デイヴィッド・コパフィールド〈5〉 (岩波文庫)

著者 :
制作 : Dickens  石塚 裕子 
  • 岩波書店
3.83
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  • 本棚登録 :109
  • レビュー :6
  • Amazon.co.jp ・本 (449ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003222850

感想・レビュー・書評

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  • 小説ってやっぱり面白いんだな~と安心する。
    作中、コパフィールドが昔馴染みから「あんたの小説は眠くならない」と評されて、それは大切なことだって再認識する箇所があるが、その通りこんなにも長大な小説なのにいっぺんも眠くなるような難所はなかった。

    それはどうしてか、考えるにつけて。
    ひとつには非常にドラマチックな点。一人称で描かれたコパフィールド少年の有為転変の物語なんかハラハラドキドキが止まらない。

    ひとつには、とてもフラットに描かれている点。実母の命を奪ったダーシー姉弟や体罰校長のクリークルといった同じ人間とはとても思えない冷血漢が続々出てくるけれども、そういった時の感情にはあまり深入りしない。コパフィールド少年がアンフェアな仕打ちをしたミル先生に対しても、実にあっさりと話をつけてしまう。(しかしまさか最後の最後でそれらの人物に決着をつけてしまうとは思いもよらなかった。ご都合主義の骨頂とも言えるだろうが、感情や思考の葛藤には深入りせずに、あくまで物語としてケリをつける潔さがそこにはある。ディケンズにとって一人称の小説を書く時、それによりバランスを保ったのかな?)

    まあ色々と考えてみるけど、この小説を読み進めていく原動力は、「ここには何か大事なことが書いてある」という何か直観とか本能的なもののような気がどうもする。

    言葉にするとすれば、「啓蒙主義的」ってことになりそう。美しい行いや正義、思いやりといった人間として「善」であることがここには描かれている。
    啓蒙的な小説ってここ最近の本に探すのはちっと難しいんじゃなかろうか。
    どうも「善」ははびこる「悪」に道を明けたようだ。

    だからこそこの本には、時たま開いて読んでみる価値が絶対にある。

    個人的には四巻の「新生活」と「家庭」といったドーラとの結婚生活のことが描かれた章がとても身につまされ、またついほろっとくるような話でした。

  •  遂に完結! 最後の5巻はすべての伏線を回収して,基本的に良い人には幸せが,悪人にはそれ相応の報いが訪れる(例外もあるが).そうか,謎のキャラクターのミコーバー氏の役割はそういうことか.
     ディケンズのお話の常で,やや主人公のキャラクターが薄く,基本的に周りの出来事に翻弄されることによってストーリーが進んでいくのだが,今回の場合には「ほぼ自伝」とされているので,つまり自分の感情を書き込んでいないのは,やむを得ないでしょう.
     ご都合主義とも言われることが多いディケンズの小説の中では,おしまいにきちんと着地を果たした感じで,とても良くストーリーが練られて書かれているように感じた.かなりの数の小説は,そのルーツをたどると,このデイヴィッド・コパフィールドに源流が行き着くのではないか?

  • 性悪のクネクネ捻くれ男、ユライア・ヒープ!

    私の心をも長きにわたり悩ませ続けたヒープとの対決、
    その章の題名は「爆発に立ち合う」!
    (ただ漢字が違う気がするけど本ではそうなっています。
    「会う」だよね?)
    に憚りながら、わたくしも立ち会いましたです。
    ドラトルズ!!本当に、有難うね!

    「ディヴィッド・コパフィールド」の1巻~5巻、
    思い返せば、色んなことがありました。(シミジミ)

    優しい純朴なハム、
    あの嵐の日のことがあったあとで思い出すのは、

    ディヴィッドが残酷な事がまかり通る学校で
    苦しい目にあっていたとき、
    ミスター・ペゴティーと訪ねて来てくれたことがあったでしょう。

    なんか、そんなある日のことを思い出して、
    会社でもふと気を抜くとポワーンと涙が溢れてきて困りました。

    しかし、ともかく偶然、偶然に色んな人と再会するのですよね。

    スティアフォースと、ドラトルズと、ミコーバー氏と、
    リティマーと、ミスター・マードストンとその姉さんと、
    また、メル先生と!

    ともかくその偶然っぷりは、例えるなら
    「よくできた小説の様」!

    ハムとスティアフォースの嵐の日の「偶然」については
    涙を流しながらも、大いに首を傾げざるを得ない、のだけれど!
    (こんなことって、あるかしら?)

    優しいお手伝いのペゴティー、
    ペゴティーの兄さん毛むくじゃらのミスター・ペゴティーと
    ミスター・ペゴティーのひきとったハム、

    借金王、でも憎めないミコーバー氏(モデルはディケンズの父親らしい)

    ディヴィッドの大伯母さん、ディックさん、
    ペゴティーに惚れたバーキス…

    私を頭が痛くなるほど悩ませ続けたユライア・ヒープ、
    胡散臭いと私にジト目で見張られながらも、
    数多の人を虜にしたスティアフォース…

    個性的で気になる人がわんさか登場、

    悲しく、辛く、極限状態にいても、
    自分を気にして大事に思っていると言う人がいて、
    それが感じられた瞬間には思わず笑ってしまうような出来事も起きる、
    と言うの、これが本当だと思う!

    私が今まで読んだ日本の小説だと、
    こういうテーマの場合、これが無く、
    意地悪と妬み嫉み、主人公はひたすら我慢、と言うのが、
    暗いしつまらないしで退屈だと思ってしまうんだなあ。

    読むにあたり、難しいことは何もない、
    予備知識も必要ない、
    ただただひたすら楽しめる、大長編!

    ただ、逆にこれを読んだ後は、
    その他の小説の理解度と言うか、味わいがどっと深くなる
    と言う気はとてもしている!

    もちろん、これは
    まず「読んでいて当たり前」と言われている小説。
    なので初めて読んだ、と言うのは
    本当に恥ずかしながら…と言う感じです。

    ただ、しかしながら、
    この「読んでいて当たり前」と言われる小説が
    星の数ほどもある、と言う現実!
    許しておくれ!

  • 最後まで波瀾。

  • ディケンズの大作の最終巻。にっくきヒープをいてこまし、ついでにミコーバーさんの大噴火もあり、アグネスが開放される。それに続き愛すべき多くの人々の死、ドーラ、ハム、スティアフォース。気丈にベゴティー伯父とエミリーとミコーバー一家をオーストラリアに送り出すが、コパフィールドはうつ状態に。しかしそんなかんだでも、アグネスと結ばれ、ついにハッピーエンド。
    プロットの不自然さは後半気になったが、人物豊かに描ききったディケンズの大著読破の達成感深し。

    11/12/8

  • 全巻読了。訳がとっても読みやすいです。全然古い感じがしない。
    <br><br>
    本や作者についてググって見るとどうもこの作品はディケンズが誰にでも楽しめる作品を書いていた初期と小説でしか書けないことを書こうとした晩年の中間にあたる時期に書かれたらしい。
    <br><br>
    物語を通して善意や倫理が素直に信頼できるものとして書かれているのを感じた。泣き笑いの中でも凛として背筋が通っている感じ。
    <br><br>
    ディビッドは周囲の状況に翻弄される主人公だ。客観的にいえばかなり「かわいそう」な目にあうけど、不思議と悲惨な感じがしない。強いのか弱いのかわからないけど気持ちのいい青年。周りをかためる人々にくっきりとしたキャラクターがあって主人公以上に生き生きとしている。
    <br><br>
    ストーリーは波乱万丈なのだけどそれ以上に細部の書き方とかがすき。

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