変身物語 上(オウィディウス) (岩波文庫 赤 120-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003212011

作品紹介・あらすじ

古代ローマの天成の詩人オウィディウスが、ストーリーテラーとしての手腕を存分に発揮したこの作品には、「ナルキッソスとエコー」など変身を主要モチーフとする物語が大小あわせて250もふくまれている。さながらそれはギリシア・ローマの神話と伝説の一大集成である。ラテン語原典の語り口をみごとに移しえた散文訳。

感想・レビュー・書評

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  • 昨年「失楽園」「神曲」と再読した流れで今度はこれを再読。どの話も面白いけれど、冷静に考えると神様たちのセクハラ、パワハラが結構ひどくて、たまに引く(苦笑)

    変身譚としてはメジャーどころのナルシスの神話や、アンドロメダとペルセウス、ダイダロスの迷宮&イカロスの落下、ヘラクレス、メディアなど変身譚以外の有名な挿話もこの巻に収録。

    個人的に一番インパクトがあったのは「テレウスとプロクネとピロメラ」の話で、妻の妹の美貌に心奪われた夫が騙して彼女を連れてきて強姦、あげく舌を切り監禁。気づいた姉が妹を救出して夫への復讐として我が子を殺して夫の食卓に出すという、のちのシェイクスピア「タイタス・アンドロニカス」や、グリーナウェイの映画「コックと泥棒、その妻と愛人」などにも引き継がれている復讐=カニバリズムのテーマ。神様もひどいが人間も怖い。

  • 天才すぎるわ、オウィディウス。
    彼の詩的センスや比喩的技法、描写、表現力、劇的で激しく展開する飽きのないストーリーテリングの力には驚嘆と尊敬に値するレベル。
    多数の小話が連続して語られるこの形式にも舌を巻いた。
    まず、正確で無駄のない情景描写力がすごすぎる。
    ペルセウス対ビネウス率いる軍隊の戦い描写は、まるでスピルバーグの『プライベートライアン』よろしく、激しさと生々しさに満ち溢れ臨場感マックス。
    スプラッタや暴力、変身場面のグロテスクな表現も手抜かりなく貫き通す心持ちにも拍手。
    随所にホラー、ロマンス、アクション、ミスリード、語り、悲劇、喜劇など高度な手腕によって紡がれる諸々の要素は分析の価値あり。
    負けてらんねえなー。

  • 登場人物、というか登場神物?の名前がどうしても覚えられない。
    途中で覚えるのを諦めた。ユピテルとかユノーとか、えらい神様がいるらしくて、あとはいろんな神様が誘惑したり、騙したり、暴力ふるったり、愛したりして、わさわさしてる印象。
    とはいえとりわけ美しいのは、そんなあらゆる神たちが、鳥とか虫とか植物に変身するとき。変身するとともに、神たちは、神たちの世界を降りる。
    いわばこの世に出家したのだと思う。

  • ギリシア神話熱の一環。

    変身をテーマに据えて、ギリシア神話の様々なエピソードが語られる。まず驚くのが、それらすべてが緩く数珠つなぎにされているところ。語るうえではとにかく切れ目がないし、時に入れ子構造になったりもして、一本道なのにラビュリントスにいるみたい。物語の舞台や変身の種類を起点に各エピソードが連綿と繋がっていくから、時系列的には無茶なことにもなっていそうだけど、それがちっとも残念でなくて面白い。しかもオリジナルは韻文とはあっぱれ偏執的。この膨大な語り、豊潤な描写が全部……。
    再話の中に時おり、著者の同時代の科学(哲学)が顔を出すのも面白い。とはいえこれは、著者の時代も古典だからだろうな。近現代の作品じゃなくてよかった。
    メデイアの逃避行に見える、変身譚ゆかりの地名尽くしがお気に入り。逃亡を描く中にも抜かりない。

  • 主に人間、あるいはニンフなどが偉い神様の怒りに合い変身させられていく動物の起源のはなし。
    襲ってくるユピテルから逃げただけで、それがユノー女神(奥さん)にばれただけで、どうしてひどいと思う。神様自己中すぎるよ。ナルキッソスもエコーやその他おおぜいの男たちの願いで自分に恋したのか。ただの振られた恨みじゃないか。

    デウカリオンとピュラはノアの方舟に似てる。人間だけだけど。

  • [ 内容 ]
    <上>
    古代ローマの天成の詩人オウィディウスが、ストーリーテラーとしての手腕を存分に発揮したこの作品には、「ナルキッソスとエコー」など変身を主要モチーフとする物語が大小あわせて250もふくまれている。
    さながらそれはギリシア・ローマの神話と伝説の一大集成である。
    ラテン語原典の語り口をみごとに移しえた散文訳。

    <下>
    もの音ひとつしない静寂のなか、おぼろな靄に包まれた、嶮しい、暗い坂道を、ふたりはたどっていた。
    もう地表に近づいているあたりだったが、妻の力が尽きはしないかと、オルペウスは心配になった。
    そうなると、無性に見たくなる。
    愛がそうさせたということになるが、とうとう、うしろを振りかえった。
    と、たちまち…(「オルペウスとエウリュディケ」から)。

    [ 目次 ]
    <上>
    世界の始まり
    人間の誕生
    四つの時代
    巨人族
    リュカオン
    大洪水
    デウカリオンとピュラ
    ピュトン
    ダプネ
    イオ〔ほか〕

    <下>
    アケロオスとヘラクレス
    ネッソスとデイアネイラ
    ヘラクレスと死の衣
    リカス
    ヘラクレスの神化
    アルクメネとガランティス
    ドリュオペとローティス
    イオラオスと若返りの恵み
    ビュブリスとカウノス
    イピネとイアンテ〔ほか〕

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • ギリシアの神々と英雄たちバンザイ!女神も情欲もよおして積極的でいい。花に木に鳥に河へと変わる物語。惜しげもない数々の物語に心躍る。ギリシア神話、『イリアス』『オデュッセイア』を読んでから読んだ方がいい。

  • (市×/県?)

  • モンテクリスト伯の中で、ピュラモスとティスベの話がちらりと出て、調べてみたらたどり着いた本。
    誰が誰とどういう関係なのか、よくわからない。似た名前出てくるとお手上げ。

    「えうほい!」

  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』
    書斎の本棚から百冊(立花隆選)81
    世界文学
    まあ、最低こんなところを。

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