リア王 (岩波文庫)

制作 : William Shakespeare  野島 秀勝 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 388
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003220511

作品紹介・あらすじ

三人の娘の愛情を試そうとした老王リアは、末娘コーディーリアの真心を信じず、不実な長女と次女の甘言を軽信して裏切られる。狂乱の姿で世を呪い、嵐の荒野をさまようリア-そして、疲れはてた父と娘の美しい再会と悲惨な結末。古代ブリテン史のひとこまに材をとった、シェークスピアの作品中もっとも壮大にして残酷な悲劇。

感想・レビュー・書評

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  • シェイクスピアの悲劇。例によって救いようのないお話です。

    学生時代、政治思想系の講義のレポートを書くために読んだ記憶があります。人間にとっての「必要(need)」とは何か、というような議論でした。"おお、必要がどうのこうのと屁理屈を言うな"(P.133)。結局そのレポートは出さずに「不可」を頂戴したのですが。

    悪役エドマンドの仕掛ける謀略はなかなか手が込んでいて、いわゆる四大悲劇の中でも特に構成が練られているという印象を受けました。またこの岩波文庫版は脚注が細かくついていて、とりわけ道化が発する言葉の含意が読み取りやすくなっています。

    末尾の訳者解説は単なる解説というよりも独自の視点からの分析になっていて、読みごたえがありました。シェイクスピアに関してはどちらかというと作品そのものを味わうよりも、作品についてあれこれ語られたものを読むほうが楽しいですね。

  • 塵、糞、粕、粗末な喜劇。前回、ギリシア神話の悲劇「オイディプス王」に最大の賛辞を送っただけに、青ざめるほどのつまらなさを感じた。そもそも悲劇とは何か。例えば、東日本震災を悲劇と見るとき、平穏に暮らしている人々の上に突如として不幸が襲ったために、悲劇として見る見方が成立する。対し、囚人を閉じ込めた監獄の天井がある日突如として落下し全員くたばったところで、これは喜劇である。これに当てはめれば、リア王は喜劇でしかない。また、例えば、男が自分の真上に高くボールを投げあげて、そうしてから男は自分が老体であることに気付いた。男は落下してくるボールを受けきれずに広い額に当たって動転、尻もちをついた。これはやはり喜劇である。そのまま死んでしまえば喜劇でないにしろ、絶句である。その絶句は、呆れでしかない。リア王はこの、呆れでしかない。で。悲劇でないから、作品が糞であるとかそういうことでは当然ないから、ひとつひとつ指弾していかなければならない。そのゴミ具合を。たくさんあって書くのも面倒臭いが、例えば何故コーディリアは王を愛したのか。作品からは、純朴の者が単に純朴さ故に父を愛した、という程度にしか把握できない。その設定だけでは昨今のライトノベルと同等である。3姉妹において対比される光であるにしろ奥行がない。宇宙から来た美少女が、とにもかくにも醜悪なじぶんを愛してくれる、それだけしかない。同様に、リア王にしても愛される背景が描かれていない。親と娘の信愛が無条件で成立している、とする作品は砂粒の数ほど存在するが、あくまでもそれは俗悪なもので、大衆に愛されるのかも知れないが、世界文学であってはならない。リア王がそれであるなら、ではちゃんと書け、としかわたしには出てこない。この話が、仮に世界の縮図であるなら(少なくともオイディプス王はそうだった)、せいぜい日本のバブル期の巨人の星がアニメ史上最高視聴率を獲得した時代にしか通用しないだろう。まだある。リア王は自ら狂人であるというし、読者もまたリア王は狂っているとためらいなく書くが(amazonなどを見る限りでは)、そんなに狂っているだろうか。会話の筋は通っている。単に幼稚なだけではなかろうか。狂人というより愚者である。終始王には道化が付きまとう。道化は狂人かも知れないが、わたしのなかでは彼の役割は預言者である。王も道化も狂人というならば、単純にキャストが被っている。ではわたしの読みに従って、愚者に預言者が付き添う、としたらどうだろう。オイディプス王では、懸命な王に預言者が助言をするが王は許せず突き返した、そして悲劇に繋がるわけである。そこを愚者に置き換える。愚者に預言者が預言を与えても愚者は何も解さない。道化は道化のままである。道化の役割も今一つとしか思えない。誰ひとり劇のなかで輝かない。喜劇にすらなっていない退屈なものだった。

  • シェークスピアは、部分的にしか読んでませんでした。あらためて、悲劇作品を通じてシェークスピアの天才を垣間見た感じです。

  • シェイクスピアの四大悲劇の一つ。読むと現代にも通じる愛憎劇あり。ブリテン王リアや道化、エドガー扮する乞食の狂気ぶりも描かれ、読むのに苦労した。

    この狂気ぶりがシェイクスピアの「リア王」では非常に特徴的であるらしく、伝統的な秩序を重視するエドガーら善玉と新しいやり口で秩序を破壊していく悪玉のエドマンドらとの間で起こるギャップを道化の”狂気”を通して描いている。

    実際読んでみて「リア王」は単純に善玉・悪玉では区別できないものがる。元々、ブリテン王リアやグロスター伯爵は近代的な感覚で見るとかなり問題がある訳であるし、リアの娘であるリーガン・ゴネリル、グロスターの庶子であるエドマンドが親世代の秩序を破壊していく。一見すると「悪玉」的な行動は中世的な旧弊を打破してやろう、という気概さえ感じられる。


    結果的にリアとグロスターの浅ましい行動から、リア一家はリアとコーディーリアら三人の娘全員が、グロスター家でもグロスター伯爵とエドマンドが死ぬ。主要人物の大半が落命するという悲劇的な結末とともに、エドガーとオルバニーが新たな時代を築くことを決意し終わりを迎える。
    人間の浅ましさがもたらした究極の悲劇と言っていいかもしれない。


    「リア王」の悲劇は読み手によって受け取り方はいくらでもある。それだけの含みを持たせた作品だからこそ、長きに渡って読み継がれてきたのである。

    本書は訳者の野島氏が脚注を本文の下段に付しており、逐一本文の含みとなる意味を確認しながら読み進めることができるので、大変読み手にやさしいように感じた。

  • 初めて手にしたシェイクスピアでした。10代のはじめに読んだのかな。
    正しい人が、したたかな人に陥れられる、厳しい現実を感じながら読んだのを覚えています。

  • リア王は自分を裏切った娘を罵倒するシーンがあってその言葉が「ここまで言うか」って思うほどひどいんです。だけど、リア王の台詞や現代の小説にはない表現がされていて思わず読んでしまいました。小説ではないので読みにくいかもしれませんが、慣れると面白いです。

  • 本文はそれなりによかったのだが、解説を読むのに疲れた。他の訳者の本も読みたくなった。

  • ブリテンの王であるリアは、高齢のため退位するにあたり、国を3人の娘に分割し与えることにした。長女ゴネリルと次女リーガンは言葉巧みに父王を喜ばせるが、末娘コーディリアの率直な物言いに、立腹したリアはコーディリアを勘当し、コーディリアをかばったケント伯も追放される。コーディリアは勘当された身でフランス王妃となり、ケントは風貌を変えてリアに再び仕える。

    リアは先の約束通り、2人の娘ゴネリルとリーガンを頼るが、裏切られて荒野をさまようことになり、次第に狂気にとりつかれていく。リアを助けるため、コーディリアはフランス軍とともにドーバーに上陸、父との再会を果たす。だがフランス軍は敗れ、リアとコーディリアは捕虜となる。ケントらの尽力でリアは助け出されるが、コーディリアは獄中で殺されており、娘の遺体を抱いて現れたリアは悲しみに絶叫し世を去る
    シェイクスピアの四大劇曲の一つ。

  • 有名な四大悲劇のひとつ。解説によると、4つの中でも一番悲劇らしい。

    コーディリアの「Nothingで真実の愛を全てわかって」というのは甘えんぼな気がする。お姉さんたちの言葉はまぁ大げさだけど、だからって疑うのも難しい。
    普段の行動や状況から、相手のことを考えて察するのは素敵な思いやりだけど…みんな悲しい嘘はいいっこなしな世の中になればいいのにね。

    いい子も愚か者も死んでしまうけれど、悪い人たちもやっぱり、最後は悪事がバレてみんな死ぬ。それなら私は、不器用でもいい子で終わりたいなぁ。

  • 悲劇中の悲劇。

    訳し方が下手と言ったらあれかもしれないけど、原文をそのまま訳しすぎて、言葉の意味が成り立ちにくくなっているような感じを受けた。
    最後の方は良かったけど、それまではとても上手く訳されてるとは言えない。

    解説で、なぜコーディーリアとリアが殺されたのか、ということを書いていたのだけれど、その理由は“摂理”らしい。普遍性ではなく宇宙性。興味深い。
    確かに、ただの勧善懲悪な話ではないのには、何かしらの意図があるのだろう。

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プロフィール

1564年イギリス・ストラットフォード生まれ。1592年頃にロンドン演劇界で劇作家として幸運なスタートを切る。およそ20年間劇作に専念し名をなす。1616年没。

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