本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (596ページ) / ISBN・EAN: 9784003204610
作品紹介・あらすじ
「老驥 櫪に伏するも 志は千里に在り」——『三国演義』の物語により親しまれてきた魏の「三曹」。生涯を戦さの場に過ごした彼らは、中国の文学に新たな歴史をひらいた、すぐれた文人でもあった。甲冑の内に秘められた魂の震えを感じさせるような、真情あふれる詩文を選び、詳細な注を付す。諸葛亮「出師の表」も収録。
みんなの感想まとめ
三国時代の文人たちが紡いだ詩文は、彼らの生きた証を鮮やかに伝えます。特に、曹操、曹丕、曹植の作品からは、それぞれの個性や人間性が感じられ、歴史の裏側にあるリアルな感情が垣間見えます。彼らの言葉には、戦...
感想・レビュー・書評
-
曹操・曹丕・曹植詩文選
岩波文庫 赤46-1
訳:川合 康三
出版社:岩波書店
三曹、いわゆる、魏の武帝曹操、文帝曹丕、曹子建の作品集
購入してから、かなり時間がたってしまった。
楽府や、詩は、ある程度、まだ読みやすい
文や、賦は長文で読みにくい。
本書では、原文があるのは、楽府と詩であり、賦や、文は書き下し文のみとなっております。
その作品のよりどころは、以下の文献から参照されています。
楽府詩集
文選
三国志魏書
初学記
古詩紀
玉臺新詠
藝文類聚 等
曹植は、その中では、曹子建となっています。
インターネットで、原文を探すことはわりかし、簡単です。文献を検索してそのインデックスを追っていけばできます。一度やってみたらいいと思います。
例えば、冒頭の楽府 「度関山」は 以下で検索すると次のように出てきます。
https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%A8%82%E5%BA%9C%E8%A9%A9%E9%9B%86/027%E5%8D%B7
度關山(魏·武帝)
《樂府解題》曰:「魏樂奏武帝辭,言人君當自勤苦,省方黜陟,省刑薄賦也。若梁戴暠云『昔聽隴頭吟,平居已流涕』,但敘征人行役之思焉。」
天地間,人為貴。立君牧民,為之軌則。車轍馬跡,經緯四極。黜陟幽明,黎庶繁息。於鑠賢聖,總統邦域。封建五爵,井田刑獄,有燔丹書,無普赦贖。皋陶甫侯,何有失職。嗟哉後世,改制易律。勞民為君,役賦其力。舜漆食器,畔者十國,不及唐堯,采椽不斫。世歎伯夷,欲以厲俗。侈惡之大,儉為共德。許由推讓,豈有訟曲。兼愛尚同,疏者為戚。
──右一曲魏樂所奏
このままでは、何のことかである。
本書は、これに書き下し文があり、単語や、熟語、成句の解説があり、しかも、日本語訳と、解説までがついている
文選は、
https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%98%AD%E6%98%8E%E6%96%87%E9%80%89?uselang=ja
で、「苦寒行」は以下に。
こちらには、一行ごとに、引用元が注記されていて親切である。
苦寒行
〈五言歌錄曰:苦寒行,古辭。〉
北上太行山,艱哉何巍巍!羊腸阪詰屈,車輪為之摧。〈呂氏春秋曰:天地之間,上有九山。何謂九山?曰太行羊腸。高誘曰:太行山在河內野王縣北也。羊腸,其山盤紆如羊腸,在太原晉陽北。高誘注淮南子曰:羊腸阪是太行孟門之限。然則阪在太行,山在晉陽也。〉樹木何蕭瑟,北風聲正悲。熊羆對我蹲,虎豹夾路啼。谿谷少人民,雪落何霏霏。〈毛詩曰:雨雪霏霏。〉延頸長歎息,遠行多所懷。〈呂氏春秋曰:天下莫不延頸舉踵也。〉我心何怫鬱,思欲一東歸。〈楚辭曰:怫鬱兮不陳。東歸,言望舊鄉也。〉水深橋梁絕,中路正徘徊。迷惑失故路,薄暮無宿栖。〈楊雄琴情英曰:當道獨居,暮無所宿。〉行行日已遠,人馬同時飢。檐囊行取薪,斧冰持作糜。〈莊子曰:檐囊而趨。〉悲彼東山詩,悠悠使我哀。〈毛詩曰:我徂東山,滔滔不歸。
このように、古典については、注や、注の注である疏(そ)が、必要になります。いわゆる、ガイドブックになります。
魏武帝
出征兵士の故郷への思いを詠う、却東西門行
魏文帝
夫亡きあとの妻の悲愁を詠う、寡婦詩
故郷への思いを詠う 雑詩二首
燕歌行、旅から帰らぬ夫を慕う、閨怨詩
曹子建
離縁された妻の詩。棄婦詩
ふさわしい人と出会えない美しい娘を詠う、美女篇
など、今も昔も、自らの人生ほど、ままならぬものだと身につまされます。
最後に同時代人として、諸葛亮孔明の「出師表」がでています。長文です。
他に文として、耳にしたことがあるのは、司馬遷の「太史公自序」や、楽毅の「報遺燕恵王書」などでしょうか。いわゆる、名文ですね。
目次
はじめに
凡例
曹操
楽府
文
曹丕
詩
楽府
文
曹植
賦
詩
楽府
文
諸葛亮
出師表(出師の表)
解説
関連年表
関連地図
ISBN:9784003204610
判型:文庫
ページ数:596ページ
定価:1440円(本体)
2022年02月15日第1刷発行
2024年04月05日第3刷発行詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「個性」が発見された建安文学の支柱3人の詩文集。三国志の当事者が見て、感じて、考えて、発した言葉からは、その人が確かに生きていたという証と、三国時代の生の景色が直に伝わってくる。曹操・曹植の個人史と上表の文は、事件や天変や疫病など史書との一致が認められ、彼らを追体験するような感覚があったし、曹植が呉蜀との戦争に加わりたいと請う文面に、(孫権は当然として)諸葛亮の名が記されている箇所は、彼が実質上の蜀のトップとして認識されていた事を示す証言。特に曹植の文章からは、彼が詩才に長けつつも、イメージされがちな文弱の徒でなかった姿が垣間見られ、作者の個が発露する"文学"を見出せる。物語ではない、人間の声を聴くことが出来る「三国志」と言える一冊。
-
『Three Kingdoms』を見た記念に。曹操の
老驥伏櫪 志在千里
烈士暮年 壮心未已
が曹操ぽくてとても良かった。
意外と曹丕は素直、曹植は従軍したがる感じ。 -
解説がとても丁寧でわかりやすく読みやすいので、3人の個性をダイレクトに感じ取れる。うっすらと覚えていたり聞いたことのあるエピソードに通じる詩を読むのも良かったが、漫画やゲームで知るような曹丕・曹植とは違う一面を知ることができたように思う。出師の表もしっかり読んでみると、とても簡潔で思いの籠もっている文書に感じる。
著者プロフィール
川合康三の作品
本棚登録 :
感想 :
