デイヴィッド・コパフィールド〈1〉 (岩波文庫)

制作 : 石塚 裕子 
  • 岩波書店
3.81
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本棚登録 : 292
レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003222812

作品紹介・あらすじ

本書は、モームが世界の十大小説の一つに選び、ディケンズ(一八一二‐一八七〇)自身も「自分の全著作の中で、一番気に入っている」と語っている自伝的作品である。個性的な登場人物が多数登場し、ユーモアとペーソスが全篇にわたって満ちあふれている。新訳。

感想・レビュー・書評

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  • モームの「世界十大小説」のひとつとなった本作は、チャールズ・ディケンズ(1812~1870年)の「自伝的作品」でとぉても読みやすいです。全5巻と少し長めですが、さほど読者を選ばない大衆文学の部類になるでしょう。

    『大いなる遺産』や『オリバー・ツイスト』などといった彼の作品はどれも物語性に富んで、作者の温かい人間性が滲み出ているせいか、学生のころから親しんでいる作家の一人。時々、むしょうに読みたくなるのは私だけかな……笑? 

    ちょうど先日、彼の初期作品『ピクイック・クラブ』を読みながら本作をぺらぺら眺めだすと、いつのまにか本格的な併読になってしまいました。数奇な運命に翻弄される寄る辺ないコパくんの健気さは泣けちゃいますし、ちょっと風変わりな叔母との交流は愛らしくて、読みはじめると止まらなくなる面白さです。

    ディケンズといえば、彼の個人的体験からえられたイギリスの階級社会、とりわけ貧困階級の世界を見事に描いた作品が多く、当時のロンドンの状況や人々の生活や金銭感覚も興味深い。金や遺産や生活感やら即物的な話がごまんとでてきて、なかなかシビアで現実的です。
    でも本作の人物描写はさほど難しくありません。というのも、善(人)と悪(人)の切り分けがわりと明快でぶれないので、ストーリーに入り込みやすい。それこそヘンリー・ジェイムズのように細かくリアルな人物描写でネジのようにぎりぎり詰めてくる悩ましさはありません(それはそれで面白いんですけど…笑)。また勧善懲悪とまではいわなくても、どこか時代劇ドラマのようなほのぼのとした安心感が漂っています。

    もっとも後半になればなるほど重要人物の死が多くなってきて、物語の展開としては少し強引な感もありますが、きっとこれが酸いも甘いも嚙み分けたディケンズの世界観だったのかも。中期ころの作品ですから、人生経験を経ればへるほどそういうことはいくらでも起こりえるでしょう、事実は小説より奇なり、なんだかポール・オースターの口癖ではありませんが、一見偶然に見える事柄も、じつはその人の人生に強く結びついているのかもしれませんね。

    さてさて、コパ君の可愛らしさをながめていると、あしたからまた楽しく頑張るか~なんて元気になる不思議なこのごろ。しばらく私のディケンズ・ブームが続きそうな予感でわくわく。それと、ディケンズと長年タッグを組んだフィズの挿画も繊細なタッチで素敵ですよ(^^♪

  • 意外に面白い。読みやすいです。
    継父姉弟、うざい〜〜〜

  • モームによって「世界十大小説」の一つに選ばれた,デイヴィッド・コパーフィールドの第1巻.以前から,どうもディケンズは話をあまり練らずに行き当たりばったりで書いているような気がしていたが,この第1巻も前半は今一つのめりこめず,なかなか読み進まなかった.しかし中盤の大事件を境に話が転がりはじめ,後はイッキである.

  • 大手町の丸善で、モームさんもお勧めていうのを
    ふと思い出し、
    なんとなく買ってみた、1巻。

    これが面白くてのめりこんで、あっという間に読了間近、

    でも家や会社の近くの本屋では売っておらず、
    やっぱり会社の帰り遠回りして、残り4巻お買い上げ!

    それから引き続きのめり込み、
    ターボエンジンがかかった様な勢い、
    まるで海の中を弾丸の様に進むペンギンの如く!

    詳しいまとめは5巻で。

    1巻は、ディヴィッドの母親の再婚相手と
    その姉が、抜け目がなくて意地悪で頭痛がしてくるほど。

    今、この時代でも
    あるときから急に、あるいは気付いたら、
    自分が暮らしている家庭が不当に厳しく、
    逃げ道がなく、苦しんでいる小さな人たちがいる、
    そんなことが悲しいニュースとなって流れてくる昨今、

    その実情はこういうこと、とはっきり突き付けられた、
    という気持ち。

  • 読ませる。

  • 読みやすい文体。後半になると主人公がキツい環境に巻き込まれて、今後どうなるんだろう。早速二巻を読んでみたくなった。

  • ■『デイビッド・コパフィールド』(1~5) チャールズ・ディケンズ著 岩波文庫

    【後編 メシヤ再降臨準備時代】
     英国の文豪、チャールズ・ディケンズの自伝的小説。個人的には特別敬愛している作家です。作品はどれも大衆小説に分類されます。芥川賞じゃなくて、直木賞のジャンルです。これは岩波文庫でも1巻400ページの5巻からなる小説なので、最後まで読むのは結構根気がいりますが、文章の巧さとプロットの上手さで最後まで読ませます。善悪二極化の構図はアメリカ的ですけど、ルーツから言えばこちらが元であって、ピューリタン的なんでしょうね。
     ディケンズの味は人物描写ですが、原理の理解という面から言えば、時代背景の理解というところでしょうか。産業革命の影響で、近代化が天を衝くように進み、しかしその反面富が偏り、光の届かない社会の闇がより深くなっていった時代でもあります。

     デビッド・コッパーフィールドというのは主人公の名前。デイビッドが生まれるところから話は始まります。ストーリーは細かく特に人間関係が複雑なのでここであんまり語るのも疲れちゃうんですが、家庭の不幸が続くんですね。孤児のようになりながら、ボロ雑巾のようにおばさんの元にたどり着くところはジーンとします。とにかく人が入り乱れます。しかしそんな中でも人物描写はあったかい。社会の隅で忘れ去られたような人たちを、綺羅星のように生き生きと描く。この手腕はディケンズのギフトですね。ディケンズの作品には社会風刺がふんだんに含まれていますから、当時の背景を知るにも有用です。人物の描き方なんかは、同国出身のC.S.ルイスなんかと通じるものがあると思うんですが、ルイスはディケンズの作品をほとんど読まなかったそうですね。挿絵が嫌いだったそうです。『ナルニア国物語』もどっこいだと思いますが。ナルニアの著者がルイスですね。
     話がそれましたけど、そんなデイビッドが社会に独り立ちし、愛する人を得、結婚をします。しかし体の弱かった妻は数年の結婚生活の末に他界してしまいます。愛する人を失った衝撃で、放浪をしボロボロになっても涙の枯れないデイビッドでしたが、最後には本当の愛をつかみ、その物語は終幕を迎えます。

     原理講義の直接的な資料にはなりにくいですね。こういう風に見ていると。でもこういうものの積み重ねが、深い歴史理解になります。ちなみにBBCだったかで映像化されました。99年ぐらいだったと思いますが。主人公のデイビッドは、ハリーポッターのダニエル・ラドクリフです。まだハリーをやる前でクリクリで可愛いです。ベッツィーおばさんはマグゴナガル先生がやってます。3時間ぐらいの内容に詰め込んでいるので、人物の掘り下げはちょっと甘いですが、原作が好きなら、全然楽しめます。一応薦めておきます。
     

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003222814
    ── ディケンズ/石塚 裕子・訳《デイヴィッド・コパーフィールド〈1〉20020716 岩波文庫》
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%A5%C7%A5%A3%A5%B1%A5%F3%A5%BA
     

  • たまに読みたくなる作品。長さを感じないし、何度読んでも新な発見があり名作。
    特に好きなのはデ゛イビットの子供の頃。
    デイビット以外にも魅力的な登場人物がいっぱい!悲しいシーンもあるけど、最後はハッピーエンドというのも好きなところ。
    これを読むと人生って浮き沈みがあるなぁと思う。どんなにツライことがあっても、前向きに頑張ろう!と思える作品。
    一番印象深いのが、無敵と思えていた伯母さんに夫がいて、さらに夫には弱いというところ。ストーリーの筋には関係ないけど、伯母さんの人物描写が深くなったエピソード。ディケンズってやっぱりすごいなと思った。
    あえて残念なところをあげると、アグネスへの気持ちが友情から恋に変わる過程が雑に描かれているところ。他のディケンズ作品もそうだけど、恋愛描写は下手だと思う。

  • 久々読み返しました。小学生の時読んだものは素晴らしい挿絵があり、デイヴィッドも、ハムも、ユライアもその挿絵のまま、でも新鮮な話としてよみがえりました。ああ、楽しい!不幸もあれば調子者のときもあるデイヴィッド。長いお付き合いになりそうです。

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