オリヴァ・ツウィスト (下) (岩波文庫)

  • 岩波書店 (1956年6月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (350ページ) / ISBN・EAN: 9784003222928

感想・レビュー・書評

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  • 19世紀イギリスの救貧院で育てられたオリヴァの物語です。あまりにひどい環境に驚きますが、この本が改革のきっかけになったそうです。

    どんなに辛い思いをしても、強くてきれいな心をもてたのは母親への思いだと思いました。何を信じるかほど、その人の心を映すものはないと思います。物語の終盤でオリヴァが信じたもの、ナンシイが信じようとしたものは、そのまま2人の心の美しさが表れていて心が痛くなりました。

  • 後半にかけて息もつかせぬ展開。一気に読み終えた。

    巻末の解説によれば、社会改良の志に燃えたディケンズはこの作品を通して現実社会の悪を追求しようとしたとのこと。本書で描かれた救貧院の悲惨さが人々の心を動かし、最終的に救貧院の改革がなされたという。
    救貧院の貧民たちを虐待するバンブル氏、社会の最下層で犯罪に手を染めるフェイギン、サイクスなどなどたくさんの”悪党”が本書には登場する。が、本当に悪いのは彼ら個人ではなくて彼らを悪たらしめる社会制度のほうである、ということだろう。ナンシイの身の上話を読んで、そう感じた。


    この作品が皆に愛されているのは至極納得がいく。とにかく面白い。次はどうなるんだろうと思わせる、小説として読ませる力がある。「おはなし」と割りきって読めば、優れた作品だと思う。読んでいるあいだ中、素直に楽しめた。

    しかし。
    読み終わって反芻してみると、どうも物足りない感じがする。極言してしまえば、筋書きはご都合主義でお涙頂戴、そして安易なハッピーエンド。登場人物は類型的で単純な善悪の二項対立。悲劇的結末イコール文学としての価値ではないのは重々承知しているつもりだが、こうも綺麗にまとめられるとやはり欲求不満の感が残る。深みが感じられないというか、総じて教科書的に見えてしまった。
    ずっと後、いろいろな本に触れた後にこの作品に戻ってくると、良さが分かるのかな。

  • 当時の救護院の劣悪さがひしひし伝わる小説でした。

  • 新書文庫

  • この訳者は著者に対して非常に好意的

  • 救貧院は本当にひどいところだったんだなぁと。
    というか、きっと昔ありふれた良心や正義は今の私にとってのそれとはだいぶ違っていたんだろうなぁと。
    だって煙突掃除のこどもたちも、日本の炭鉱で働かされていたこどもたちのことも。
    今の所謂常識で考えたらよっぽど残酷なことなのに当時は体の大きさが適しているからという理由だけで(賃金のこともあるけど)
    平気で過酷な労働を強いていた社会は確かに存在したわけで。
    そういうことも考えさせられる作品です。
    ご都合主義だとは思うけど、オリヴァが幸せになってくれて、良かった。
    彼の陰で死んでいった人が、子供たちが一体どれほどいたんだろうと考えると気が滅入るけど
    考えなければいけないのですよね。

  • 2007/11/21

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著者プロフィール

Charles Dickens 1812-70
イギリスの国民的作家。24歳のときに書いた最初の長編小説『ピクウィック・クラブ』が大成功を収め、一躍流行作家になる。月刊分冊または月刊誌・週刊誌への連載で15編の長編小説を執筆する傍ら、雑誌の経営・編集、慈善事業への参加、アマチュア演劇の上演、自作の公開朗読など多面的・精力的に活動した。代表作に『オリヴァー・トゥイスト』、『クリスマス・キャロル』、『デイヴィッド・コパフィールド』、『荒涼館』、『二都物語』、『大いなる遺産』など。

「2019年 『ドクター・マリゴールド 朗読小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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