ギリシア・ローマ神話 (岩波文庫 赤 225-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003222515

感想・レビュー・書評

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  • 19世紀の米作家トマス・ブルフィンチによる神話入門書。1913年の翻訳時には、夏目漱石が序文を寄せている。

    Wikipediaによると、翻訳者の野上弥生子は夏目漱石の門下生と結婚した縁から作家デビューし、1985年に99歳で亡くなるまで文壇で長く活躍したとのこと。っ全然存じませんでしたスミマセン。原書が1855年、その翻訳が1913年で、その後改訳で手を入れられているとはいえ、さすがに古めかしい雰囲気の漂う本書。しかし手にとってみると、文章自体は読みにくくはない。ただ翻訳はいいとして、やはりギリシャ神話は人物名が多すぎて、ある程度知っていないと読む進むのはなかなか大変。とはいえ、結局読まないと人物名も覚えられないわけで。そのあたりの、神話の世界に入っていく上でのジレンマみたいなものを、できるだけやわらげてくれる入門書として、本書は優れたものではないだろうかと思う。巻末にはギリシャの神々の系譜図も載っており、さらにインド・北欧神話の概略も把握できる。

    後半ではホメロスの『イリアス』『オデュッセイア』、ウェルギリウスの『アエネーイス』のダイジェストが語られる。かなり大幅にカットされているにも関わらず、これだけでもかなり面白い。自分は『アエネーイス』のみ未読なのだけど、「これオデュッセイアより面白くね!?」となり、がぜんウェルギリウスに挑戦する意欲が湧いた。

    ギリシャ・ローマ神話は、神にせよ英雄によ、その人物が語られる短い文面に濃密なドラマ性が含まれており、どれ一つ取っても詩歌や演劇に小説、今日で言えば映画や漫画などに広げられる普遍性を持っている。さらに人物単体での魅力のみならず、そこにまったく別の人物の物語が挟み込まれてくるのが面白い。そっちはそっちで濃密なドラマがあるなかで、思いがけないところでつながっている驚き。そういった相互性がいくつも複雑に絡み合って神話世界を構築しているのだなと思うと、読めば読むほど沼にハマりそうな奥深さを感じた。

    なお、本書と、それに続くブルフィンチのアーサー王伝説の著作も『中世騎士物語』として野上弥生子の翻訳があり、どちらも大久保博という方の新訳がある。

  • ギリシャ神話の様々なエピソードが物語としてわかりやすく書かれています。
    カタカナの名前がたくさん出てくるので(当たり前だけど)、耳慣れた名前のエピソードは良いですが、時々、誰だっけ?となってしまいました。
    しかし物語として書かれているので、資料よりの文献よりは読みやすいと思います。

  • うーむ、ほとんど頭に入って来ない、、、
    明らかにこれ知ってたら、例えば絵画解釈が飛躍的に向上するのは明らかなんですが、いかんせん当方の能力が付いていかない。
    孔雀のお話とか面白いのもあるんですがね、まぁこういう教養が無いとダメなんだということを再確認したことが収穫でしょうかね。よって★評価は本書の評価を貶めるものでは決してありません。誰も気にしてないでしょうが悪しからず。

  • 読んでみたかった神話がたくさんありました。
    古い本ですが分かりやすく読めました。

  • 古代人の知識や思想を知るために読んだので、その目的は達成されたように思う。
    1つ1つのエピソードはムラはあるけどさほど長くなく、その代わり話数が多くて網羅されているので、全体像を理解するのに役立った。

    ギリシア・ローマ神話がメインで、おまけのようにインド神話、ゾロアスター教、エジプト神話、北欧神話、それにケルト人のドルイドについて少しずつ追加されている。
    早とちりで恋人たちすぐ死ぬな~とか、竜宮城の玉手箱的な、「絶対○○しちゃいけないよ」という約束はすぐみんな簡単に破るな~とか、テンプレ的なオチが多いのは興味深い。
    バウキスとピレモンの話は一風変わっているが、キリスト教につながる教訓がある。
    ウェルトゥムヌスめっちゃキモいけど何を考えてこの話作ったんだろう。
    ヘラクレスやオデュッセウスはやはり格好よく、冒険譚も楽しいが、通してみては北欧神話のトールのエピソードが一番面白かった。


    ギリシア神話・ローマ神話の神々は、よく「人間クサい」という説明がなされていたが、想像以上に感情的で、性欲が強く、理不尽でエゴが強い。
    諸宗教に見るような、神聖さや気高さのようなものをほとんど感じない。とりわけヘラやアテナやアプロディテなどの女神連中などが随分と酷い。

    この神話が生まれ、紡がれてきた時代はまだ弱肉強食の世界観、社会性が強く、力が強いものに勝ちが置かれてきた。
    そのためか、潔く戦い、戦死することに徳を置いているし、また同時に筋力や体格などで優る男性の優位性が強く描かれている。
    後を追って妻が死ぬとか、後を継いだ王が先王の妻を引き継ぐとか。男女間の不平等のような差異は、弱肉強食文化では必然的に生まれてしまうものなのかもしれない。
    予想外だったが、本書を読んでフェミニズムの発展や地域・時代ごとの男女間の格差のような視点を調べてみたい気持ちが出てきた。

    それと先日美術館に行く機会があったが、多くの芸術作品に神話がモチーフとして使われていて、その由来が分かったのには感動した。
    教養として各神話を知っておくメリットは大きい。

  • コロナウイルスの名称由来のケンタウロス、星座、文学、美術、最近ならスマホゲームやバトル漫画のキャラクターにも出てくるギリシャの神々。
    西洋文化を理解する上での必須。時間のある学生のうちに、一度しっかりと頭に入れておきたい。諸々の理解が深くなり世界が広がる。ちなみに序文は夏目漱石(夏目金之助)。
    これは峠の茶屋最寄りの崇城大としてはポイント。

  • ギリシア神話をすべて網羅したい方にはよい本。
    細かく知りたい方にはおすすめです。

  • 一般教育として知っておきてくて読んでみた。登場人物が多いのと、恋愛絡みの話が多いなと思った。史実とリンクしているところもあり、100%作り話でないところが信憑性を持たせて、読む人惹き付けるのかもしれない。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/707561

  • ギリシャ神話については読んだことがなかったので読んでみたが、私の興味をそそる話はなかったし、分かりづらかった。神話初心者にはお勧めできそうにない。

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