- Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003208014
作品紹介・あらすじ
「銀の滴降る降るまわりに、金の滴降る降るまわりに」-詩才を惜しまれながらわずか19歳で世を去った知里幸恵。このアイヌの一少女が、アイヌ民族のあいだで口伝えに謡い継がれてきたユーカラの中から神謡13篇を選び、ローマ字で音を起し、それに平易で洗練された日本語訳を付して編んだのが本書である。
感想・レビュー・書評
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今まで聞いたどの昔話、民話、神話とも違う、独特の価値観が宿っている。こんなふうに世界を捉える人たちがいたのかと驚いた。
この本をまとめた直後、19歳でこの世を去った知里さんは一体どんな人だったのだろう。いつか記念館にも足を運びたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
去年だったかウポポイ行ってから、少しずつ読み進めていた本。神謠ということだけど何が起こってるのかよくわからないものもあり、また全体的に単に神話とか詩的というのでなくて、自然の捉え方が違う、世界の見方が違う?と感じるような不思議な感じがあった。
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「銀の滴降る降るまわりに、金の滴降る降るまわりに」のフレーズに心奪われて読み始めた。アイヌ語がアルファベットで字起こしされていて、日本語の対訳が付いている。本当に本州の隣の島の言葉だろうかと思うくらいに響きが違う。たまーに日本語の響きをアイヌ語にも見出したりして、それもまた面白い。
動物目線で歌われる北海道の自然と人の営み。梟や狐や狼と、出てくる動物がどこか大陸的で、たまに北欧やロシアの民謡なのではないかと錯覚するほど、本土とは違った世界観。
他に類を見ない一冊。知里さんが夭折されたのは本当に悔やまれる。 -
きっと何百年ものあいだ歌い継がれてきたのだろうなあ
「ふと気が付いてみると、大きな獺の耳と耳の間に私はすわっていた。」 -
素朴な言葉に豊かなイメージ。美しいものに触れたいときに。
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ミオの図書館の神話の一部の元ネタ。
訳のきらめいてたいへん美しいこと。
アイヌ文化を過不足なく伝える解説が絶妙でありがたいです。
蓬の弓矢は最強アイテム。
神話というよりは説話、民話の雰囲気。基本的に全部因果応報ものでオチがついているのでとっつきやすいと思う。これら13編は神や動物の視点から語られるのが特徴。アイヌの神様は動物神が多く自然の一部であり、人間は彼らの命をいただいて生活している感謝を忘れるなという思いが込められている。神々は人を助け、代わりに人は心から神をもてなす。神々は貧しい者に恵みを与えることもあれば災害も起こす存在だ。人々が神を蔑ろにすれば困難な目に会うし、逆に神が悪者になって災いを起こせば退治されてしまう。良い関係性なのだろう。「悪さをしないでくれ」と人々の自然に対する祈りが感じ取れる。
悪い心を起こした狐神が殺されて便所の土台にされ、臭い思いをして過ごすなどといったユーモアある因果応報憚もあり、ここに載っていない物語も知りたくなった。 -
美しくかつ純朴感がある文体が素晴らしい。
梟の神の話である「銀の滴降る降るまわりに、金の滴降る降るまわりに」が特に好き。 -
もっと多くの人に知ってほしい。