マハーバーラタ・ナラ王物語: ダマヤンティー姫の数奇な生涯 (岩波文庫 赤 67-1)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003206713

感想・レビュー・書評

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  • 美丈夫ナラ王は美しいダマヤンティー姫と夫婦になった。魔神カリ王がこれに嫉妬したことから始まるストーリー。
    割と短くてサクッと読める。解説もついているので古代インド文化に詳しくなくても大丈夫です。

  • インド映画『バーフバリ』などを見てから読むと、頭の中で、インドの超絶美男・美女が総天然色で動き出す。この、30年以上前の訳文には、その力がある。夫を一途に思う姫に対して、「腰あでやか」という賛辞を連発するそのパワーに、インド娯楽映画のルーツを見た。

  • ストーリーの流れがよく分かった。
    口述では、韻を踏んで、直接関係ない人の名前とかが出てくる?

  • 借りたもの。
    『マハーバーラタ』の劇中劇。賢明な美丈夫・ナラ王が、魔王カリの理不尽な呪いを受けて賭け事に夢中になり、国を失って出奔。貞淑な妃・ダマヤンティーは森に置き去りにされたり。苦汁も辛辣も舐め、二人は再会し、国を取り戻すことができるのか!?

    インドの文化は男尊女卑、女性の役割をかなり限定的にしていると思われがちだが、この物語でダマヤンティー妃は自分の意思で、かなり行動している(本人の人徳、神々の加護もあったが)。最も、インドの価値観において女性は女神のように敬われるか、邪険に扱われるかの二極化しているようだが……翻訳者・鎧氏が指摘しているように、“ナラ王”と題されながら活躍しているのは女性・ダマヤンティー妃だった。
    魔王カリの呪いとは言え、可憐で愛している妃を思慮に欠ける発想で森に置き去り(妃を守る意思を放棄)にしておきながら、妃の「新たな婿選び」という奇策をうけて邪推するあたり、「自分の事を棚に上げて何を…」とも思える。

    ギリシア神話の『クピドとプシュケ』のような最愛の人を希求し放浪する女性、『オデッセイア』のペーネロペーのような求婚の条件などを思い出す。

    『マハーバーラタ~ナラ王の冒険~-東アジア文化都市2019豊島バージョン-』
    https://spac.or.jp/2019/mahabharata_toshima2019
    を観劇して、読了。

    舞台で語られなかった事の成り行き、理由や結末を理解。
    商隊が象の群れに襲われたのは、野生の雄象が発情期だったからか……
    弟王子から国を奪還するのに、結局賭けを使わなかったんだ…でも対抗するためにその技術を会得した訳で。
    色々補完。

  • 訳者:鎧淳(1930-2015、会津若松市、インド文学)

  • 一気に読めた。オデュッセイアとだいぶ似てて驚いた。結末はこっちの方が現代人好みだと思う。

  • 大叙事詩マハーバーラタの一挿話を取り出したもの。美しい物語です。バガヴァットギータばかりに注目してましたが。

  • 魔王にとりつかれてギャンブル狂になってしまった夫を、絶世の美女ダマヤンティー妃が取り戻す物語。高位の神様や王様は文語体で話すけれど(気分が出る)、ほとんどの人物の会話と地の文は平易な口語体なので気楽に楽しめた。何千年もサンスクリット語で書かれた話を自分にもわかる文章で読めるなんて、不思議だしありがたい。

    物語は冒頭に書いたとおりで読み心地は昔話。王と妃の美貌と高徳が最初から最後まで称え続けられるので、頭の中がインドのこってりした美男美女カップルでいっぱいになる。階層が高い女の人について腰や胸を誉める話を読んだことがなかったので、呆れつつも興味深かった。

  • はい、『ナラ王物語』です。マハーバーラタの挿話の一つとして原典訳マハーバーラタでも読みましたがこちらの方がカタくなくてラブロマンスの雰囲気が出ています。マハーバーラタの本筋も割と悲しみを感じずにはいられないと個人的には思っていますが、『ナラ王物語』の方もそんな感じで、特に国を追われてダマヤンティーと共に森に入ったナラ王が、これ以上妃に苦労をかけるわけにはいかないとダマヤンティーが寝ている隙に彼女のもとを離れるシーンは胸が潰れそうなほど悲しかったです。
    あと個人的に面白かったというかアツかったのは世界守護神4人組です。ダマヤンティーの美しさに興味を持ったインドラ神がアグニ、ヤマ、ヴァルナとともにダマヤンティーのスヴァヤンヴァラに参加して、4人ともナラとそっくりに化けてダマヤンティーを惑わせますが結局ダマヤンティーが正しくナラを選んだら2人を祝福してナラに贈り物を与える世界守護神たちが!!!もう!!!!可愛くって!!!!!なんかもうこの4人組はナラに花を持たせるためにわざわざここまでしたんじゃないかと思うわけですよ(笑)

  • ありていに言ってしまえば、美男美女の王と姫がくっついて幸せを満喫していたところ、嫉妬した魔神に呪いをかけられ、不幸のどん底に突き落とされるという話。叙事詩ということもあって、読んでいて背中がもぞもぞしてくるくらい表現がいちいち大仰だが、それはそれで物語をさらに物語らしく飾っていてよいのだろうとも思う。何よりすごいのは、ヒロインであるダマヤンティー姫の半端ない強さ。魔神だけでなく森で出会った狩人にまで××してしまう恐ろしい女性だ(笑)。それもこれもすべて美しい愛と貞節の名のもとに不問(というより、当たり前のこと?)とされているあたりが面白い。

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著者プロフィール

1930年 会津若松市に生まれる1958年 東京大学文学部宗教学宗教史学科卒1968年 Lit.D.(ウトレヒト大学)現在 金沢大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

「1995年 『サンスクリット叙事詩・プラーナ読本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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