蟲」と「孤島の鬼」がおすすめ。

    「蟲」は内気を超えてしまったような性格の主人公が、元同級生の女優に恋心を抱く話。その恋心には常人に理解し難い異常性があるが、その異常の表現が流れるように自然なので、江戸川乱歩は実際こう思ったことがあるのだろうかと疑ってしまった。「僕はあなたが可愛いのだ」の真っすぐさと気持ち悪さが凄い。

    「孤島の鬼」はストーリーが絡み合い、ジャンルもごった返し、ぎゅうぎゅうに詰め込んでいるのに全く飽きない素晴らしさがあった。構成がいいのだろうか。
    最後の数行、道雄!と思った瞬間、今まで何とも思っていなかった主人公が一番鬼に思えた。

  • 『江戸川乱歩作品集Ⅰ 人でなしの恋・孤島の鬼』
    江戸川乱歩 浜田雄介編/岩波文庫
    .
    私の中で、文豪ストレイドッグスで出てくる人物の実際の作品を読んでみようシリーズ。乱歩さんは探偵ものと思ってたけどこの作品集は、愛のゆくえがテーマのお話だった。短い話が最初に少しあってメインの孤島の鬼がくるのでコース料理を食べているかの編集。笑 読みやすかった。
    .
    「蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲…」の不気味さと主人公の狂っていく様が怖かった。
    .
    孤島の鬼ははしがきから何故こうなったかが凄く気になり一気に読み進めた。セクシャリティやマイノリティに触れている部分も多い。主人公視点だがこれが道雄視点ならすごくしんどいなと思う。

  • ・孤島の鬼
    諸戸さんの一途な想いが美しい。一方蓑浦くんの樋口の血に惹かれる様も不思議で、互いにずっと幸福だったわけではないけれど、諸戸さんの最期や蓑浦くんと秀ちゃんの結婚など最後は多少は幸せだったのかなと思う。
    一番印象に残ってるのは「鬼のユートピア」という言葉かな。

  • かけ違い、すれ違い。悲劇。目算違い……。そんな要素が共通して見受けられるように思う。ことにすれ違いに関しては、どうしても割り切れない、世にあっては当然かもしれないがそれがすべてであってはあまりにむごい、と言いたくなるものが強く感じられてしまう。
    乱歩氏は、世に何をみていたのだろう。一方から見れば拒絶のほかに選択肢がなくとも、もう一方からすればそれは、崖から突き落とされる絶望にほかならない。
    事件は片方の視点からしか語られていないけれども、もう片方の心情をしぜん受け取ってしまい、痛々しい、痛ましいとしかいえず立ち尽くす自分がいる。
    ちょっと引っかかる表現もあったが、それも含めて、なんだか考えさせられた。
    2018.7.8.

  • 「孤島の鬼」異形の者たちをめぐる奇妙な冒険小説。

  • 孤島の鬼目当てで読んだ乱歩作品集。
    江戸川乱歩、独特の気味の悪さに推理要素も広がりどんどん話が広がってテンポ良く読めて面白かった。最後の一文の満足感が半端ない。諸戸道雄…

  • 岩波文庫『江戸川乱歩作品集I』(浜田雄介編)を読了。
    『日記帳』『接吻』『人でなしの恋』『蟲』『孤島の鬼』を収録。
    乱歩の描く「執着」や「愛」の形が、短編から長編まで濃密に詰まった一冊だった。特に印象に残ったのは中編・長編の二作。

    ​『蟲』
    厭人病の主人公が、独自の論理で殺人に走り、殻に閉じこもっていく過程には生理的な嫌悪感を覚えた。特に、ようやく自分のものにしたはずの愛する人が、遺体となって腐敗していくのを止めようと抗う描写があまりにリアルで、読んでいて辛くなるほど。
    狂人と化した彼にとって、自ら命を絶つ結末は、悲劇というよりは当然の帰結のように感じられた。

    ​『孤島の鬼』
    同性愛、愛する人の死、人体改造……と、読み進めるごとに内容の辛さと重みが増していく。
    最初は長さにおののいたが、中盤の「秀ちゃんの手紙(人外境便り)」を境に、個人の愛憎劇から壮大な陰謀劇へとスケールが一気に広がり、物語にのめり込んだ。
    特筆すべきは、諸戸道雄という人物。彼の主人公に対する想いは、見返りを求めない「献身」そのものだった。全てを終えて病で静かに去っていく彼の姿が忘れられない。
    ラストは主人公と秀ちゃんが結ばれるハッピーエンドではあるが、失ったもののあまりの大きさに、手放しでは喜べない静けさが残った。

    ​人間の「業」の深さと、物語の引力に圧倒される読書体験だった。

  • 昔の小説なのにすごく読みやすい文章だった。
    どの話もその時代ならではの人々のあり方というか、言葉遣いや暮らし方や服装などに品があって素敵だなぁと思った。
    特に蟲と孤島の鬼はすごく印象的。

    蟲の主人公はもう本当に変人で頭おかしいんだけど、その心の動きを丁寧に描いてくれているから、とんでもない奇行オンパレードにもなぜか納得できてしまう。
    やばい奴だけどなぜか憎めない。
    普通に人を愛せないが故に、歪んだ形で自分のものにしてしまうって恐ろしいし間違っているけど、ものすごく純粋でもあるんだよな。
    ただただピュアな気持ちで芙蓉の遺体を美しく残そうと悪戦苦闘しながらも、蟲には抗えず、ついに自分自身も狂って死んでいく。
    なんとも奇怪で醜さと美しさが一緒くたになったいかれた話。
    好きだわぁ。

    孤島の鬼は序盤は普通に殺人事件と復讐から始まったのに、どんどん思いもよらない方向に物語が進んでいくのがめちゃくちゃ面白くて、長いのに先が気になってぐいぐい読めた。
    不可解な密室殺人や公衆の中での殺人のトリックも面白いし、宝探し、監禁された奇形の双子の日記、鬼との対決、色んな要素が盛りだくさんすぎて読み応えありまくりだった。
    最後めでたしめでたしな終わり方の中に、道雄の切ない思いが余韻となって印象深い作品だった。

  • 『孤島の鬼』目当てで読んだ。
    想像以上の長編で驚き、読み進めるのが大変な箇所もあったが、全体を振り返るとおもしろかった。

  • 『孤島の鬼』
    最初から最後まで面白すぎる。予測不能なジェットコースターミステリ。
    江戸川乱歩のすべてが詰まっているといっても過言ではない。現時点で私が今まで読んだ乱歩作品の中で一番好き。

  • 半世紀以上も前に書かれたとは思えないほどの新鮮な文体でした。とても読みやすく、次どうなるの?の連続でページをめくる手が止まりませんでした。特に「蟲」のラストが気持ち悪くて心に残りました。

  • ↓利用状況はこちらから↓
    https://mlib3.nit.ac.jp/webopac/BB00543256

  • 孤島の鬼を目的に読んだ。江戸川乱歩は幼い頃に少年探偵団シリーズを割とたくさん読んで以来。孤島の鬼はこの時代ならではの「恐怖」表現が言葉と漢字の持つパワーによって力強い。ストーリーテリングの構成も巧みで後半の緊迫感が連続するシーンはこういった作品を読むことの醍醐味を感じる。同性愛という要素をどんな意図で含めたのかについては作品を読んでいる間は疑問を持ったけど、解説を読んでなるほどな、と思った。
    この本にまとめられた日記帳、接吻、人でなしの恋、蟲も悪くないけどやはり孤島の鬼は圧倒的だ。

  • 狂っているからこそ美しい作品ばかりでした。歪んだ愛が揃っています。ただ、どれも現実には絶対に起きてほしくないです。

  • おもしろかった〜!やっぱり乱歩は好きだ、2.3も読みたい

  • <閲覧スタッフより>
    日本の有名な推理小説家で「怪人二十面相」をはじめたくさんの名作を発表している。大正、昭和初期の乱歩ならではの独特の世界観で一度はまると病みつきになった人も多いはず。厳選された作品から第一巻は「愛のゆくえ」をテーマに五編で構成されている。
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    所在記号:文庫||913.6||エト
    資料番号:10239885
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著者プロフィール

1981年、広島県生まれ。京都産業大学現代社会学部講師。専攻はスポーツ社会学。共著に『〈際〉からの探究』(文眞堂)、『スポーツの「あたりまえ」を疑え!』(晃洋書房)、論文に「エンデュランススポーツの体験に関する一考察」(「スポーツ社会学研究」第21巻第1号)など。

「2020年 『スポーツクラブの社会学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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