阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) (岩波文庫)

著者 :
制作 : 竹内 好 
  • 岩波書店
3.54
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本棚登録 : 825
レビュー : 93
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003202524

作品紹介・あらすじ

魯迅が中国社会の救い難い病根と感じたもの、それは儒教を媒介とする封建社会であった。狂人の異常心理を通してその力を描く「狂人日記」。阿Qはその病根を作りまたその中で殺される人間である。こうしたやりきれない暗さの自覚から中国の新しい歩みは始まった。

感想・レビュー・書評

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  • 「故郷」は確か、高校の現代文の授業で読んだ覚えがある。非常に情景描写の美しい短編で、印象的である。特に好みなのは、「孔乙己」。酒場の描写で、映画「紅いコーリャン」のワンシーンを思い出した。それにしても、孔乙己はお人よし過ぎたのだ。
    中国事情に疎すぎるため、巻末の注をパラパラとみていると、頁がなかなか進まなくて苦労した。背景知識もある程度ないと、本当の意味では楽しめないのかもしれない。

  • 2018.07.13

  • この歳になるまで魯迅を読まずに来てしまったのですが、勿体ぶらずにさっさと読んでおくべきだった。こういう世界であったか、まさに近代文学。著名な表題作のほか、「故郷」のラスト1行が心を打ちました。

  • 何が良いのか分からない・・・

  • 言わずと知れた魯迅の代表作。狂人日記の狂人振りは恐ろしいほどリアル。

  • 阿Q正伝 自分の中で折り合いをつけていく阿Qの考え方は必要 読んでいてつげ義春を思い出した 井上井月に似てる

  • 多分大多数の人と同じく、教科書で「故郷」を読んだだけで大人になってしまったのだが、名作をきちんと読みたいと思うようになり、読んでみた。やっぱり魯迅は竹内好、と昔買ってほったらかしていた岩波文庫を読む。
    原題は『吶喊』。はじめの「自序」で、魯迅が文学を志し、この短編集を書くに至った理由が綴られている。父が闘病中、名医と言われていた漢方医にかかり、高価な薬(三年霜にあたった砂糖きび、つがいのコーロギなど、)を処方された挙句死んでしまい、「漢方医というものは意識するとしないとにかかわらず一種の騙りに過ぎない」と西洋医学を学ぼうとするが、仙台の医学専門学校に留学した時、ロシアのスパイの容疑で斬首される中国人と、その様子を見る野次馬の中国人のスライドを見せられ、「医学などは肝要ではない、と考えるようになった。愚弱な国民は、たとい体格がよく、どんなに頑強であっても、せいぜいくだらぬ見せしめの材料と、その見物人になるだけだ。病気したり死んだりする人間がたとい多かろうと、そんなことは不幸とまではいえぬのだ。むしろわれわれの最初に果すべき任務は、かれらの精神を改造することだ。」と考えるに至る。
     その思いが一番よく表れているのが「阿Q正伝」である。この本の中で一番長い。最底辺に生きながら、自分の中で理屈をつけてプライド高く生きる愚かな男阿Q。その死に方は、魯迅の憤りを伝える。お前たちは阿Qと何の違いもないのだぞ、ここまで書けばわかるだろう、という。
    しかし、本当に名作なのは「孔乙己」ではないかと思う。「故郷」もそうだが、ここには憐れみとやさしさがある。ユーモアは阿Qにもあるが。その他「薬」「小さな出来事」「端午の季節」なども良い。これを読むと、魯迅が作家として優れていることがよくわかる。
    名作はやはり読む価値ありと思える一冊だった。

  • 当然のことだけど、同じアジア圏に住んでても中国と日本の文学はぜんぜん違うし、心の成り立ちも全然違う、おどろく、と思いながら読んだ。貧しさも中国と日本の人のそれはチガウ。日本人が「人」を「人間」と言い、中国が「人民」と言うみたいにチガウ。

    中国には下剋上はなかったのかなぁ。
    そこでは絶対に這い上がれない感があり魯迅がいくら貧しき民衆を描いてもあなた自身はチガウでしょ?とそこには大きな溝がある感じ。

    でも、子どもの頃の話は「銀の匙」のように切なくてよかった。短すぎる短編は「つげ漫画」みたいだなと思った。それからどうした?的な。

    養老先生が講演で中国語っていうのはカタコトだとおっしゃっていた。この訳文を読むとそれがわかる。一文、一文が短くて、唐突。日本語訳で助詞を補い訳されているけど、きっと違う。

    日本語は中国の文字を拝借して、漢文や儒教に影響され、清少納言の時代でも漢文が読めることがたいそう立派だとされてたから、魯迅ってどんな?と期待したけど、ちょっと違うな、と思ったな。
    昔の人が傾倒したほどの感動を共有できなく残念。

  • 再読。20世紀の初め、動乱の大国中国で地を這うように生きる阿Q達。かつてよりも自分と阿Qが重なるのを寂寞たる思いで読んだ。別に人生に絶望を感じている分けでなく、諦めた分けでもない。ただ、色んなものを受け入れやすくなっている自分の変化に気づけた。

  • 「それになんとまぬけな死刑囚ではないか。あんなに長いあいだ引き廻されながら、歌ひとつうたえないなんて。これでは歩き損じゃないか、というのだ。」
    ちゃんと読んだことなかったけど面白いね。阿Qとそれを取り巻く人々を通じて旧弊な前近代が浮き彫りになる。その一方で、阿Qの死は近代化の波のなかで起こっていて、だから阿Qを殺したのは前近代と近代との相克だとも言える。

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プロフィール

本名、周樹人。1881年、浙江省紹興生まれ。官僚の家柄であったが、21歳のとき日本へ留学したのち、革新思想に目覚め、清朝による異民族支配を一貫して批判。27歳で帰国し、教職の傍ら、鋭い現実認識と強い民衆愛に基づいた文筆活動を展開。1936年、上海で病死。被圧迫民族の生んだ思想・文学の最高峰としてあまねく評価を得ている。著書に、『狂人日記』『阿Q正伝』『故郷』など多数。

「2018年 『阿Q正伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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