- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003202838
作品紹介・あらすじ
現代中国を代表する作家・巴金(1904‐2005)。その到達点を示す長編小説。病に冒され、ゆきづまった生活を送る無力なインテリ。その妻と母親の間には嫁姑の対立がある。誰が悪いわけでもない。だが各人にはどうすることもできない自我とこだわりがある。そこから生まれてしまう感情のせめぎ合い。苛烈な人生のドラマが胸を打つ。
感想・レビュー・書評
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https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/707023
現代中国を代表する作家・巴金の後期の代表作。
病に冒された夫。嫁姑の対立。家庭と仕事。
日中戦争時代の庶民の生活を描いた長編小説。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
暗い話が続いて救いがなかった。嫁さんの手紙を読んで苦しむ主人公が見ていられない。鍾さんのような存在まで失うとは
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巴金作品は激流三部作(家、春、秋)を読み、これが4作目。日中戦争さなかの四川省を舞台とした、主人公と妻、母の家族模様が中心の物語である。結婚14年目で、中学生の一人息子は寄宿舎生活。会社勤めの男は病弱で妻は高給取りの銀行員。マザコン男はいつも勝気な妻と頑固な母の板挟みになる。長い物語のほとんどは、嫁姑の言い争いと、その間でおたおたする男の泣き言で展開される。男の意気地のなさが実にじれったいのだが、現代にも通じる気質にも感じて思わず笑ってしまった。(笑いどころではないのだが)
実はその男と、上記三部作の主人公高覚新が重なってしまうのだ。巴金先生はこういう男の心模様を描くのがとてもうまい。こんな発言は大作家に向かって失礼かもしれないが。彼らに共通する優柔不断さは、時代は関係なく普遍だと思う。ものすごく繊細で傷つきやすく病弱。優しくてマメなところだけが取り柄。魅力的ではないが気になる存在だ。終盤の病気で苦しむところは勘弁!だったが、全体の淡々とした展開は嫌いではない。
ほかにも著作を読んでみよう。 -
メロドラマ。こんな人生は辛い見本。途中、同じことの繰返しになってだるいところもあるけれど、一気読み出来た。どうなるのかだいたい分かっても、先が知りたくてページをめくる手が止まらなかった。ただ、同じような音の重なる名前が覚えられないので書き出して読みました。それから政治的でもなんでもなくて、一人の男の人生が描かれているので莫大よりもワタシは読みやすかった。残雪のが好きですけど。最後、樹生(シューション)という主人公の妻が明日に考えようみたいなところはスカーレット・オハラみたいだと思った。彼女のようにバトラー船長を取り戻すことは出来ないんだけど。