死者の書・口ぶえ (岩波文庫)

著者 : 折口信夫
  • 岩波書店 (2010年5月15日発売)
3.56
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003118627

作品紹介・あらすじ

「したしたした。」雫のつたう暗闇で目覚める「死者」。「おれはまだ、お前を思い続けて居たぞ。」古代を舞台に、折口信夫が織り上げる比類ない言語世界は読む者の肌近く幻惑する。同題をもつ草稿二篇、少年の日の眼差しを瑞瑞しく描く小説第一作「口ぶえ」を併録。

死者の書・口ぶえ (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 再読。「死者の書」続篇も完結してほしかった...。読者がこの先を想像しても楽しいだろう、と解説で言われても、よほど博学じゃないと無理でしょう!注解は、語句の説明というより、小説の背景を詳しく説明してくれて、大いに参考になる。個人的には「死者の書」は解説抜きでも十分面白いと思うのだけど、著名な文芸評論家でも「わけわからない」「気持ち悪い」と発言していたりもするので、こういう注解でいわば裏を知ることができるのは、非常に良いと思う。

  • なにしろ今回は入念な下準備をしたので最後まで読めた。実は下準備の段階で尻込みしていた。何やらとてつもなく恐ろしいものを読もうとしているのではないか。懸念は当たる。地中深く鎮まっていた情念が蠢き出す気配に苛まれなんとも薄気味悪い。崇高な魂を追い求めるが故の純粋さに陶然と酔い痴れるには私は俗され過ぎている。無論反発はないが近寄り難さはある。だが惹かれる、稀有の気高き美しみが私を甘く誘う。この入り組んだ感情に解決の糸口は見つからず。まず折口信夫(釋超空)ほどやっかいな人は二人といないであろう。どうにも気になる。

    (入念な下準備といってもたいしたことありません。富岡多恵子『釋超空ノート』、近藤ようこのコミック、國學院大學博物館での「折口信夫と死者の書」展。あとはネットでちょこちょこ。知れば知るほど慄き増したのでここらが限界と踏ん切りました。)

  • 内容は難解。ただ、日本語の使い方が恐ろしい。例えば石棺の中で蘇った死者に垂れる雫の音「した、した、した」。その死者が人を呼ぶ声「こう、こう、こう」。朝が来て東の空が「ひいわりと」白んでくる。昔の人は語彙が少なかったというが、こういう表現を目にするとよほど伝わってきてむしを恐ろしい。

  • 表題作「死者の書」は奈良時代の称徳帝の世を舞台に作られた物語。

    かつて二上山に葬られた滋賀津彦(大津皇子)の魂は、自身の最後に見た耳面刀自(中臣鎌足の娘)の姿のその一点を、死してなお世への執着のように覚えていた。
    一方、藤原南家豊成の娘、郎女は、二上山に沈む夕日に立ちのぼる貴人の面影を追うようになり、とうとうそれを恋うて二上山元の當麻寺に這入ってしまう。
    滋賀津彦を思ううちに、彼の魂が傍へ添うようになり、彼女は蓮糸で衣を織り彼の肌に着せたいと願い始める。そして出来上がった衣に彼女は絵の具で、その姿を描いて見せ…。


    大津を恋う心はその身に流れる藤原の血に、大津が憑いたからなのか、それとも。

    中将姫から得た物語、よく練られていると思います。
    かの當麻曼陀羅を、大津へのラブレターにするとは…畏るべし折口信夫の創造力!

  • 非常に難しい。
    解説を読んでも理解出来なかった。
    折口信夫は民俗学という先入観があって、読了後も文学者とは思えなかった。
    「死者の書」は冒頭から次の場面に移る描写が判りづらい。
    『萬葉集』を読んだが、折口信夫の萬葉観を知らなかったのでより複雑に分からなくなった。
    構成が極めて独特だった為、展開が全く掴めなかった。
    「口ぶえ」の方がまだ物語として楽しめた。
    最後に少年二人が自殺する場面は中々鮮烈だった。

  • 良い

  • 「彼の人の眠りは、徐かに覚めて行った。まっ黒い夜の中に、更に冷え圧するものの澱んでいるなかに、目のあいて来るのを、覚えたのである。
    した した した。耳に伝うように来るのは、水の垂れる音か。ただ凍りつくような暗闇の中で、おのずと睫と睫とが離れて来る。」

    『死者の書』の冒頭。「彼の人」とは誰か? 謎めいた出だしにぐっと引き込まれる。次に、「した した した」という擬音音が、雫の落ちる音だと知って驚く。闇の中に、生者とも死者ともつかぬものが身を起こす不気味さ。第一章が魅力的だ。

    他の章でも、独特な擬音語が登場する。「のくっと」身を起こす様、「こう こう こう」と魂を呼ぶ声、「つた つた つた」また「あっし あっし あっし」という足音、「はた はた ゆら ゆら」という機織りの音。異世界に連れて行かれるような心地がする。

    ただ、筋立てが難解。ネタバレになるが、本来の筋立ては、「当麻寺を訪れた少女(郎女)からはじまり、「当麻のみ寺のありの姿」を模した曼陀羅を織り上げ、描ききることで、自身が目覚めさせてしまったこの世に「執心」を残して死んだ死者の想いを昇華させる少女(郎女)で終わる」(解説より)。
    私には、「自身が目覚めさせてしまった」「死者の想いを昇華させる」の部分が読み取れなかった。丁寧な解説抜きでは、ほとんど理解できなかったと思う。

    筋立ては理解できなくとも、郎女の見た俤人の神々しさ、一心に仕上げた衣の輝きが、胸に残った。また読んでみたい。

  • なるほどわからない。「死者の書」は途中で飽きて文字なぞっただけで読了ということにしてしまったけど「口ぶえ」はなかなか興味深いBLだったのでちゃんと読んだ。私は清らかな渥美より男くさい岡沢のほうが好きだわ。我ながら浅い読み方しかできてないのが丸わかりの感想。

  • 難解で、とりあえず読んだーという感じ。解説を読むと少しわかって面白い。謎解きのような、頭の片隅に置いておいて、少しずつ折に触れて、スッキリしていくといいな。
    口ぶえはどちらかというと読みやすかった。

  • 物語の奥にどうしても折口信夫が見えてしまう。井筒俊彦は折口信夫のことを「妖気漂う」と言ったとのこと。否が応でも深入りしてしまう。

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