高慢と偏見 上 (岩波文庫 赤 222-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (337ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003222218

感想・レビュー・書評

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  • 登場人物の心理描写の、なんと細やかなこと!ベネット家の次女エリザベスの目に映るダーシーはとことん高慢で無愛想なのに、ダーシーは抑えきれないほどエリザベスを思っていること、シャーロットの策略、上の者に媚びるビングリーの態度なども滑稽に描かれていた。ダーシーの突然の告白、エリザベスの拒絶、その後に届いたダーシーからの手紙で、あれほど熱心だったビングリーが急にジェーンのもとを離れてしまった理由と、ウィカムの裏の顔が明らかになる部分が一番盛り上がる。ダーシーに対するエリザベスの気持ちの変化はあるのだろうか?下巻が楽しみ。

    p35
    「高慢は、」と、考察の堅固なことを得意にしているメアリが言った、「誰にもある弱点だと思うわ。これまでわたしの読んだすべての本によって考えても、それは万人共通的のものだと思うのよ。人間の性質は、とかく高慢に傾きやすいんだわ。そして実際にせよ、想像だけにせよ、何かしら自分の特質に自己満足を感じない人は、ほとんどいないと思うわ。虚栄と高慢は、よく同じ意味につかわれる言葉だけど、まるで別なんだわ。虚栄がなくても、高慢な人もあるんだから。高慢は、自分自身をよく思うことだし、虚栄は、人によく思われたいってことなんだわ」

    p132
    しかしわれわれのうち誰一人として、始終一貫しているものはありません。

    p194
    「でも、ねえ、最上の場合を想像するとしても、その方の姉妹やお友だちたちが誰か別の人と結婚すればいいと考えている方といっしょになって、それでわたししあわせになれるかしら?」
    「それはあなたが御自分できめなくちゃ」エリザベスが言った、「よくよく考えてみたうえで、その方の二人の姉妹の心に従わない心苦しさの方が、その方の奥さんになるうれしさよりも大きいなら、わたしはどこまでも、拒絶なさい、と忠告するわ」
    「どうしてそんなふうに言えるの?」ジェーンはかすかな微笑をうかべて言った、「その場合だったら、御姉妹たちが賛成してくださらないのはとても悲しいことだとは思っても、わたしはちゅうちょしちゃいられないわ」

  • ずっと気になってた高慢と偏見。ようやく読み始めた!
    長ったらしい台詞が多くて読みやすいとは言えないものの、ハマるとエリザベスを好きになれる。
    でも彼女の何がそんなに魅力的でダーシーを惹きつけるのかと問われると、そこはうまく説明できないな…。
    コリンズ氏のプライドばっかり高いくせに退屈極まりない性格はよーく伝わるが。
    さすがにこの小説は新訳の方がわかりやすいのかも?

    それにしても当時のお嬢様達の暮らしの退屈そうなことよ。高等教育を受けるでもなく働くでもなく毎日毎日何してるんだろうと不思議になる。こんなに時間を持て余してたらそりゃ軍の男の子を追いかけ回したくもなるかも。
    親戚の家へ6週間も滞在するっていうのも驚き。

  • ロマンス読みとして一度は読んでおきたかった超有名作品。
    映画とドラマは視聴済みでストーリーはわかっているのでひたすらダーシーに萌えながら読む、という邪道?な読み方を。
    高慢だと批判していたダーシーの手紙を読んで偏見を持っていたことを自覚するエリザベスのシーンが印象的。
    高慢だったのは一体どっちだったのだろうか。

    「高慢は、誰にもある弱点だと思うわ。」

  • 高慢は自分に自惚れ他を見下すこと
    虚栄は自分の凄さを周りに認めて欲しいとすること

  • いやあ、金持ち娘のどーでもいい恋愛の話かよ…っと思って下がり気味で読んでたんだけど、だんだん面白くなってきた。まあ、なんとなく落ち着くとこに落ち着くんじゃないか感は漂ってるんだけど、古典なのに凄く読み易い。続きが楽しみ。 

  • ◆素直になれない男女のムズキュン◆
    表紙やタイトルからして「難しそう…」と思ってしまうのは、もったいない!とりあえずエリザベスとダーシーに注目して読んでみてください。第一印象最悪な二人がすれ違いながらも、惹かれあっていき…ってまるで少女マンガです。素直になれない不器用な二人がもどかしくて、ハラハラドキドキ。ドラマ化や映画化で、ツンデレなダーシーに胸キュンする人も世界で続出。登場人物たちの心の動きが生き生きと描かれた名作です。

  • 高慢と偏見、資産家の男性と結婚できるかどうかが女性の人生の全てを左右する時代。学歴や知識を身に着けた女性でも、自立して仕事をする道はなく、自分を養ってくれる男性と結婚できなければ惨めな人生が待っている。高慢と偏見でお互い誤解しあっている男女が最終的には結ばれる、その過程が本当に楽しいです。現代でも女性差別は残っているけれど、当時と比べると女性の地位は格段に向上している。それなのに、高慢と偏見に共感を感じるのは、現代でもお金持ちの男性との結婚が女性の幸せという価値観が残っているからなのかもしれませんね。

  • ダーシーに起こった変化は、「注文を寿司屋の大将に拒否されて驚いた資本主義信奉者の客が、書いての高慢を捨て、売り手との共創について考える」という類のもので、非常に普遍的なパラダイムチェンジといってよいものである。一方エリザベスに起こった変化は、アドホックに一人の人間に対する一つの偏見を解消するもので、彼女は「私偏見いだきがち〜今後の人生では第一印象で判断しないように気をつけよう〜♪」くらいの示唆しか得ないだろう。ここに高慢&偏見と双頭のテーマとなるには些かアンバランスさを感じた。強いて注文をつけるなら、であるが。

    手垢のついた解釈だが、結婚やシンデレラ願望が、資本主義闘争的な面を、これは現代においても多分に含み、そこまで卑下されるべきでないところであることは、学びになった。

  • 恋愛モノと大雑把なカテゴリですみません。
    イギリスの上流階級の生活、風俗、風土、自然、
    そして交際、社交界、恋愛など。
    優雅というか、根本は人間、たいして現代と変わりない。
    そうか?

  • 数年に一度のペースで読み返している小説。

    18世紀イギリスの中産階級家庭を舞台にした古典文学、といっても全く堅苦しいものではありません。好奇心旺盛で知的、活発な主人公エリザベスと、聡明で思いやり深い姉ジェーンが結婚に至るまでの過程をユーモラスに、ある意味下世話な目線で描いています。主題は「結婚」ですが、高尚な哲学とか苦悩とかドラマチックさなどとはまったく無縁。結婚には家同士の格や財産などの条件が最重要事項であり、登場人物たちは当然のこととして、恋愛感情と同時にそういった条件部分を判断していきます。

    登場人物それぞれが長所も短所も持ち合わせており、例えばエリザベスには第一印象だけで相手を評価する「偏見」が、相手のダーシーには後に誤解は解けるものの「傲慢」さという欠点があります。エリザベスの父は皮肉屋、母や妹たちに至っては軽薄で短絡的でオバカな部分しか描かれていないといってもいいほど。彼らは鼻につきもするけれどどこか滑稽で、身近にもいるわこういうタイプ!と思わされる。脇役たちの身勝手さもこの小説の大きな魅力です。

    人生が変わるような教訓はひとつも出てこない。読み始めと読後で変わるものなどは一切なし、だからこそ大好きな小説です。結局いつの時代もどこの国でも、人間って変わらないんだよなあ、と思わされるしね。

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