- 岩波書店 (2003年3月14日発売)
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感想 : 19件
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Amazon.co.jp ・本 (450ページ) / ISBN・EAN: 9784003222850
作品紹介・あらすじ
失踪していたエミリーがとうとう姿を現した。そんなとき、日増しに衰弱していたドーラが、とうとうあの世へ旅立った。エミリーから託されたハムへの手紙を持ってヤーマスへ向かったデイヴィッドであったが、折しも嵐が襲いかかり、怒号する大海原に難破船が浮かんでいるとの話を耳にする…。(全5冊完結)
みんなの感想まとめ
人生の旅路を描いたこの物語は、主人公デイヴィッドの成長と愛を中心に展開します。最終巻では、彼が本当の愛を見つけるまでの回り道や、周囲の人々の人生が交錯し、それぞれの喜びや悲しみが描かれています。登場人...
感想・レビュー・書評
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五分冊の最終巻、遂に読了。
モーム選の世界十大小説のひとつ。(読むのは、カラマーゾフの兄弟、戦争と平和、ゴリオ爺さん、赤と黒、自負と偏見、嵐が丘、に続いて7作目)
発表は大英帝国の絶頂期であるヴィクトリア朝中期の1850年。登場人物の大半は中産階級と労働者階級で、いろんな社会問題を孕みながらも社会全体は活気に満ち、一敗(あるいはミコーバーのように数敗)地に塗れても、インドやオーストラリアのような植民地での再興に賭ける機会があり、当時のイギリス人の冒険心は、主人公デイヴィッドに限らない一般的な性向なのだなと思った。日本で言うと大正期の満州移住とか、戦後の高度成長期のような明るさと似ているだろうか。
ドーラが病死したあと、デイヴィッドが最終的にアグネスと結婚するまで、大陸での3年の執筆生活とか、苦悩の日々に筆を割いてはあるものの、どうしても「変わり身の早さ」を感じずにはいられない。また、アグネスとデイヴィッドがそれぞれ相手に告らせようと腐心する場面はとてもまどろっこしいが、下手を打って今の「まんざら悪くない関係」を失うのが怖い、という感覚は非常によく分かる。この辺りの機微は、200年近く経ってもあまり変わらないのかもしれない。
結局、スティアフォースは駆け落ち騒動の顛末について自ら語ることなく溺死してしまった。エミリーも多くを語らない。
一冊目を読み終えた時点では、主人公はいつの時点から回想しているのか?という点が宙ぶらりんだったが、答えは、売れっ子作家になって10数年後、アグネスと結婚して10年後、だった。
いろんな登場人物が登場して、それぞれ味わい深いが、ベストは主人公の大伯母のベッツィ・トロットウッド、ワーストはウィックフィールド事務所の旧使用人途中共同経営者最終的には無期懲役服役囚のユライア・ヒープ。ヒープの悪党ぶり、特にマインドコントローラーぶりは、「嵐が丘」のヒースクリフとよく似ていると思った。(情熱と冷静の違いはあっても) ベッツィ・トロットウッドは、女性でありながら、もっとも「男らしい」というかきっぷの良さが清々しい。
アグネスとデイヴィッドの間の三人の娘の名が、上から、アグネス、ベッツィ・トロットウッド、ドーラ、というのが、なかなかよい。エミリーは入ってこないんだな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ラスト5巻で、登場人物それぞれの人生の行方が分かります。人生色々。悲しくもあり、寂しくもあり......。他人を思いやること、自分の気持ちに正直に素直であること、そして思いきって行動すること、あきらめないことの大切さ、伝わりました。
デイヴィッドが、自分の半生を回想する最後の場面、最も印象に残りました。映像となって見えるようです。素敵な終わり方でした。1人の人生に良くも悪くも、多くの人が影響しているということをあらためて思います。
この小説、10代の頃読むとベストかなと思いました。私は10代の頃、長編を読みきる力がなかったのでダメでしたが。人生をそれなりに経験してきてしまった今は、ちょっと感動が少なめかなという感じです。
(2026.4.21読了) -
デイヴィッドの物語も最終巻になりました。たくさんの回り道をしながら彼はようやく本当の愛を手に入れます。他の登場人物たちも、それぞれの人生を歩いていきます。みんなが幸せになりましたという大団円ではなくて、パズルのピースがあるべきところにはまって美しい絵が出来たような感じです。パズルの一つひとつのピースに人生があって喜びと悲しみがありました。みんな忘れたくない人たちです。
誰だって、思い出したら痛みや悲しみを感じる過去や後悔はあると思います。どんなに傷だらけになっても人生は続きます。自分のピースを生きなくてはなりません。読みながらホログラムを思い出しました。光の屈折や強さで絵がキラキラ浮かび上がるものです。絵のデコボコが様々な角度に反射して、美しい立体になるそうです。デコボコが複雑であればあるほど、キラキラ度も増すでしょう。苦しみも悲しみも後悔も人生のデコボコです。当事者は辛いけれど、神様が見たらきっとキラキラしているんです。デコボコ人生万歳。デイヴィッドと一緒に泣いて笑って悲しんだ、素敵な人生の旅に感謝の気持ちで一杯です。 -
ついに読み終わってしまった。
面白かった!読み終わるのが勿体ないくらい。
普段読むのは漫画ばかりの私でも、頁を繰る手が止まらずに、5巻まで飽きることなく読むことができた。
父から大河ドラマだよ〜と聞かされていたけど、本当にそう。
150年も昔に書かれた大河ドラマ、当時のイギリスの街並みや観念、社会の様子などがよくわかるように描かれていて、話の筋以外のところも随分興味深かった。
また、次々と現れるキャラクター達は漏れなくユーモアたっぷりで、読後にはどの人物にも思いを馳せてしまう。
予定調和でご都合主義的なところもあるものの、割り切って読めば思い切り楽しめる要素でもあるかも。
また忘れた頃に読み返したい。 -
いろんな人物が出てくるが、ベッツィ伯母さんが良い人だった。
伯母さんに、奥さんに家事を教えたりしてくれないかと頼んだときに、「お前の母さんが再婚してどうなったか憶えているでしょう」と言われ、義父と同じことをするところだったと覚ってはっとするシーンが、個人的には印象に残った。奥さんも大概だけど。 -
ディケンズは、子供の頃読んだオリバー・ツイスト以来。愛情に恵まれない幼年期を過ごしながら、正直で素直で努力家に育ち、自ら人生を切り開くことに成功する主人公。性格の捻くれた悪党はみなそれなりの報いを受け、真っ当な人たちはそれなりの幸せを手にする、なるほどディケンズワールドだった。可愛らしいが知性と生活能力に欠ける妻はなんとも都合が良く死んでくれるところには苦笑してしまったが…
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まとまりすぎているくらい、まとまっている最後だった。
それぞれの人物が落ち着くべきところに落ち着いた、まさにそんな感じだ。
ディケンズは優しいな、と思う。
登場人物たちを大切にしている。
やや甘やかしているくらい、キレイな筋を作っている。
アグネスの件については、伯母さんになった気分でやきもきした。
面白く読めた。
本作には、様々な夫婦が登場する。
そこに視点を置いて読んでも、考えさせられたり、うなずいたり、楽しめた。
この作品は読む価値ありだと思う。
子どもたちにも薦めたい。 -
小説ってやっぱり面白いんだな~と安心する。
作中、コパフィールドが昔馴染みから「あんたの小説は眠くならない」と評されて、それは大切なことだって再認識する箇所があるが、その通りこんなにも長大な小説なのにいっぺんも眠くなるような難所はなかった。
それはどうしてか、考えるにつけて。
ひとつには非常にドラマチックな点。一人称で描かれたコパフィールド少年の有為転変の物語なんかハラハラドキドキが止まらない。
ひとつには、とてもフラットに描かれている点。実母の命を奪ったダーシー姉弟や体罰校長のクリークルといった同じ人間とはとても思えない冷血漢が続々出てくるけれども、そういった時の感情にはあまり深入りしない。コパフィールド少年がアンフェアな仕打ちをしたミル先生に対しても、実にあっさりと話をつけてしまう。(しかしまさか最後の最後でそれらの人物に決着をつけてしまうとは思いもよらなかった。ご都合主義の骨頂とも言えるだろうが、感情や思考の葛藤には深入りせずに、あくまで物語としてケリをつける潔さがそこにはある。ディケンズにとって一人称の小説を書く時、それによりバランスを保ったのかな?)
まあ色々と考えてみるけど、この小説を読み進めていく原動力は、「ここには何か大事なことが書いてある」という何か直観とか本能的なもののような気がどうもする。
言葉にするとすれば、「啓蒙主義的」ってことになりそう。美しい行いや正義、思いやりといった人間として「善」であることがここには描かれている。
啓蒙的な小説ってここ最近の本に探すのはちっと難しいんじゃなかろうか。
どうも「善」ははびこる「悪」に道を明けたようだ。
だからこそこの本には、時たま開いて読んでみる価値が絶対にある。
個人的には四巻の「新生活」と「家庭」といったドーラとの結婚生活のことが描かれた章がとても身につまされ、またついほろっとくるような話でした。 -
ようやく完読。ハッピーエンドで楽しい小説だった。ドーラとアグネスの去就には短絡的なところも感じられたが、登場人物それぞれのキャラクターがおもしろかった。それでも発表当時は主人公が持つ派手ではなく真面目、誠実が尊ばれたのかなと思った。挿絵が著者の他の作品にも見られるがこれもよかった。2023.6.15
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ドーラの死、ヒープの破滅、ペゴティー家の渡豪、アグネスとの再婚。
複数の話の筋を見事にまとめたな、という印象。
というかドーラの死因はなんだったんだろう。
特に理由もなく死んでしまう時代ということなのか。 -
伏線回収も見事。しみじみとしており、精神の高潔さが脈打っている。
当時も、今も、ジェンダー観に揺さぶりを与えくれる。
オーストラリアへの移民が夢として描かれているのが、植民地時代の名残か。 -
性悪のクネクネ捻くれ男、ユライア・ヒープ!
私の心をも長きにわたり悩ませ続けたヒープとの対決、
その章の題名は「爆発に立ち合う」!
(ただ漢字が違う気がするけど本ではそうなっています。
「会う」だよね?)
に憚りながら、わたくしも立ち会いましたです。
ドラトルズ!!本当に、有難うね!
「ディヴィッド・コパフィールド」の1巻~5巻、
思い返せば、色んなことがありました。(シミジミ)
優しい純朴なハム、
あの嵐の日のことがあったあとで思い出すのは、
ディヴィッドが残酷な事がまかり通る学校で
苦しい目にあっていたとき、
ミスター・ペゴティーと訪ねて来てくれたことがあったでしょう。
なんか、そんなある日のことを思い出して、
会社でもふと気を抜くとポワーンと涙が溢れてきて困りました。
しかし、ともかく偶然、偶然に色んな人と再会するのですよね。
スティアフォースと、ドラトルズと、ミコーバー氏と、
リティマーと、ミスター・マードストンとその姉さんと、
また、メル先生と!
ともかくその偶然っぷりは、例えるなら
「よくできた小説の様」!
ハムとスティアフォースの嵐の日の「偶然」については
涙を流しながらも、大いに首を傾げざるを得ない、のだけれど!
(こんなことって、あるかしら?)
優しいお手伝いのペゴティー、
ペゴティーの兄さん毛むくじゃらのミスター・ペゴティーと
ミスター・ペゴティーのひきとったハム、
借金王、でも憎めないミコーバー氏(モデルはディケンズの父親らしい)
ディヴィッドの大伯母さん、ディックさん、
ペゴティーに惚れたバーキス…
私を頭が痛くなるほど悩ませ続けたユライア・ヒープ、
胡散臭いと私にジト目で見張られながらも、
数多の人を虜にしたスティアフォース…
個性的で気になる人がわんさか登場、
悲しく、辛く、極限状態にいても、
自分を気にして大事に思っていると言う人がいて、
それが感じられた瞬間には思わず笑ってしまうような出来事も起きる、
と言うの、これが本当だと思う!
私が今まで読んだ日本の小説だと、
こういうテーマの場合、これが無く、
意地悪と妬み嫉み、主人公はひたすら我慢、と言うのが、
暗いしつまらないしで退屈だと思ってしまうんだなあ。
読むにあたり、難しいことは何もない、
予備知識も必要ない、
ただただひたすら楽しめる、大長編!
ただ、逆にこれを読んだ後は、
その他の小説の理解度と言うか、味わいがどっと深くなる
と言う気はとてもしている!
もちろん、これは
まず「読んでいて当たり前」と言われている小説。
なので初めて読んだ、と言うのは
本当に恥ずかしながら…と言う感じです。
ただ、しかしながら、
この「読んでいて当たり前」と言われる小説が
星の数ほどもある、と言う現実!
許しておくれ! -
最後まで波瀾。
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ディケンズの大作の最終巻。にっくきヒープをいてこまし、ついでにミコーバーさんの大噴火もあり、アグネスが開放される。それに続き愛すべき多くの人々の死、ドーラ、ハム、スティアフォース。気丈にベゴティー伯父とエミリーとミコーバー一家をオーストラリアに送り出すが、コパフィールドはうつ状態に。しかしそんなかんだでも、アグネスと結ばれ、ついにハッピーエンド。
プロットの不自然さは後半気になったが、人物豊かに描ききったディケンズの大著読破の達成感深し。
11/12/8 -
全巻読了。訳がとっても読みやすいです。全然古い感じがしない。
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本や作者についてググって見るとどうもこの作品はディケンズが誰にでも楽しめる作品を書いていた初期と小説でしか書けないことを書こうとした晩年の中間にあたる時期に書かれたらしい。
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物語を通して善意や倫理が素直に信頼できるものとして書かれているのを感じた。泣き笑いの中でも凛として背筋が通っている感じ。
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ディビッドは周囲の状況に翻弄される主人公だ。客観的にいえばかなり「かわいそう」な目にあうけど、不思議と悲惨な感じがしない。強いのか弱いのかわからないけど気持ちのいい青年。周りをかためる人々にくっきりとしたキャラクターがあって主人公以上に生き生きとしている。
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ストーリーは波乱万丈なのだけどそれ以上に細部の書き方とかがすき。
著者プロフィール
石塚裕子の作品
