菜根譚 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003202319

作品紹介・あらすじ

「人よく菜根を咬みえば、則ち百事なすべし」。菜根は堅くて筋が多い、これをかみしめてこそ、ものの真の味わいがわかる。中国明代の末期に儒・仏・道の三教を兼修した洪自誠が、自身の人生体験を基に、深くかみしめて味わうべき人生の哲理を簡潔な語録の形に著わした。的確な読み下し、平易な訳文。更に多年研究の成果は注と解説にも充分に盛りこまれている。

感想・レビュー・書評

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  • 花は半開を看、酒は微酔に飲む。この中に大いに佳趣あり。

    多情の女は男狂いの果てに尼になり、のぼせやすい男は思いつめて仏道に入る。かくして神聖なるべき寺院が、いつも淫(みだ)らな女やよこしまな男どもの集まる巣窟となる。

  • これは適齢期がまさに今だな、と。
    学生時代に読んでも説教としか感じなかったのに、社会人を15年近く営むと、はー、わかるわかる。それな!!みたいな気持ちが芽生え、自分におかしかった。一方、まだピンと来ない部分もあり、今後身に染みるのかと思うとそれもまた面白い。

    しかし、岩波文庫はやはり岩波文庫!
    だからこそ味があり、原文を噛み締める喜びがあるのだけれど。
    ただ、古典を読み慣れないと脱落する感ある。
    人にオススメするなら簡易な方を勧めるかも?

  • この本の内容を、物心が付く頃から自分に教えてくれる人がいたなら、どんなに良かっただろうと思う。
    『菜根譚』は明代の末期に洪自誠という人によって書かれたという。
    どの頁を読んでも、何百年も前に生きた賢人が知恵を授けてくれるという有り難さ、古典の素晴らしさを感じた。
    我々が、一から経験し失敗してやっと悟って、としていると短い人生では時間が足りない。
    古人の経験と知恵の上に乗り、よい人生を歩むために古典を読むべき、と言われる意味を痛感する本だった。
    人の世で生きる知恵が盛り沢山で、心に染みる言葉が沢山あった(特に前半)。

    どんな本を読むのか、読む本を選ばなければいけな、とつくづく思えた本。

    繰り返し読みたいと思う。

    いろいろな訳がありますが、自分にはこの岩波の訳がすっと入りました。

  • 人生の処世術を深めるために、机の横に常に置いておき、毎日、何度も少しずつ繰り返し読んでいきたい。
    置かれた立場、また時期によっても、響くところが変わってくると思うのだが、現在、自分として記録しておきたい箇所は以下の通り。

    以下引用~

    ・富貴や名誉も、徳望によって得たものは、たとえば自然の野山に咲く花のようで、ひとりでに枝葉が伸び広がり十分に茂ってゆくものである。(これに対して)事業の功績によって得たものは、たとえば人口の鉢植えや花壇の花のようで、移しかえたり、捨てたりまた植えたりされるものである。もし権力によって得たものであれば、たとえば花瓶に差した切花のようで、その根がないのだから、しぼむのはたちどころの間である。

    ・真に清廉なる者には、清廉という評判は立たない。清廉という評判が立っている人は、実はそれを手段とする欲張りな人である。また、真に巧妙な術を体得した者は、巧妙な術などは見られない。巧妙な術を用いる人は、実はそれがまだ板につかない全く拙劣な人である。

    ・悪事をなして、人がそれを知ることを恐れる者は、悪事をなす中にもなお善に向おうとする心がある。(これに反して)善行をなして、人が早くそれを知ってくれるようにと願う者の方が、善行の中にも悪に向おうとする心があるものだ。

    ・苦しんだり楽しんだりして、修行を重ね練磨して作り出した幸福であってこそ、その幸福は永続する。
    また、疑ったり信じたりして、苦心を重ね考え抜いた知識であってこそ、その知識は本物になる。

    ・まだ成就していない事業の完成をあせるよりも、すでに完成している事業を永く保ち発展させる方がましである。また過去の過失をいつまでも後悔するよりも、将来の失敗を早く予防する方がましである。

    ・文章というものは、最高の域に達すると、特別に珍しい技法があるものではなく、ただぴったり合った表現をするだけである。人格も、最高の域に達すると、特別に変わった点があるものではなく、ただ自然のままだけである。

    ・人を信用する者は、人は必ずしも皆が皆、誠実であるとは限らないが、少なくとも自分だけは誠実であることになる。(これに反して)人を疑う者は、人は必ずしも皆が皆、偽り欺くとは限らないが、少なくとも自分がまず偽り欺くことになる。

    ・他人のあやまちは許すがよいが、しかし自分のあやまりは決して許してはならない。また、自分のつらいことはじっと耐え忍ぶがよいが、しかし他人のつらいことは決して見逃してはならない。

    ・自分の功績に得意になり、自分の学問を見せびらかすのは、みな自分以外の外の物にたよって人間として生きているに過ぎない。この人たちは知らないのだ。心の本体が玉の輝くように明らかで、本来の光りを失わなかったならば、たとえ少しの功業もなく、一字も読めなくとも、正々堂々たる人間として生きていけるということを。

    ・つまらぬ小人どもを相手にするな。小人には小人なりの相手があるものである。また、りっぱな君子にこびへつらうな。君子はもともとえこひいきなど、してくれないものである。

  • 性格にしても生活にしても素朴で普通が一番というのが、一つこの本が持っているメッセージだと思います。

    無意識に思い上がってるような時、落ち込んでいる時など、気持ちのアップダウンを調整してくれる本、読む度に重要な気づきを与えてくれる本として枕元に置いておき、この先ずっと付き合っていきたいと思える本です。

  • 苦さも甘さも噛み分けた言葉が沢山。

  • 「「人よく菜根を咬みえば、則ち百事なすべし」。菜根は堅くて筋が多い、これをかみしめてこそ、ものの真の味わいがわかる。中国明代の末期に儒・仏・道の三教を兼修した洪自誠が、自身の人生体験を基に、深くかみしめて味わうべき人生の哲理を簡潔な語録の形に著わした。的確な読み下し、平易な訳文。更に多年研究の成果は注と解説にも充分に盛りこまれている。」

    ●「逆境の中に居(お)らば、周身、皆鍼砭(しんぺん)薬石にして、節を砥(と)ぎ行(こう)を礪(みが)きて、而(しか)も覚(さと)らず。順境の内(うち)に処(お)らば、満前、尽(ことごと)く兵刃戈矛(へいじんかぼう)にして、膏(あぶら)を銷(とか)し骨を靡(び)して、而も知らず。(前集九九)」
    →【現代語訳】
     逆境の中にいるときは、未の周りのすべてのことが鍼(はり)や薬になり、それで節操を砥ぎ、行動を磨いているのであるが、本人はそれに気づいていない。(これに対して)順境にあるときは、目の前のすべてのことが、実は刃や戈(ほこ)となって、それで肉を溶かし骨をけずっているのであるが、本人はそれを知らずにいる。
    ●「文は拙を以って進み、道は拙を以って成る。一の拙の字に無限の意味有り」(後集九四より)
    →【現代語訳】
     文を作る修行は拙を守ることで進歩し、道のための修行は拙を守ることで成就する。この拙の字に限りない意味が含まれる。
    ・・「拙」の言葉は「つたないこと」。マイナスな意味だが、『菜根譚』はプラスの言葉に転化している。不器用な人間は自らの「拙さ」をきちんと自覚しており、だからこそその欠点を克服するために正しい努力をすることができるから。「巧み」な人は得てしてそれが出来ない、そこで成長が止まってしまう。だから、「巧み」を目指す必要はない。不器用でもまっすぐ道を進んでいけばよい。
    (湯浅邦弘著『NHKテキスト100分de名著 洪自誠 菜根譚』より)

  • 「人よく菜根を咬みえば、則ち百事なすべし」。菜根は堅くて筋が多い、これをかみしめてこそ、ものの真の味わいがわかる。中国明代の末期に儒・仏・道の三教を兼修した洪自誠が、自身の人生体験を基に、深くかみしめて味わうべき人生の哲理を簡潔な語録の形に著わした。

  • たまにベッドで読む

  • 本当におすすめ。人生の悩みや考え方について向き合うことができる。

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著者プロフィール

中国明代の著作家。 本名は洪応明で、「自誠」は字。号は、還初道人。万暦年間(1573年 - 1620年)の人物とされる。著書に、儒仏道の三教を融合した『菜根譚』、仙界・仏界の古典のなかから逸事や名言を抜き出して編集した『仙仏奇蹤』四巻がある。詳しい経歴は不明ながら、若い頃科挙の試験に合格して官界に進んだが中途で退き、もっぱら道教と仏教の研究に勤しんだとされる。

「2018年 『1分間菜根譚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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