ユートピア (岩波文庫 赤202-1)

制作 : 平井正穂 
  • 岩波書店 (1957年10月7日発売)
3.57
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  • レビュー :66
  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003220214

作品紹介

表題の「ユートピア」とは「どこにも無い」という意味のトマス・モア(1478‐1535)の造語である。モアが描き出したこの理想国は自由と規律をかねそなえた共和国で、国民は人間の自然な姿を愛し「戦争でえられた名誉ほど不名誉なものはない」と考えている。社会思想史の第一級の古典であるだけでなく、読みものとしても十分に面白い。

ユートピア (岩波文庫 赤202-1)の感想・レビュー・書評

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  • 「ユートピア」という語は、その語が示す世界が非常にあいまいにもかかわらず、広く一般に用いられている。あいまいだからこそ常用されるのか?ひとつだけたしかなのは、人がこの語を持ち出すとき、社会に対してなにがしかの不満や逃避願望が見え隠れするということだ。

    16世紀、「ユートピア」なる語を生み出した男は、明らかに社会に不満を抱いていた。彼は架空国家を活字で創造し、それを現実社会と比較することで、それの異常さを告発しようとした。彼は登場人物の口を借りてこう言う。

    「・・・正義の行われている国とは一切のものがことごとく悪人の手中に帰している国のことであり、繁栄している国とは一切のものが少数派の独占に委ねられており・・・、他の残りの者は悲惨な、乞食のような生活をしている国のことである・・・」

    言いえて妙である。権力によって捻じ曲げられた「正常」を隠れ蓑にして「異常」が行われていることを暴くのに、これほど的をえた文句もない。

    「ユートピア」と聞いて、同書が理想郷を称揚する作品だと思うのは勘違いだ。断言できる。これはディストピア作品である、と。彼が批判対象としたのは、権力者のみにとっての「ユートピア」であった同時代なのである。

    同書は16世紀に書かれたわけであるが、16世紀という時代がいかなる様子であったのかを想像するのにも役立つであろうし、まだ現代にも同じ文句が通用することから言って、過去の遺物でもないだろう。そしてなにより、「社会思想史上の第1級の古典」ではあっても、読みものとして単純におもしろい。

    著者によって開かれた批判の目は、彼の肉体が処刑台に消えたとしても、「ユートピア」が現出しないかぎり閉じることはないだろう。

  • (1973.05.07読了)(1973.01.27購入)
    (「BOOK」データベースより)
    表題の「ユートピア」とは「どこにも無い」という意味のトマス・モア(1478‐1535)の造語である。モアが描き出したこの理想国は自由と規律をかねそなえた共和国で、国民は人間の自然な姿を愛し「戦争でえられた名誉ほど不名誉なものはない」と考えている。社会思想史の第一級の古典であるだけでなく、読みものとしても十分に面白い。

  • 学生時代に読んだ本。この方の娘たちが勇敢であることに感銘をうけた。

  • 中世からルネサンス・宗教改革の過渡期を生きたトマスの ・モアが残した著名な社会思想上の古典。この歳になるまで読まずに来てしまったが、もっと早く読んでいれば受け止め方も違ったなもしれない。

  • 【印象】
    どこにもないありえない明るい国。
    具体的な市街や気候、文化、歴史についてはあまり述べられず、宗教や戦争、気質、慣習を曖昧に描写する部分が大きいです。
    とりわけ経済に関しあまりにも楽観していますので、現実的な考えを読みとりたい人にはお薦めしない作品です。

    【類別】
    小説の形をしています。
    ユートピア/ディストピア。実話的虚構。作中作の要素も。

    【脚本構成】
    概観すると三部構成であり、理想郷に行ってきたと語る人に会って話すまでがひとつ、その社会文化その他を語りつづけるのがひとつ、最後にちょっとしたものがひとつ。
    筆者が作中に登場します。

    【表現】
    語る一人称視点と聞く一人称視点。

  • 実現可能性は抜きにして、500年前から原始社会主義的な国家とその営みを書き記している想像力に感激した

  • 正義、平和など考えさせられる。

  • ユートピア(どこにも存在しない、という意味)という名前の国家に滞在した人物からその国家の全貌が語られる物語。全体的に、国家としての特徴・社会について纏められた本となっているので、物語性を求める人には向いていないかも。
    ただし、所謂ディストピア小説を好む方には一度は読んでもらいたい内容となっている。
    理想郷=汚れ(戦争・奴隷)が無い世界?
    財産(金銀財宝)についての価値観はどうなる??
    など、疑問を抱きながらページをめくれる一冊となっている。

  • 世界を見聞したヒスロデイから、モアがユートピアという国の話を聞くという構成。モアは15世紀から16世紀初頭の人。
    ヒスロデイの話が終わったところで個人の喜びがひどく無視された話だと感じた。その後のモアの感想で承認できない、議論すべきところがあるという書きぶりで何を訴えたいのか改めて考えたが、簡単に煮詰まる話でもなさそうだ。
    解説によると、モアには宗教と国家の葛藤があったようだ。

  • モアの描くユートピアには奴隷がいて、便器が黄金。

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