海神別荘・他二篇 (岩波文庫)

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レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003127155

感想・レビュー・書評

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  • 『海神別荘』『山吹』『多神教』の戯曲三篇を含む。

    表題作は『夜叉ヶ池』『天守物語』にも見られるように、人間界ともののけの世界との対立がモチーフとなっていることが伺える。

    また、非常に描写豊かであり、いずれの場面も鮮やかな色彩を伴ったイメージとして脳裏に浮かぶ。感嘆の極みである。

  • 先月シネマ歌舞伎で観たので、映画から入ってきた情報も混じっての読後感なのですが。
    赤ちゃんみたいに純粋でまっすぐな青年である「公子」と人間界からやって来た普通の女の子である「美女」。公子がキラキラと魅力的なのに対して、美女は普通のバカな女の子。人間の代表だから?
    公子=理想と美女=現実の結婚のお話。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「シネマ歌舞伎で観たので」
      そんなのあるんだ、、、私も観たい!
      DVDにはなってないだろうなぁ~
      「シネマ歌舞伎で観たので」
      そんなのあるんだ、、、私も観たい!
      DVDにはなってないだろうなぁ~
      2012/06/21
  • 表題作が1番好みだった。

    2作目の雰囲気も好きだな。

  • 表題の「海神別荘」。海の宝を得るかわりに生贄として海に沈められた美しい娘。小舟が沈むが死ぬことはなく遥か深海の海神の殿に迎えられる。そこは素晴らしい夢のような場所であった。そんな素晴らしい現状を、両親に見せたいと願い人間界に赴くが娘の姿は人間の目には大蛇にしか見えない。ぼろぼろになって再び海の底の殿に戻るが嘆き悲しむことを嫌う海神は娘を殺せと命ずる。しかしあわやのところで娘は心変わりし己の幸福に気づく。処刑は取り消され娘と海神は結ばれる。艶のある表現であでやかな海神の世界を堪能できました。

  • 漁師の娘が人身御供として公子の元へやって来る話だが、公子から見た人間の業や見栄、虚栄心の描かれ方が面白い。
    公子が漁師の娘に言うことが正論ばかりで、逆にそれによって漁師の業の深さが浮き彫りになり、読んでいくほど何という父親だという思いが大きくなるが、これほど酷くはなくても誰しも似たような部分があるかもしれないと気づかされた。

    娘が公子に刀を突き付けられて、人間から転生する際の台詞がとても良かった。

  • 表題作の『海神別荘』は、二つの世界を分ける水、垂直構造の舞台設定、「美しい人間」の通過儀礼→転生などが『天守物語』『夜叉ヶ池』と共通している。流れるような文体は勿論のこと、醜い人間の魂が海月になったり、宮殿の侍女の化粧の泡が貝になったりする鏡花の比喩や連想は本当に美しい。「世間」を捨て去ることのできない美女が公子によってたちまち浄化されてしまうのはロマンチシズムの極致と言える。

    『山吹』は幕切れで仕事を選択する画家が地味に強烈。非人情な画家の視点から美を追求する小説は『地獄変』『草枕』等この時代結構多い。

    『多神教』はオノマトペが印象的だった。泉鏡花の描く神や妖怪は残酷だけど、考え方が首尾一貫していてこっちのほうが正しいんじゃないかとか思ってしまう。

  • 『海神別荘』

    『山吹』

    『多神教』

  • 夜叉が池等と比べると小粒感が免れない。
    ただ戯曲は劇場で見た時はまた違う感想が生まれるものなので、こちらの舞台を見て見たいとも思う。

  • 再読。幻想的な怪異の登場する戯曲集。

    「多神教」は、これぞ「ザ・鏡花」なカッコイイ媛神様登場。丑の刻参りがバレて神主らに追いつめられた娘を媛神様が救ってくれて女性読者はスカッと爽快。

    「海神別荘」は海の底の竜宮城のようなところで、珍しく女性ではなく若い男性の海神(乙姫様の弟)が登場。美しい人間の娘を海底に迎えるけれど、この娘の発言が、まあ人間らしいっちゃらしいけど、かなり俗っぽい。それを逐一論破する公子の凛々しさよ。

    「山吹」は少し趣向が違って、怪異そのものではなく、むしろ鏡花の怪異ものに出てくる義理人情のわかる女性妖怪たちの出自が、元は人柱にされた娘だったりする由来譚のようなもの。こういう娘が、眷属を引き連れて、やがて女妖怪になるのだろうなと匂わせる。

  • 泉鏡花で戯曲というと『天守物語』が一番有名だけど、こちらの『海神別荘』も面白かった。
    解説にも引用されているが、終盤の美女の台詞が素晴らしい。
    同時に『山吹』と『多神教』も収録されているが、『山吹』は最後の画家の台詞、『多神教』は媛神が現れてからのシーンがすごく良かった。

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著者プロフィール

泉鏡花(いずみ きょうか)
1873年11月4日 - 1939年9月7日)
石川県金沢市生まれの小説家。本名は「泉鏡太郎」。明治後期から昭和初期にかけて活躍。尾崎紅葉『二人比丘尼 色懺悔』を読んで文学を志し、上京し本人に入門、尾崎家で書生生活を始める。師弟の絆は終生切れることがなかった。
1893年、京都日出新聞に真土事件を素材とした処女作「冠弥左衛門」を連載。以降、『夜行巡査』、『外科室』、『照葉狂言』、『高野聖』、『婦系図』、『歌行燈』などの作品を残す。1939年に癌性肺腫瘍のため逝去、雑司が谷霊園に眠る。その後1973年に「泉鏡花文学賞」が制定され、1999年金沢に「泉鏡花記念館」が開館。

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