日本近代短篇小説選 明治篇1 (岩波文庫)

制作 : 紅野 敏郎  紅野 謙介  千葉 俊二  宗像 和重  山田 俊治 
  • 岩波書店 (2012年12月15日発売)
3.80
  • (1)
  • (2)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
  • 47人登録
  • 5レビュー
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003119112

作品紹介

模索と発見の小説黎明期。違和感も陶酔も、いま触れるすべてが新しい。明治二二年から三五年に発表された、逍遙・鴎外・一葉・鏡花らの一二編を収録。

日本近代短篇小説選 明治篇1 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 泉鏡花『龍潭譚』を読んで

    淵に立つ 海軍少尉 候補生
    粛然として 夢みる乳房

  • 緑雨とかかなり苦手なんですが(って言うか、理解するためのリテラシーがこちらに全く身についていない)、時代的には規範化された小説文体が確立される前までの、多様な表現が楽しめました。

    その上で、それぞれの作品において現代とリンクするところもたくさん見えるというのが興味深い。水の主題、母恋い、姉に萌える(笑)という設定を投入しながらファンタジック世界を形づくる鏡花の構成力、一葉の「わかれ道」の吉ちゃんのやさぐれた感じ、それと吉ちゃんとお京さんとの会話は映画のように活き活きしているし、柳浪の「雨」における貧しい若夫婦の会話も、泣かせる芝居のよう。このシリーズ、未読はあと一つ「昭和篇3」のみ!

  • 言文一致体が出現する前後の短篇小説のアンソロジー。二葉亭四迷の言文一致体がいかに偉大な発明だったかを、ここに収録されている雅俗折衷体の読みにくさを体験すると良く理解できる。二葉亭四迷の作品が収められていないが、短篇小説は無いのか。雅俗一致体の坪内逍遥の「細君」から、言文一致体の国木田独歩の「武蔵野」、広津柳浪「雨」まで様々な短篇小説を読んだが、言文一致体で無いと感情移入が出来ず楽しめないことを実感した。

  • 大正編の次は明治編に着手。大正編には訳註はなかったんですが、明治編になると途端に古い言い回しや当時の風俗についての注釈がたっぷりつくので、読破するのに結構時間がかかりました;いわゆる「言文一致体」の作品だと、まあまあスラスラ読めるんですが、さすがに「雅文体」だの「雅俗折衷体」だの(合ってますか?)には、慣れるまで手間取ります。それでも鏡花や鴎外はもとから好きでいくらか読みなれていたのでマシでしたが・・・。以下収録作。

    坪内逍遥「細君」
    嵯峨の屋おむろ「くされたまご」
    山田美妙「この子」
    森鴎外「舞姫」
    尾崎紅葉「拈華微笑」
    幸田露伴「対髑髏」
    清水紫琴「こわれ指環」
    斎藤緑雨「かくれんぼ」
    樋口一葉「わかれ道」
    泉鏡花「龍潭譚」
    国木田独歩「武蔵野」
    広津柳浪「雨」

    書かれた時代背景のせいか、どうも「女性が不幸」「貧乏で不幸」なテーマのものが多かった気がします。坪内逍遥の「細君」なんかはその典型で、なんで女性ばっかりこんな不幸に、と物悲しさを通り越して若干腹立たしい(苦笑)。広津柳浪「雨」、樋口一葉「わかれ道」なんかも、貧乏で女性が不幸になる系ですが、まだしも男女の間に愛情があるのが救い。

    作者名にもタイトルにもインパクト大な嵯峨の屋おむろ「くされたまご」は、ふしだらな女性教師が登場するんですが、これはこれで当時の、教育のある女は生意気、という女性蔑視の風潮が反映されているそうで、同じようにだらしなくても、悪いのは男ではなく女、という空気がちょっと感じられました。そんな男中心社会に対抗しているのが、樋口一葉以外では唯一女性の清水紫琴「こわれ指環」。離婚について女性側の視点で語られています。

    鴎外の「舞姫」はもはや説明不要でしょう。鏡花の「龍潭譚」も、いかにも鏡花な幻想譚で大好物。幸田露伴の「対髑髏」は、タイトルでオチがわかってしまうのがネックでしょうか(笑)。雨月物語や、それこそ鏡花の好きそうな題材なのに、露伴が書くとさほど幻想譚ぽく感じない不思議。

    比較的明るいなと感じたのは山田美妙の「この子」と尾崎紅葉の「拈華微笑」。前者は婚約者の浮気を疑う男の謎解き風の展開で、とりあえずラストがハッピーエンドなだけでも貴重。後者は、現代なら通勤電車での一目惚れみたいなノリでしょうか、名前も知らない男女の恋愛未満の関係がちょっとコミカルで、皮肉ながらもくすっと笑えました。

  • 岩波文庫 080/I
    資料ID 2012200491

全5件中 1 - 5件を表示

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三島 由紀夫
黒田 夏子
有効な右矢印 無効な右矢印

日本近代短篇小説選 明治篇1 (岩波文庫)はこんな本です

ツイートする