女の平和 (岩波文庫 赤 108-7)

制作 : 高津 春繁 
  • 岩波書店 (1975年6月16日発売)
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  • レビュー :10
  • Amazon.co.jp ・本 (154ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003210871

女の平和 (岩波文庫 赤 108-7)の感想・レビュー・書評

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  •  セックスストライキで平和を!家計(オイコノミア)のやりくりをお手のものとする女たちが、「男の金玉をつかむ」ことでスパルタとアテナイ間の戦争を終結させる。古代ギリシアの下ネタも、21世紀に通じるのだなあと感じた一冊。

  • 初読

    チラッと見かけた
    「戦争ラブな男とセックスしない女の会」
    の元ネタ?か、へぇー、と思って読んでみた一冊。

    内容自体はサラッと読めるんだけど、
    注釈で結構時間を取られたなー
    約2500年前にこれが書かれて上映された、と思うと
    人間とは…!
    としばしぼうっとしちゃうね。

    コメディ部分、男の言い分女の言い分の普遍さ、
    「文化」とは案外人間のプリミティブな部分なのか!?
    芝居としてもシンプルな面白さだなー

    「(ぶって無理やり手を出そうとしても)すぐにやめるでしょう。
    男は女の協力なしには決して愉快にはなれないんですもの」
    「だけど(男と女とは)事情が違います。男は白髪混じりになっても、
    さっさと子供みたいな若い女と結婚できる。」

    そして、この頃からこちらでは下のお手入れされてるのが良しなんだなー。

    下ネタが面白い世代、高校生も読んだらいいんじゃないかなw

  • 「性的ストライキでもって、ギリシャの女たちは平和を勝ち取った。」
    ギリシャ時代初期の戯曲にして、史上初の平和思想を謳った書物だとも云われる。有名な古典である。しかし、それだけで読んだ様な気持ちになって未読のままだった。しかしやはり読んでみないとわからない事は多い。

    最近「テルマエ・ロマエ」という「ローマのお風呂」という映画が大ヒットしている。その中でも、戦争で疲弊しているローマ兵士の疲れをいかに癒やすかということが大きなテーマになっていた。

    男たちは戦争を始める。それが大前提になっている。そして女たちは間違いない無く全員戦争がなくなればいいと思っているのである。喜劇だから、表明できたのだろう。しかし、その表現の素晴らしいこと!

    提案者が「戦争を終わらせるにひと肌脱いでくれる?」と聞くと、女たちは一様に賛成する。「私はね、平和が見えるというなら、ターユゲトスの頂上にだって行く」この山は2407mらしい。ちょっとした大登山である。カロニーケの反応が最も面白い。「私はね、まるでカレイの様に身をふたつに割いて、半分を喜んで提供するわ」さらにもう一度念を押す。「やりますってさ、たとえ死ななくちゃならないったって」で、性的ストライキを提案すると直ぐに意見を翻す。「ほかのことなら、なんだっていいけど、必要とならば火の中だって歩くわよ。(性のストライキだけは勘弁してということらしい)」でも、説得されて本当に平和がくるの?と段々本気になって行くのである。「暴力で無理矢理やってきたら?」この答えがいい。「仕方ない、しぶしぶ従うのよ。暴力で得たものに楽しみはなし」「なあに、すぐにやめるわよ。女と協力しなければ、男は決して愉快になれないんですからね」ローマ市民たちが大笑いしているのが目に浮かぶ。

    お風呂文化と云い、この様な観劇文化と云い、人類は果たして「進歩」しているのか。

    読んで分かったのは、彼女達の戦略はこれだけでは無かったのである。アクロポリスを同時に占拠して、戦費の凍結を図っているのである。

    役人との問答で、戦争を止めるにはどうしたらいいか。紡錘の糸の喩えでもって説明している。
    「第一に、洗い桶で生の羊毛を洗う様に、このポリスから油脂と汚れを洗い落として、台の上で無頼漢どもをたたき出し、アザミを摘んで取り除き、政権を求めて党をなし羊毛の中の塊みたいになっている奴らを梳きほぐし、その核を抜き取らなくてはなりません。それから市民、在留外国人、外国人、それから国庫の債務者も、みんないっしょに混ぜ合わせ、全体に共通の善意という糸巻き籠の中へ梳き入れる。それからこの国の植民都市を一つ残らず、これは別々に引き出した糸と同じに考える。次にみんなから糸を取り、ここに集め、一つにまとめ、それから大きな糸玉をこしらえあげて、この玉から国民の外套を縫ってあげなくちゃなりません。(49p)

    昔も今も平和を実現するためには、畢竟、内政を良くし、外交で勝ち取るしかないのだ。
    (以上2012年記入)

    「女の平和」アリスト・パネース 岩波文庫
    この前の「戦争ラブな男とはHしない女の会」の誕生を知って、この作品を思い出したので、再読してみた。

    時は紀元前411年。アテナの市民たちがスパルタと戦争をしていたペロポネソス戦争(前431-404)の最中に上演されたギリシャ喜劇である。日本では弥生時代中期に当たる。長い戦争をアテナ市民はなぜ止めることが出来ないのか。心ある人々は当然思ったことだろう。しかし、それは「みんなで負けよう」ということと同じだったのだろう。しかも、撤退する理由が見つからない。ならば、どんな犠牲が起きようとも前に進むのみ。市民の議会はずっとそう結論つけていたのだろう。この理屈に現代も、多くの人々が同意するかもしれない。

    そういう時には、理屈が必要なのではない。新しい価値観が必要なのである。その時に新しい演劇は、文学は、大きな力を発揮するだろう。

    もちろん、この演劇に全くの理屈がない訳ではない。p49のリューシストラテーの「新しい政治構想」はその一つだろう。けれども、この演劇の素晴らしいのは、リューストラテーがセックスストライキをやろうと提起した時に、女たちはア・プリオリに、理屈抜きに、戦争をやめることに賛成していたことなのである。

    リューシストラテー だけど、もしこの私が方法を発見したら、あなた方は私を助けて、この戦争を終わらせるのにひと肌脱いでくれる?
    ミュリネー もちよ。私はやるわよ、たといこのマントを脱ぎ捨てて、今日ただいま‥ぐっと飲み干さなくちゃならないとしてもね。
    カロニーケ 私はね、まるでカレイの様に身を二つに裂いて(扁平なカレイは一つの魚の身が割かれていたと思われていた)半分を喜んで提供するわ。
    ラムピトー 私はね、平和が見えるというなら、ターユゲトスの頂上(海抜2407m)にだって行くわ。(15p)

    中にはカロニーケのようにセックスストライキだとわかるや否や尻込みするようなコメディパートの女性も配置しつつ、彼女たちに誰1人として悩みはない。同時に財政倉庫も急襲して押さえておくという戦術的な抜け目のなさもある。

    このことは、二つの大切なことを我々に教えてくれていると思う。
    一つは、子どもを産み育てる女性たちは、本質的に反戦で一致出来るということである。集団的自衛権一色に染まりつつあった自民党現役幹部に異論を出したのが、母親になった野田聖子だったというのが非常に象徴的だろう。
    一つは、休戦した時の相手の出方論など全然くよくよ悩んでないことである。先ず第一に戦争を止める。その後の理屈はその後に考えるというスタンスなのである。反対に言えば、具体策を考えるのは、国や男たちの役割なのだ。私は基本的にそれで正しいと思う。
    2014年5月15日読了

  • いやはや全く。そういうことで男どもが戦争をやめるなら、「女性たちよ 団結せよ」。冗談はさておき、古代の「性」に対する信仰心が感じられました。

  • ペロポンネソス戦争中のアテネ。女達が戦争をやめさせるために行ったセックスストライキ。アクロポリスにたてこもる女。女の説得を行う男たち。スパルタでのストライキ。

    市川図書館
     2010年5月28日読了

  • 女たちのセックスボイコット

    いつの時代も
    女は強い。

  • 結構コミカルな作品。古代ギリシャでも、男性器はより大きいほうが好まれていたことが読み取られる。当時の歴史はよく知らないが、すでに「ギリシャ」というイメージがあって「ギリシャ」を救うことがテーマだったことを知って新鮮に思う。後は、女の強さと大事さ、女と協力しなけらば男は愉快に生活送れないという主張が。

  • 作者はソクラテスと同じ時代を生きたギリシャ喜劇の大家。

    アテネ・スパルタの戦いを止めるべく
    ギリシャ女たちが敵味方を超え団結!!!!
    男たちの無謀な戦争に反抗して
    彼女たちがとった方法とは!?(笑)

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