- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003210314
作品紹介・あらすじ
子ども向けの人生訓話として世界中の人々になじみ深いイソップの動物寓話-実は、歴史上の人物としてのイソップ(アイソーポス)が作ったと実証できる話はひとつもない、いわば「イソップ風」寓話集であるが、そこには、読み手の立場によってさまざまな解釈が可能な、実に奥深い世界が展開されている。新訳471篇を収録。
感想・レビュー・書評
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全471話を収録し、出典として参照される版を基準に十一部に分かれている。第一部が全体の半数近くを占める。各話、最短一行から長くて4ページ程度まで。動物を擬人化したものが大半で、次いでギリシャ神話の神々の登場回も多い。
実在も疑われるイソップは、解説によれば紀元前610~600年ごろの生まれと推測され、ギリシャのみにとどまらずバビロニアやエジプトにまで遍歴して寓話を語り伝えたとか。プラトンの時代において、すでに寓話作家の代名詞となっていたらしい。どの作品がイソップによるものか、正確には不明とされる。
道徳的教訓を伝えることを基調としており、話の前後に直接的に教訓が添えられるものも多い。なかでも何度となく繰り返し強調されるのが、「身のほどを弁えよ」「生まれもった性質は変えられない」といった教えである。その派生として、強欲による失敗、悪性は直らないこと、身の丈に合わない仕事や行為の否定といった戒めが多く、目を引く。そんななか、ときおり見られる「自由は富にはかえがたいこと(346.狼と肥えた犬)」や、「弱い(小さい)ことがメリットになりうる(282.漁師と魚)」といったメッセージを発する寓話が印象に残った。
救いのない結末や、殺人、獣姦や近親相姦といったきわどい性的な行為を扱うケースも含む。成り立ちからして当然だが、必ずしも現代における、いわゆる子ども向けの内容ではない。また、各話に添えられた教訓とは異なる教えが読み取れることも少なくなかった。
以下参考までに、一部の有名なものや、出典が異なる寓話や故事などに類似するものを挙げる。
「15.狐と葡萄」(→すっぱいブドウ)
「46.北風と太陽」
「53.兄弟喧嘩する農夫の息子」(→毛利元就「三本の矢」)
「112.蟻とセンチコガネ」(→アリとキリギリス)
「147.ライオンと熊」(→漁夫の利)
「148.ライオンと兎」(→二兎追うものは一兎も得ず)
「226.亀と兎」
「373.蝉と蟻」(→アリとキリギリス)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
齋藤孝著『大人のための書く全技術』40冊―02
短い文字数で印象的な物語を語りきっている。
人の心に届きやすいたとえ話のつくり方は、ビジネス文書でも活用できる。 -
7つの習慣に共通の原則を謳う寓話がとりわけ印象的。
例え話の有用性に触れつつ、時に失笑を誘うユーモアを含有する寓話集。
お気に入りの寓話9つをピックアップ。
井戸の中の狐と山羊・・・井戸に落ちた狐と、口車に騙されて井戸に入り、さらには踏み台にされた山羊の話。
まず終わりを思い描くことから始める。
ライオンを見た狐・・・狐がライオンを3度目に見た時には近寄って話しかけるほど大胆になっていた。習慣化の力を暗示。
腹の膨れた狐・・・腹を空かせた狐が木の洞穴の食料に飛び込み、腹が膨れ、脱出不可。別の狐が言ったのはじっとしていれば痩せて出られる。
困難は時間が解決する。
金の卵を生む鵞鳥・・・P/PCのバランスを説く話。効果性についての暗示。
ビーバー(海狸)・・・追いつかれそうになると生殖器を切り取って投げ、命を全うする。
命>財産の暗示。
産の軽さを競う豚と犬・・・四つ足動物でお産の軽さに優れるのは自分だと主張する犬、対して「目の見えぬ子犬を産むのに」と反論する豚。
速さも然りだが、一定の完成度(質)が必要だということを暗示。
猪と狐・・・猪が木のそばで牙を研ぐ。狐がなぜ今研ぐと問うと、「危険に襲われた時には研いでいる暇はない」
刃を研ぐ(7つの習慣)の暗示。
亀と鷲・・・空を飛びたいと懇願する亀。
鷲は渋々亀をつかんで飛び立つと、上空から放してしまった。
張り合う心から我が身を損なってはいけない。
烏と白鳥・・・白鳥の白さに憧れた烏は、餌場の祭壇を去って、池や川に住んだ。
当然色は変わらないし、飢えて死にそうになった。
生き方で本性は変えられない。 -
子どもの時、絵本で出会った印象だけど、ギリシャ神話も含まれてる、と知って改めて全訳(?)を手にしてみました。
(出典はいろいろあるらしいですが)
もちろん、お馴染みの動物ものも、あり。
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「北風と太陽」など知っている話があるのに、しっかり読んだのは今回が初めて。続けてイソップ寓話集を2冊読んでみるたところ、物語の並び方が違う本を読んだおかげか記憶に残りやすかった。神々の名前の注釈を読むたびにソクラテスやプラトンにも手を広げたくなる。
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人間の本性というものはいつの時代になっても変わらないんだなぁと、つくづく思った。
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500近いストーリーをひたすら読む。
西洋の考え方を楽しく学べる。
教訓もたくさん学べる。おすすめ。 -
人間って切ない。