前半1/3はソファイアのターン。
偶然トムが宿泊する宿に到着するが、そこでトムが女性と同室で夜を過ごしたことを知り、また父親が追ってきたこともあり、即座に宿を出ることにする。
これまたたまたま同じ宿にいた、夫から逃げている従姉とともに、彼女の知る貴族の馬車でロンドンへと向かい、ソファイアは旧知の女性の元に匿われることになる。
そして、ひょんなことからトムは、ソファイアが落としていったサイフを手にすることとなり、「ソファイアに財布を届ける」という大義名分を得てロンドンに向かうことになる。
ええと、トムは二度とソファイアに会わないために、軍隊に入るのではなかったのかしら?
ロンドンで、苦労してソファイアの従姉の居場所を探し当てるも、肝心の彼女に会わせてもらえず、日参することとなる。
閉口した従姉のフィッツパトリック夫人が愚痴をこぼした相手が、ソファイアを匿っているベラストン夫人。
母親のような愛情をもってソファイアを匿っている夫人は、こっそりトムの面相を確認しようと仮装舞踏会に招待する。
で、トムに一目ぼれ。おいおい。
トムのことはソファイアには一言も告げず、トムにもソファイアのことは話さず、理由をつけてはトムを呼び出し当座のお金を渡したり衣装をプレゼントしたり。
トムも、この行為にお返しをするには自分の体をもってするしかないと覚悟するようになり…
もう、この作品ったら、大正時代に書かれた大衆小説もかくやってぐらいのメロドラマ。
しかもことごとくその選択が裏目に出るのに、運命の神は二人を引き離すことなく試練を与え続けるのだ。
ついにベラストン夫人の手違いでトムとソファイアは再会する。
しかし、互いにベラストン夫人の恩義を考えると正直な気持ちは言えない。
ってか、トムはいつ姿を消すんだよ、まったく!
トムの下宿ではまたいろいろと問題が勃発し、女にだらしないこと以外はすべて誠実で思いやりにあふれるトムの美点が発揮された。
いよいよ、トムが下宿先での難問を解決しようかという時、ソファイアについての恐ろしい知らせが届く。
ってところで次巻、最終巻でございます。
いやあ、面白い。
これ、今風に脚色してドラマ化しても絶対面白いと思うんだけどなあ。
ストーリーの無茶ぶりに突っ込みを入れつつ、登場人物の美貌にうっとり。
家族全員で見ても安心な内容だし、視聴後の話題には事欠かないと思う。
サマセット・モームの選んだ世界十大小説に入っている作品なんだけど、本当におもしろいんだから、これ。