- Amazon.co.jp ・本 (450ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003222850
感想・レビュー・書評
-
ついに読み終わってしまった。
面白かった!読み終わるのが勿体ないくらい。
普段読むのは漫画ばかりの私でも、頁を繰る手が止まらずに、5巻まで飽きることなく読むことができた。
父から大河ドラマだよ〜と聞かされていたけど、本当にそう。
150年も昔に書かれた大河ドラマ、当時のイギリスの街並みや観念、社会の様子などがよくわかるように描かれていて、話の筋以外のところも随分興味深かった。
また、次々と現れるキャラクター達は漏れなくユーモアたっぷりで、読後にはどの人物にも思いを馳せてしまう。
予定調和でご都合主義的なところもあるものの、割り切って読めば思い切り楽しめる要素でもあるかも。
また忘れた頃に読み返したい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まとまりすぎているくらい、まとまっている最後だった。
それぞれの人物が落ち着くべきところに落ち着いた、まさにそんな感じだ。
ディケンズは優しいな、と思う。
登場人物たちを大切にしている。
やや甘やかしているくらい、キレイな筋を作っている。
アグネスの件については、伯母さんになった気分でやきもきした。
面白く読めた。
本作には、様々な夫婦が登場する。
そこに視点を置いて読んでも、考えさせられたり、うなずいたり、楽しめた。
この作品は読む価値ありだと思う。
子どもたちにも薦めたい。 -
小説ってやっぱり面白いんだな~と安心する。
作中、コパフィールドが昔馴染みから「あんたの小説は眠くならない」と評されて、それは大切なことだって再認識する箇所があるが、その通りこんなにも長大な小説なのにいっぺんも眠くなるような難所はなかった。
それはどうしてか、考えるにつけて。
ひとつには非常にドラマチックな点。一人称で描かれたコパフィールド少年の有為転変の物語なんかハラハラドキドキが止まらない。
ひとつには、とてもフラットに描かれている点。実母の命を奪ったダーシー姉弟や体罰校長のクリークルといった同じ人間とはとても思えない冷血漢が続々出てくるけれども、そういった時の感情にはあまり深入りしない。コパフィールド少年がアンフェアな仕打ちをしたミル先生に対しても、実にあっさりと話をつけてしまう。(しかしまさか最後の最後でそれらの人物に決着をつけてしまうとは思いもよらなかった。ご都合主義の骨頂とも言えるだろうが、感情や思考の葛藤には深入りせずに、あくまで物語としてケリをつける潔さがそこにはある。ディケンズにとって一人称の小説を書く時、それによりバランスを保ったのかな?)
まあ色々と考えてみるけど、この小説を読み進めていく原動力は、「ここには何か大事なことが書いてある」という何か直観とか本能的なもののような気がどうもする。
言葉にするとすれば、「啓蒙主義的」ってことになりそう。美しい行いや正義、思いやりといった人間として「善」であることがここには描かれている。
啓蒙的な小説ってここ最近の本に探すのはちっと難しいんじゃなかろうか。
どうも「善」ははびこる「悪」に道を明けたようだ。
だからこそこの本には、時たま開いて読んでみる価値が絶対にある。
個人的には四巻の「新生活」と「家庭」といったドーラとの結婚生活のことが描かれた章がとても身につまされ、またついほろっとくるような話でした。 -
ディケンズは、子供の頃読んだオリバー・ツイスト以来。愛情に恵まれない幼年期を過ごしながら、正直で素直で努力家に育ち、自ら人生を切り開くことに成功する主人公。性格の捻くれた悪党はみなそれなりの報いを受け、真っ当な人たちはそれなりの幸せを手にする、なるほどディケンズワールドだった。可愛らしいが知性と生活能力に欠ける妻はなんとも都合が良く死んでくれるところには苦笑してしまったが…
-
ようやく完読。ハッピーエンドで楽しい小説だった。ドーラとアグネスの去就には短絡的なところも感じられたが、登場人物それぞれのキャラクターがおもしろかった。それでも発表当時は主人公が持つ派手ではなく真面目、誠実が尊ばれたのかなと思った。挿絵が著者の他の作品にも見られるがこれもよかった。2023.6.15
-
伏線回収も見事。しみじみとしており、精神の高潔さが脈打っている。
当時も、今も、ジェンダー観に揺さぶりを与えくれる。
オーストラリアへの移民が夢として描かれているのが、植民地時代の名残か。 -
性悪のクネクネ捻くれ男、ユライア・ヒープ!
私の心をも長きにわたり悩ませ続けたヒープとの対決、
その章の題名は「爆発に立ち合う」!
(ただ漢字が違う気がするけど本ではそうなっています。
「会う」だよね?)
に憚りながら、わたくしも立ち会いましたです。
ドラトルズ!!本当に、有難うね!
「ディヴィッド・コパフィールド」の1巻~5巻、
思い返せば、色んなことがありました。(シミジミ)
優しい純朴なハム、
あの嵐の日のことがあったあとで思い出すのは、
ディヴィッドが残酷な事がまかり通る学校で
苦しい目にあっていたとき、
ミスター・ペゴティーと訪ねて来てくれたことがあったでしょう。
なんか、そんなある日のことを思い出して、
会社でもふと気を抜くとポワーンと涙が溢れてきて困りました。
しかし、ともかく偶然、偶然に色んな人と再会するのですよね。
スティアフォースと、ドラトルズと、ミコーバー氏と、
リティマーと、ミスター・マードストンとその姉さんと、
また、メル先生と!
ともかくその偶然っぷりは、例えるなら
「よくできた小説の様」!
ハムとスティアフォースの嵐の日の「偶然」については
涙を流しながらも、大いに首を傾げざるを得ない、のだけれど!
(こんなことって、あるかしら?)
優しいお手伝いのペゴティー、
ペゴティーの兄さん毛むくじゃらのミスター・ペゴティーと
ミスター・ペゴティーのひきとったハム、
借金王、でも憎めないミコーバー氏(モデルはディケンズの父親らしい)
ディヴィッドの大伯母さん、ディックさん、
ペゴティーに惚れたバーキス…
私を頭が痛くなるほど悩ませ続けたユライア・ヒープ、
胡散臭いと私にジト目で見張られながらも、
数多の人を虜にしたスティアフォース…
個性的で気になる人がわんさか登場、
悲しく、辛く、極限状態にいても、
自分を気にして大事に思っていると言う人がいて、
それが感じられた瞬間には思わず笑ってしまうような出来事も起きる、
と言うの、これが本当だと思う!
私が今まで読んだ日本の小説だと、
こういうテーマの場合、これが無く、
意地悪と妬み嫉み、主人公はひたすら我慢、と言うのが、
暗いしつまらないしで退屈だと思ってしまうんだなあ。
読むにあたり、難しいことは何もない、
予備知識も必要ない、
ただただひたすら楽しめる、大長編!
ただ、逆にこれを読んだ後は、
その他の小説の理解度と言うか、味わいがどっと深くなる
と言う気はとてもしている!
もちろん、これは
まず「読んでいて当たり前」と言われている小説。
なので初めて読んだ、と言うのは
本当に恥ずかしながら…と言う感じです。
ただ、しかしながら、
この「読んでいて当たり前」と言われる小説が
星の数ほどもある、と言う現実!
許しておくれ!