- Amazon.co.jp ・本 (130ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003202517
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岩波文庫 魯迅 「 野草 」
解説 竹内好
散文詩。民衆や名士への皮肉や批判でなく、自分に向けた怒りや虚無感を独白している感じ。死を扱った詩も多い。
題辞(エピグラフ)が表題「野草」の意味を伝えようとしている。野草とは、「奴隷根性」「政府に対して沈黙する自分」「人は生きなければならないという魯迅の根本思想」あたりだろうか?
1924年に書かれた「影の告別」「復讐」が どの事件をモチーフにしているのか 検証した本があったら、読んでみたい。孫文や国共合作が影響してるのだろうか?
絶望も希望も虚妄としている「希望」という詩は、どこにも希望が見当たらない。どういう意味なのだろうか?
野草について
*生命の泥は〜野草を生む。これ、わが罪だ
*野草は〜自分の生存を奪いとる
*私は私の野草を愛する
*私は野草の死滅と腐朽の速やかならんことを願う
*去れ、野草よ
*寂寞
*文学の無力性〜文学と政治の関係
*魯迅の根本思想「人は生きねばならぬ」
*絶望の虚妄なることは正に希望と相同じ(絶望も希望も真実でない)
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"沈黙しているとき私は充実を覚える。口を開こうとするとたちまち空虚を感じる。"(「題辞」)この言葉に付け加えることは何も無い。
"絶望は虚妄だ、希望がそうであるように。"(「希望」)一読すると、世界に於けるそして自己に於ける虚無への諦観を思わせる静かで苦い言葉だ。しかし実際の魯迅は、虚無を自己の内外に感じつつも断固として「希望」を「青春」を再び探し出そうとしており、当時の青年たちが虚無のアパシーに陥ったまま安んじている現状に対して怒っている、彼らは希望を抱くどころか絶望すらしていないのだと。希望を虚無とする以上、絶望だって虚妄だ。にも拘らずその上で魯迅は「希望」を求めようとする。この反語的な構えはトーマス・マンやチェーホフを思わせる。しかし魯迅のこの文章を読んだときには、何故か僕は、虚無への諦観にこそ共感しそうになった。魯迅の抱こうとしている政治的な「希望」が、安直で、否定すべき対象であるように感じてしまう。政治に対する・具体性に対する、忌避。 -
高校生の娘の推薦図書ということで読んでみました。
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魯迅の代表作です。如何せん暗い。夜読んでいて、あまりに暗さに途中で苦しくなって止めました。これは昼間読むといいと思います。芥川の『歯車』を思い起こしてしまった。