寒い夜 (岩波文庫 赤28-3)

  • 岩波書店 (2016年3月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (512ページ) / ISBN・EAN: 9784003202838

みんなの感想まとめ

人間関係の葛藤や時代の閉塞感を描いた物語が、深い感情のせめぎ合いを呼び起こします。病に冒された無力なインテリ一家が、妻と母親の間に生じる嫁姑の対立を通じて、誰もが抱える自我やこだわりに苦しむ姿が描かれ...

感想・レビュー・書評

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  • 著者、巴金さんは、ウィキペディアによると、次のような方です。

    ---引用開始

    巴金(はきん、拼音: Bā Jīn、バ・ジン、1904年11月25日 - 2005年10月17日)は、中華人民共和国の小説家、翻訳家、エッセイスト。本名は李尭棠(り ようどう)、字は芾甘(ふつかん)。巴金はペンネームである。ペンネームの由来は、自殺した友人・巴恩波とクロポトキン(中国語:克魯泡特金)からとったもの。

    ---引用終了


    で、本作の内容は、BOOKデータベースによると、次のとおり。

    ---引用開始

    現代中国を代表する作家・巴金(1904-2005)。その到達点を示す長編小説。病に冒され、ゆきづまった生活を送る無力なインテリ。その妻と母親の間には嫁姑の対立がある。誰が悪いわけでもない。だが各人にはどうすることもできない自我とこだわりがある。そこから生まれてしまう感情のせめぎ合い。苛烈な人生のドラマが胸を打つ。

    ---引用終了

  • かつて中国と日本は戦争をしていた。
    そこには、当たり前のように人々の暮らしがあり、人間模様がある。

    快晴の日だから家族が仲睦まじくなるわけではない、嵐の日だから、険悪になるわけではない。
    平和だから幸福がやってくるのではない、戦争だから必ずしも不幸があるわけではない。
    そこには、たくましい人々の暮らしがあったと思う。

    しかし、戦争が不幸なのは、犠牲を払わないものが正義を振りかざし、小さな市民が犠牲を払う不条理があるからだ。
    小市民はただ空を見上げるしかない。
    晴れ間がやってくるように、天に希望をかけるしかない。

    かつて日本は、戦った国に住む人々の無数の希望を奪ったことは、間違い無いだろう。
    それは覚えておかなければいけない。

  • 成都に行くかもしれないからゆかりの作品を手に取った。不甲斐ないインテリの苦しみは日本軍が爆撃をしていたその下にもあった。どこの国も動乱の時代に中流インテリは無力だ。終始救いのない話に自分の将来を見ることはしまいと思えども無縁とは到底思えない。自立した男女関係はときに両者にとって残酷である。残酷に突き進むことこそ自由であり、もっとエゴイストにならねば生きてゆかれないのだ。

  • 貧窮したインテリ一家の、ごくありふれた悲劇ではあるが、その悲劇の凡庸さにやるせなさが詰まっている。戦争に勝ちはしても未来に展望はなく、時代の閉塞感をまざまざと感じた。
    そして個人的には空襲や防空壕の描写にはっとさせられた。それらにはほぼ日本において被害体験としか結びつけられてこなかったが、ここでは、明確に語られはしないものの、日本が加害者側として空襲を行ってきた姿が確かにある。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/707023

    現代中国を代表する作家・巴金の後期の代表作。
    病に冒された夫。嫁姑の対立。家庭と仕事。
    日中戦争時代の庶民の生活を描いた長編小説。

  • 暗い話が続いて救いがなかった。嫁さんの手紙を読んで苦しむ主人公が見ていられない。鍾さんのような存在まで失うとは

  • 巴金作品は激流三部作(家、春、秋)を読み、これが4作目。日中戦争さなかの四川省を舞台とした、主人公と妻、母の家族模様が中心の物語である。結婚14年目で、中学生の一人息子は寄宿舎生活。会社勤めの男は病弱で妻は高給取りの銀行員。マザコン男はいつも勝気な妻と頑固な母の板挟みになる。長い物語のほとんどは、嫁姑の言い争いと、その間でおたおたする男の泣き言で展開される。男の意気地のなさが実にじれったいのだが、現代にも通じる気質にも感じて思わず笑ってしまった。(笑いどころではないのだが)

    実はその男と、上記三部作の主人公高覚新が重なってしまうのだ。巴金先生はこういう男の心模様を描くのがとてもうまい。こんな発言は大作家に向かって失礼かもしれないが。彼らに共通する優柔不断さは、時代は関係なく普遍だと思う。ものすごく繊細で傷つきやすく病弱。優しくてマメなところだけが取り柄。魅力的ではないが気になる存在だ。終盤の病気で苦しむところは勘弁!だったが、全体の淡々とした展開は嫌いではない。

    ほかにも著作を読んでみよう。

  • メロドラマ。こんな人生は辛い見本。途中、同じことの繰返しになってだるいところもあるけれど、一気読み出来た。どうなるのかだいたい分かっても、先が知りたくてページをめくる手が止まらなかった。ただ、同じような音の重なる名前が覚えられないので書き出して読みました。それから政治的でもなんでもなくて、一人の男の人生が描かれているので莫大よりもワタシは読みやすかった。残雪のが好きですけど。最後、樹生(シューション)という主人公の妻が明日に考えようみたいなところはスカーレット・オハラみたいだと思った。彼女のようにバトラー船長を取り戻すことは出来ないんだけど。

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