デイヴィッド・コパフィールド (1) (岩波文庫)

  • 岩波書店 (2002年7月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (430ページ) / ISBN・EAN: 9784003222812

感想・レビュー・書評

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  • モームの世界十大小説のひとつ。(読むのは、カラマーゾフの兄弟、戦争と平和、ゴリオ爺さん、赤と黒、自負と偏見、嵐が丘、に続いて7作目)

    執筆は1850年。ディケンズの自伝的作品。

    1867年版の序文でディケンズ自身が書く通り、作者が自作の中で一番好きな作品らしい。

    一巻の内容は、主人公デイヴィッド・コパフィールドが、生まれてから、10歳で、継父が手配した下宿先(が更に手配した監獄裏の小屋)から脱出して、一度も会ったことのない大伯母のベッツィの家を目指す迄。

    視点は主人公の一人称形式。成人後(のいつ時点かはまだ分からない)に自分の人生を振り返る、というスタイル。生まれた時のことは、のちにいろんな人から(親身に語ってくれる人は、母のクレアラと女中のペゴティーくらいだけど)そのときのことを聞いてからのデイヴィッドによる想像。語り口が軽妙なので、読者は、デイヴィッド・コパフィールドがどんな苦境にあっても、ちゃんと立派に成人することが分かっているので、安心して読むことが出来る。

    継父姉貴弟を筆頭に、嫌な人物も沢山登場するが、女中のペゴティーがいつもしっかりとデイヴィッドを抱きしめてくれるのが救い。その際、少し太めのペゴティーの背中のボタンがすべて弾け飛ぶ、という描写が何度も出てくるのが面白い。(お笑いで言うと「天丼」に当たるのか。)

    まだ、五分冊のうちの一冊目だが、続きが楽しみだ。(でも一気読みはせず、他の本を挟む。)

  • モームの「世界十大小説」の一つになった本作は、チャールズ・ディケンズ(1812~1870年)の「自伝的作品」で、とぉ~ても読みやすいです。全5巻と少し長めですが、さほど読者を選ばないのです。

    『大いなる遺産』や『オリバー・ツイスト』などといった彼の作品はどれも物語性に富んで、作者の温かい人間性が滲み出ているせいか、学生のころから親しんでいる作家の一人。時々むしょうに読みたくなるのは私だけかな? 

    ちょうど先日、彼の初期作品『ピクイック・クラブ』を読みながら本作をぺらぺら眺めだすと、いつのまにか本格的な併読になってしまいました。数奇な運命に翻弄される、よるべないコパくんの健気さは泣けちゃいます。ちょっと風変わりな叔母との交流は愛らしくて読みはじめると止まらなくなるおもしろさ。

    ディケンズといえば、彼の個人的体験からえられたイギリスの階級社会、とりわけ貧困階級の世界をみごとに描いた作品が多く、当時のロンドンの状況や人々の生活や金銭感覚も興味ぶかい。金や遺産や生活感やら即物的な話がごまんとでてきて、なかなかシビアで現実的なのもいいですね~。

    でもこの作品の人物描写はさほど難しくありません。善(人)と悪(人)の切り分けがわりと明快でぶれないので安定していて、ストーリーに入りやすい。それこそヘンリー・ジェイムズのように奇怪かつ細かな人物描写で、ぎりぎりネジでつめられるような悩ましさはまったくありません(笑)。勧善懲悪とまではいわなくても、どこか時代劇のようなほのぼのとした安心感も漂っています。

    もっとも後半になればなるほど重要人物の死が多くなってきて、物語の展開としては少し強引な感じもしますけど、きっとこれが酸いも甘いも嚙み分けたディケンズの世界観だったのかも。中期ころの作品ですから、人生経験を経ればへるほどそういうことはいくらでも起こりえますものね。事実は小説より奇なり、なんだかポール・オースターの口癖ではありませんが、一見偶然に見える事柄もじつはその人の人生に強く結びついているのかもしれません。

    コパ君の可愛らしさをながめていると、あしたからまた楽しく頑張るか~なんて元気になる不思議なこのごろ。しばらく私のディケンズブームが続きそうな予感です。ディケンズと長年タッグを組んだフィズの挿画も繊細なタッチで素敵ですよ(^^♪

  • 幼少期に母親を亡くしたデイヴィッドの、波乱万丈な物語の始まりです。さすが最高のストーリーテラーのディケンズ、面白くてどんどん読めます。辛い幼少期をおくったデイヴィッドですが、ペゴティー(お手伝いさん)がいてくれて本当に良かった。どんなに辛い日々でも、自分を愛し抱きしめて大切にしてくれる人がいたから、乗り越えることが出来ました。ペゴティーは幼いデイヴィッドにとってすべてでした。

    こんな日々の中で彼に慰めをくれたのは読書でした。本を読んだって人生は変わらないって言う人がいるけれど、私はそうは思いません。確かに現実の苦しみや悲しみは何も変わらない。デイヴィッドだって、辛い毎日がバラ色になったわけじゃない。でもペゴティーが人生を一緒に生きてくれました。彼の味方でいてくれました。彼女がいるだけで強くなれたんです。本を読んで、想像して創造した人間たちは現実の人間と同じです。彼らはどこにも行きません。会いたいときにいつでも側にいてくれて、言葉をかけてくれる。一緒に人生を生きてくれます。なんて心強いでしょう。私は今、デイヴィッドと一緒に人生の旅をしています。

  • (2024/01/28 4.5h)

    前情報にて、コメディ調のクスリと笑える話なんて聞いていたが全然そんなことはなく…。
    第一巻は胸が痛くなるような悲劇。続きが気になる。

  • ディケンズ作。1850年代に書かれた19世紀小説。
    ディケンズの自伝的小説といわれている。

    デイヴィッド・コパフィールド少年の人生をたどってゆくものと思われる。(ネタバレに触れたくないので作品概要やあらましなど、事前情報を読んでいない…)。
    第1巻は、幼年時代から始まる。自伝的小説なのだが、デイヴィッドが生まれたときの経緯から始まるのがおもしろい。云わゆる神の目線での語り口である。一方で、自身の思い出をふりかえるまさに自伝的な語り口も。

    この小説、モームによる「世界十大小説」のひとつとしても知られている。その選に選ばれた理由をまだ読んでいないのだが、自伝的な語り口で書かれたことが、近代小説としても画期的だったのではないか、と想像している。
    自伝的な語り口と、現代の小説では普通になっている客観的な神目線の筆致、それが自然になじんでいる。
    そして、子ども目線であることに近代らしさを感じた。
    継父による「いじめ」や、寄宿学校での体罰が、子どもの主観で書かれることで初めて、前近代的な悪として描かれる結果となっているのだ。

    第1巻は、デイヴィッド少年、8~9歳の頃。英国の小さな町で、母と乳母と3人暮らし。父は、デイヴィッドが生まれる前に亡くなっていた。ほどなく母は再婚。継父とその姉がやって来てひとつの家に同居。だが、継父らは、母とデイヴィッドら苦しめる。ほぼイジメである。そしてデイヴィッドを追い出すように、ロンドンの寄宿学校「セーラム学園」に追いやる。ちなみに、あまり上品な寄宿学校ではなく、校長自ら鞭で子どもたちに体罰する。
    デイヴィッドは、母の体調が思わしくないと告げる手紙を受け取り帰郷。だが、母は亡くなっていた。幼い赤子(デイヴィッドの妹)も死去。継父兄妹は、デイヴィッドをネグレクト。デイヴィッドは、家から追いだされるようにしてロンドンへ。継父の知人の小さな会社で働き始めるのだが、ワインの空瓶を洗ったりする仕事で、丁稚奉公のような感じ。

    そして、デイヴィッドはある日決意。まだ見ぬ、ただひとりの肉親である父方の伯母に会うべく、旅立つことに。デイヴィッドは、勤め先をこっそり後にして、ロンドンから出発するのであった。これが第1巻のあらまし。
    巻末、旅立ちの日。デイヴィッドはわずかな旅費と鞄を奪われてしまうのであった。巧い。第1巻の終幕としては、なんともドラマチックな幕引きである。第2巻の道行が気になって仕方がない。

  • 大手町の丸善で、モームさんもお勧めていうのを
    ふと思い出し、
    なんとなく買ってみた、1巻。

    これが面白くてのめりこんで、あっという間に読了間近、

    でも家や会社の近くの本屋では売っておらず、
    やっぱり会社の帰り遠回りして、残り4巻お買い上げ!

    それから引き続きのめり込み、
    ターボエンジンがかかった様な勢い、
    まるで海の中を弾丸の様に進むペンギンの如く!

    詳しいまとめは5巻で。

    1巻は、ディヴィッドの母親の再婚相手と
    その姉が、抜け目がなくて意地悪で頭痛がしてくるほど。

    今、この時代でも
    あるときから急に、あるいは気付いたら、
    自分が暮らしている家庭が不当に厳しく、
    逃げ道がなく、苦しんでいる小さな人たちがいる、
    そんなことが悲しいニュースとなって流れてくる昨今、

    その実情はこういうこと、とはっきり突き付けられた、
    という気持ち。

  • 時代なのか、児童虐待がすごい。
    話に引き込まれることはないけど、時代背景を考えながら読むと楽しい。
    ディヴィッドの誕生から母の再婚、初恋、学校、母の死、10歳での労働と脱走まで。

    モームの「世界十大小説」の一つ。

  • 主人公デイヴィッド・コパーフィールドの生誕からの西暦を追う。泣き虫の幼年期。親切な人たちが助けてくれる中、思いやりを育む。2023.2.26

  • 1850年の作品だが、貧しき人、孤立する人、学校の心理など今も色あせない。ストーリーもうまく、先が気になる。

  • 3.82/351
    『本書は,モームが世界の10大小説の1つに選び,ディケンズ(1812-1870)自身も「自分の作品中,最も好きなもの」と語っている作品.自伝的要素の濃い作品で,個性的な登場人物が多数登場し,ユーモアとペーソスが全篇にわたって満ちあふれている.物語は大らかにゆったりと展開し,読書の醍醐味が存分に味わえる.新訳.(全5冊)』(「岩波書店」サイトより▽)
    https://www.iwanami.co.jp/book/b247277.html

    原書名:『David Copperfield』
    著者:チャールズ・ディケンズ (Charles Dickens)
    訳者:石塚 裕子
    出版社 ‏: ‎岩波書店
    文庫 ‏: ‎446ページ(第一巻) 全五巻

    メモ:
    ・『世界の十大小説』サマセット・モーム
    ・松岡正剛の千夜千冊 407 夜
    ・英語で書かれた小説ベスト100(The Guardian)「the 100 best novels written in english」

  • 面白くて、ぐいぐい引き込まれる。
    笑いと涙、切なさにあふれている。
    それぞれの人物の個性がはっきりとしていて、愚かさも愛すべき点も、ずるさも、滑稽さも、次々に繰り広げられる。
    子どもだから騙されたり、力に負けたりしてしまう。
    読んでいて、デイヴィッドに寄り添わずにはいられない、そんな気持ちになる。

  • 意外に面白い。読みやすいです。
    継父姉弟、うざい〜〜〜

  • モームによって「世界十大小説」の一つに選ばれた,デイヴィッド・コパーフィールドの第1巻.以前から,どうもディケンズは話をあまり練らずに行き当たりばったりで書いているような気がしていたが,この第1巻も前半は今一つのめりこめず,なかなか読み進まなかった.しかし中盤の大事件を境に話が転がりはじめ,後はイッキである.

  • 読ませる。

  • 読みやすい文体。後半になると主人公がキツい環境に巻き込まれて、今後どうなるんだろう。早速二巻を読んでみたくなった。

  • ■『デイビッド・コパフィールド』(1~5) チャールズ・ディケンズ著 岩波文庫

    【後編 メシヤ再降臨準備時代】
     英国の文豪、チャールズ・ディケンズの自伝的小説。個人的には特別敬愛している作家です。作品はどれも大衆小説に分類されます。芥川賞じゃなくて、直木賞のジャンルです。これは岩波文庫でも1巻400ページの5巻からなる小説なので、最後まで読むのは結構根気がいりますが、文章の巧さとプロットの上手さで最後まで読ませます。善悪二極化の構図はアメリカ的ですけど、ルーツから言えばこちらが元であって、ピューリタン的なんでしょうね。
     ディケンズの味は人物描写ですが、原理の理解という面から言えば、時代背景の理解というところでしょうか。産業革命の影響で、近代化が天を衝くように進み、しかしその反面富が偏り、光の届かない社会の闇がより深くなっていった時代でもあります。

     デビッド・コッパーフィールドというのは主人公の名前。デイビッドが生まれるところから話は始まります。ストーリーは細かく特に人間関係が複雑なのでここであんまり語るのも疲れちゃうんですが、家庭の不幸が続くんですね。孤児のようになりながら、ボロ雑巾のようにおばさんの元にたどり着くところはジーンとします。とにかく人が入り乱れます。しかしそんな中でも人物描写はあったかい。社会の隅で忘れ去られたような人たちを、綺羅星のように生き生きと描く。この手腕はディケンズのギフトですね。ディケンズの作品には社会風刺がふんだんに含まれていますから、当時の背景を知るにも有用です。人物の描き方なんかは、同国出身のC.S.ルイスなんかと通じるものがあると思うんですが、ルイスはディケンズの作品をほとんど読まなかったそうですね。挿絵が嫌いだったそうです。『ナルニア国物語』もどっこいだと思いますが。ナルニアの著者がルイスですね。
     話がそれましたけど、そんなデイビッドが社会に独り立ちし、愛する人を得、結婚をします。しかし体の弱かった妻は数年の結婚生活の末に他界してしまいます。愛する人を失った衝撃で、放浪をしボロボロになっても涙の枯れないデイビッドでしたが、最後には本当の愛をつかみ、その物語は終幕を迎えます。

     原理講義の直接的な資料にはなりにくいですね。こういう風に見ていると。でもこういうものの積み重ねが、深い歴史理解になります。ちなみにBBCだったかで映像化されました。99年ぐらいだったと思いますが。主人公のデイビッドは、ハリーポッターのダニエル・ラドクリフです。まだハリーをやる前でクリクリで可愛いです。ベッツィーおばさんはマグゴナガル先生がやってます。3時間ぐらいの内容に詰め込んでいるので、人物の掘り下げはちょっと甘いですが、原作が好きなら、全然楽しめます。一応薦めておきます。
     

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003222814
    ── ディケンズ/石塚 裕子・訳《デイヴィッド・コパーフィールド〈1〉20020716 岩波文庫》
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%A5%C7%A5%A3%A5%B1%A5%F3%A5%BA
     

  • たまに読みたくなる作品。長さを感じないし、何度読んでも新な発見があり名作。
    特に好きなのはデ゛イビットの子供の頃。
    デイビット以外にも魅力的な登場人物がいっぱい!悲しいシーンもあるけど、最後はハッピーエンドというのも好きなところ。
    これを読むと人生って浮き沈みがあるなぁと思う。どんなにツライことがあっても、前向きに頑張ろう!と思える作品。
    一番印象深いのが、無敵と思えていた伯母さんに夫がいて、さらに夫には弱いというところ。ストーリーの筋には関係ないけど、伯母さんの人物描写が深くなったエピソード。ディケンズってやっぱりすごいなと思った。
    あえて残念なところをあげると、アグネスへの気持ちが友情から恋に変わる過程が雑に描かれているところ。他のディケンズ作品もそうだけど、恋愛描写は下手だと思う。

  • 久々読み返しました。小学生の時読んだものは素晴らしい挿絵があり、デイヴィッドも、ハムも、ユライアもその挿絵のまま、でも新鮮な話としてよみがえりました。ああ、楽しい!不幸もあれば調子者のときもあるデイヴィッド。長いお付き合いになりそうです。

  • 決して俗に言うファンタジーでも、ヒーロー列伝でもありませんが、純朴な心で奢らず、周りに感謝しながら成長する姿こそ、真のヒーローなのかもしれません。読んでいると、「デイヴィー~、お前はいい奴だよぉ~」と共感したくなりますよ。
    子供の視点であったり、危機に直面した人間の心など、これぞ!という描写がふんだんに盛り込まれております。
    読み終えて、また読みたいと思える本です。

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著者プロフィール

Charles Dickens 1812-70
イギリスの国民的作家。24歳のときに書いた最初の長編小説『ピクウィック・クラブ』が大成功を収め、一躍流行作家になる。月刊分冊または月刊誌・週刊誌への連載で15編の長編小説を執筆する傍ら、雑誌の経営・編集、慈善事業への参加、アマチュア演劇の上演、自作の公開朗読など多面的・精力的に活動した。代表作に『オリヴァー・トゥイスト』、『クリスマス・キャロル』、『デイヴィッド・コパフィールド』、『荒涼館』、『二都物語』、『大いなる遺産』など。

「2019年 『ドクター・マリゴールド 朗読小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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