コウルリッジ詩集(対訳) イギリス詩人選 7 (岩波文庫 赤221-3)
- 岩波書店 (2002年1月16日発売)
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感想 : 10件
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Amazon.co.jp ・本 (660ページ) / ISBN・EAN: 9784003222133
みんなの感想まとめ
深い孤独や恐れ、そして幻想の世界を描いた詩が展開される作品です。特に「老水夫行」では、孤独に苦しむ主人公がアホウドリを無意味に殺し、その後の苦悩を語る姿が印象的です。この物語は、彼の内面的な葛藤と生へ...
感想・レビュー・書評
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コウルリッジの詩集ですね。
サミュエル・テイラー・コウルリッジ(1772~1834、イギリス生まれ)詩人。
訳は、上島建吉さん(1931~2015、東京生まれ)
英文学者。
コウルリッジは、ワーズワスと並んでイギリス・ロマン主義の開祖と称されています。
〈人生詩編〉〈政治詩編〉〈恋愛詩編〉〈田園詩編〉〈幻想詩編〉の5つの柱をもとに30篇を選出されています。コウルリッジは、幻想詩人とも呼ばれますが、長篇が多いですね。どちらかと言うと、〈人生詩編〉以外は、殆どが長篇詩になります。
対訳ですので、先に英語の原文が紹介されて、訳文が次ページに続く構成です。
「子どもっぽいがとても自然な夢」
ーードイツにて
かわいい双葉の羽をもち
小さくて軽やかな鳥だったなら
君の所へ飛んで行こうものを!
でもそんなこと考えたって始まらないから
ぼくはここにじっとしている。
だけど眠りの中では飛んで行くよ
眠っている時はいつも君と一緒だ!
世界はすべて自分のものさ。
しかし目が覚めてみると、ここはどこ?
ぼくはたったの一人ぼっちだ。
眠りは王様だって引き止められない。
だから夜明け前に目を覚ますのが好きさ。
たとえ眠りは去っていても
暗い間は、瞼を閉ざしてさえいれば、
ぼくはまだ夢の中にいる。
「郷愁ーードイツにて」
一週間都会の人混みの中を
いやでも歩かされる人には
ひとり野山を散策して安息日を
祝福することは快いことである。
あるいは夏の緑陰にわが子たちが
心から、愛情こめて、賑やかに、
集い合って自分の結婚記念日を
祝ってくれるのも快いことである。
しかし何と言っても嬉しさの極みは
長い間放浪の憂目にあった人が
重い荷物を背中からほうり出して
わが家の門口に立つことではないか。
郷愁は身を細らせる苦痛だ、
私には時々刻々その感が強まってくる。
まえがきに、『ワーズワスとコウルリッジは、一時は革命主義に共鳴して行動し、後には幻滅を抱いて田園に逃れ、家庭を築いて詩作にふけった。そのために彼らは、行動したことの悔恨と、行動しないことの後ろめたさを人生半ばまで引きずることになった。もしこの二重の苦悩がなかったなら、両者の詩は全然別なものとなり、ひいてはいきものだったので・ロマン主義も誕生しなかったであろう。』と、訳者の上島建吉さんはかたられています。
長詩を味わいながら、時代のロマンを感じるのもたまには、いいかも知れませんね(=゚ω゚=)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
対訳でなくても良かったのだけど手軽に入手できるのがこちらだけだったのでようやくコールリッジを。有名なのは3大幻想詩(クーブラ・カーン、老水夫行、クリスタベル)だけれど、どうやら幻想詩はこの3作だけなので、コールリッジ自身は幻想詩人というわけでもなかったらしい。割合としては普通の詩のほうが多く、申し訳ないけれど個人的には幻想詩以外に興味を持てなかった。
「クーブラ・カーン」は、ある日コールリッジが「パーチャスの旅行記」を読んでる途中でうたたねした夢の中で見た光景、クビライ・ハンが造営した都ザナドゥ(Xanadu)を描写したもので、ボルヘスの「コウルリッジの夢」でこの作品について言及されている。
「老水夫行」(本書では「古老の舟乗り」)と「クリスタベル」は、どちらもメアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』と縁がある。シェリー夫妻とバイロン、ポリドリが集まっておのおの怪談を書き上げたことで有名な「ディオダディ荘」のエピソード、バイロンがその夜朗読したのが「クリスタベル」、結果メアリはフランケンシュタインを書き上げ、その冒頭で「老水夫行」を引用する。
「老水夫行」は老いた水夫が語る自らの呪われた過去、一種の幽霊船というかさまよえるオランダ人系。神の使いであるアホウドリを射殺した水夫のせいで船は漂流し、他の水夫は皆死んでしまうのだけどゾンビになって蘇ったりしつつ、天使が助けてくれるまで水夫は恐怖体験をし、生き延びた今もその話を語り続けることで償い続けているというもの。
「クリスタベル」は、貴族の美しい姫君クリスタベルがある晩出会った美しい女性ジェラルダインは実は妖魔、何の目的かクリスタベルの父レオライン男爵にとりいり・・・。おどろおどろしく耽美な設定でとても惹かれるのたけど、実は未完なのが残念。
略伝を読むと、妻子があるのに妻と同じ名前の女性(どちらもセアラ)と浮気したり(そしてそれを堂々と詩にするわけで)、病気がきっかけとはいえヤク中だし、末っ子キャラで依存心が強くて、現代人的にはそこそこダメンズなコールリッジ。まああの時代の詩人なんてみんなこんなものなのかしら。
※収録
<人生詩編>
人生/ソネット―オッター川に寄せて/ソネット―大学に向けて学舎を去るに際して/家庭の安らぎ/幼子に寄す/子どもっぽいがとても自然な夢/郷愁/宿なし/失意のオード/青春と老年/島流し/墓碑銘
<政治詩編>
バスチーユの崩壊/アメリカにパンティソクラシーを建設する見通しについて/ロバの子に寄せて/ひとり寂境にあって抱いた不安
<恋愛詩編>
リューティあるいは、チェルケス地方の恋唄/恋/恋の形見/真昼の夢/別離/恋の思い出
<田園詩編>
詩章―ブロックリー谷の左斜面を登る/アイオロスの竪琴/このシナノキの木蔭はぼくの牢獄/深夜の霜/小夜啼鳥
<幻想詩編>
クーブラ・カーンあるいは夢で見た幻視―断章/古老の舟乗り/クリスタベル第一部 -
《目次》
I 〈人生詩編〉
1. 人生
2. ソネット――オッター川に寄せて
3. ソネット――大学に向けて学舎を去るに際して
4. 家庭の安らぎ
5. 幼子に寄す
6. 子どもっぽいがとても自然な夢――ドイツにて
7. 郷愁――ドイツにて
8. 宿なし
9. 失意のオード
10. 青春と老年
11. 島流し
12. 墓碑銘
II 〈政治詩編〉
13. バスチーユの崩壊
14. アメリカにパンティソクラシーを建設する見通しについて
15. ロバの子に寄せて
16. ひとり寂境にあって抱いた不安
III 〈政治詩編〉
17. リューティ――あるいは、チェルケス地方の恋唄
18. 恋
19. 恋の形見
20. 真昼の夢
21. 別離
22. 恋の思い出
IV 〈田園詩編〉
23. 詩章――ブロックリー谷の左斜面を登る
24. アイオロスの竪琴
25. このシナノキの木陰はぼくの牢獄
26. 深夜の霜
27. 小夜啼鳥――会話詩
V 〈幻想詩編〉
28. クーブラ・カーンあるいは夢で見た幻想――断章
29. 古老の舟乗り
30. クリスタベル 第一部 -
バーティがよく引用する「老水夫行」がいったいどんな詩なのかと思って。
せっかく船を導いてくれそうだったアホウドリを意味もなく殺しちゃって死骸をくびから十字架のようにかけられて、なんとか生きて帰ってきて、あげくにその体験を結婚のお祝いの場に行こうとしている若いもんをつかまえて語りきかせるなんて!おいおい(笑)と思う。 -
孤独を恐れる社会的な生き物である彼の悲劇の物語『フランケンシュタイン』を読んだ時から気になっていた、サミュエル・テイラー・コールリッジ『老水夫行』
「・・・それはさながら、寂しき道を行く人の恐れ、おののき歩むさま、ひとたび頭を巡らせば、二度と振り向くこともなし。 フランケンシュタインより」 呪いから解放され港へと戻ることができた老水夫と対照的な彼には、名前がなかったね。
孤独で不安だった彼が船から飛び降りた。あれは、黒い波の彼方へ落ちて行く夢だったね、漱石の第七夜。 -
コールリッジは19世紀イギリスの詩人
アメリカ・サスケハナに原始共産社会「パンティソクラシー」を実現
しようとするも挫折し
その後、アヘン吸引にはまりつつロマン派として名声をなす
代表作は、アヘンの幻覚を描いたものとして知られる「クーブラ・カーン」など
ザナドゥに建立されたクーブラ・カーンの壮麗なる歓楽宮は
多くの戦いと、多くの死者の怨嗟を吸い上げて
美しい音楽に変える
そこは生と死を円環としてつなぐ場所である
それがコールリッジにとっての「世界の終り」だ
アビシニアの美しい乙女がつまびくダルシマーの音色こそ
ザナドゥの入り口であると彼は言うが
現実にその役割を果たすのはアヘン吸引である
クーブラ(クビライ)・カーンは、ジンギスカンの孫であり
元の皇帝として、敵・味方問わず多くの人命を奪ってきた
…暴力の上に築かれる理想
それをふたたび夢見る者たちのロジックが、のちに多くの悲劇を生む -
「クーブラ・カーン」「古老の舟乗り」「クリスタベル」など収録。
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「クブラ・カーン」「クリスタベル」「古老の舟乗り」など、幻想詩を漏らさず収録、和訳。
卒論に古老の舟乗りを組み込みたかったけれど、こりゃあ一大事ですね。
阿片常用の詩人が描く幻想に憧れて読みはじめましたが、手痛いことになるかもしれません。
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