日本近代短篇小説選 明治篇 2 (岩波文庫 緑191-2)

  • 岩波書店 (2013年2月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784003119129

みんなの感想まとめ

多様な作家による明治時代の短篇小説が収められた本作は、言文一致運動の影響を受けており、読みやすさが際立っています。特に、夏目漱石の「倫敦塔」では歴史的建造物を通じて幻想的な過去の光景が描かれ、谷崎潤一...

感想・レビュー・書評

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  • 明治篇1よりも、言文一致の作品が多かったので比較的読みやすかったです。好きだったものの感想をいくつか。

    漱石の「倫敦塔」は、タイトル通りロンドン塔の観光ガイド的要素もあり、アーヴィングの「アルハンブラ物語」あたりに通じるところのある、歴史的建造物を観光しながら過去の光景を幻視するような幻想的な要素もありました。

    谷崎の「秘密」は、いかにも谷崎な隠微さで(刺激のある生活を求めるあまり、女装して徘徊するようになる男の話・笑)、谷崎を読むといつも思いますが、あの時代にこういう作品を書いて受け入れられてるっていうのは凄いですよねえ。

    小川未明なんかは童話作家(ゆえに文章も平易で読みやすい)の印象が強いので、明治生まれの作家だと思っていませんでしたが、初期は普通に小説を書いていたんですね。といっても今回の収録作「薔薇と巫女」は、かなり幻想的な要素があって、のちの童話作品に通じるものがありました。

    志賀直哉「剃刀」は、なんというか、センスが現代的。こういう作品、最近の暗い作家が書いてそう(笑)。

    夏目漱石「倫敦塔」
    寺田寅彦「団栗」
    大塚楠緒子「上下」
    正宗白鳥「塵埃」
    田山花袋「一兵卒」
    徳田秋声「二老婆」
    小栗風葉「世間師」
    島崎藤村「一夜」
    永井荷風「深川の唄」
    中村星湖「村の西郷」
    近松秋江「雪の日」
    志賀直哉「剃刀」
    小川未明「薔薇と巫女」
    水上滝太郎「山の手の子」
    谷崎潤一郎「秘密」
    長田幹彦「澪」

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac.nara-ni.ac.jp/opac/volume/113401

  • 明治後半(明治38年~44年)の短篇小説16篇収録。
    小川未明の「薔薇と巫女」が良かった。まだ社会主義活動や童話の類いを書き始める前の印象主義的な作風で、描かれている世界が、日本なのだけれどどこか異国的で(後の有名な童話「野ばら」のように、どことも知れぬ国の物語のようで…)とても浪漫的で感覚的な短篇。後にああいう童話を書く片鱗みたいなものが感じ取られます。

    正宗白鳥「塵埃」、徳田秋声「二老婆」なども面白い作品。その他、中村星湖、長田幹彦、水上瀧太郎、小栗風葉、大塚楠緒子など、普段あまりお目にかかれない作家の作品に触れられるのも良い短篇集ですね。

  • 日本近代短篇小説選6冊の中で一番楽しめた。1905年(明治38年)から1912年(明治45年)までの20世紀の明治の短篇小説が100年後の今も楽しめるのは、言文一致運動の成果であろう。大塚楠緒子、小栗風葉、長田幹彦等を初めて読めたのも収穫であった。

  • 徳田秋声の短編が秀逸。

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著者プロフィール

1947年、宮城県に生まれ、横浜で育つ。早稲田大学大学院文学研究科日本文学専攻博士後期課程退学。山梨英和短期大学専任講師を経て、早稲田大学教育学部専任講師、助教授、教授(のち組織変更により教育・総合科学学術院教授)を歴任。現在、早稲田大学名誉教授。専門は日本近代文学、主に谷崎潤一郎を研究。著書に『物語の法則』『物語のモラル』『文学のなかの科学』『谷崎潤一郎 性慾と文学』などがあり、編著書には『地震雑感/津浪と人間 寺田寅彦随筆選集』『怪異考/化物の進化 寺田寅彦随筆選集』『寺田寅彦セレクションⅠ・Ⅱ』(いずれも細川光洋氏との共編)などがある。

「2020年 『寺田寅彦『物理学序説』を読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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