嵐が丘(上) (岩波文庫)

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レビュー : 98
  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003223314

作品紹介・あらすじ

作者の故郷イギリス北部ヨークシャー州の荒涼たる自然を背景とした、二つの家族の三代にわたる愛憎の悲劇。主人公ヒースクリフの悪魔的な性格造形が圧倒的な迫力を持つ、ブロンテ姉妹のひとりエミリー(一八一八‐四八)の残した唯一の長篇。新訳。

感想・レビュー・書評

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  • Wuthering Heights(1847年、英)。
    登場人物が見事に病んでいる。ただ、少なくとも虚無的ではない。彼等は力の限り相手を愛し、憎む。泥沼の愛憎劇なのに多くの人を魅了してやまない理由は、このひたむきさにあるのだろう。特筆すべきは、語り手の批評眼の公正さだ。道を踏み外す者にも理由があり、本人だけの責任ではないことを、彼女は熟知している。しかし、最終的に運命は自分で選び取るものであり、苦境を乗り越えて相手を許せる者にしか幸せを掴むことはできないと、物語の結末を通して言外に語る。病的なドラマの背後に、まっとうで強靭な人生観がある。30歳にもならない作者がどうやってこの心境に達したのか、感嘆するばかりだ。

  • 読み返しだというのに相変わらずぎゅんぎゅん読んでしまう。今回はキャサリンという人の捉えどころのなさがおもしろい。彼女には女神みたいなところと因習にとらわれたすごくつまんないところが同居しており、ときには精神年齢3歳なのかな? という万能感で無茶ぶりをする。でも3歳なのにエドガーとヒースクリフとの三角関係のツボをつかんでいるのでふたりから見切られない。

    ふつうの人間は人と人との間の隙間を埋めるために腰をひねったり首をすくめたりするのだけど、キャサリンは大の字に寝っ転がって「このままのわたしを愛して!」と吠えているわけで、すごい3歳である。怒ると村を踏み潰すような女神がいるかは知らないが、そういう神様も3歳なのだろう。そういう3歳性に、ひとは惹きつけられひれ伏してしまうのではないか。

  • やばい想像以上の鬱展開だった…なんなんだこの作品の登場人物は一人残らず好きになれない。ただヒースクリフには悪の魅力?がある気がして、本当にロクでもないと思いつつ少し惹かれるものがあります(今のところ)。とにかくキャサリンがヒステリックでしんどい…とりあえず先が気になるので下巻無理矢理読んできます。

  • もう20年以上も前、大学1年のとき「英文学講読」という授業でこの作品にふれた。授業でふれられた原文は全体のほんの一部で、あとは邦訳で「読んだつもり」という体たらくだったけど。。。

    ごく最近になって、全くひょんなきっかけでこの作品をもう一度読んでみようかという気になった。どうやら21世紀になって、3種類の「新訳」が出ているらしい。その中で上下巻分冊でない(要するに一番安価な)新潮文庫版を買って読み始めたのだが、どうも読んでいてクラクラする。言っちゃなんだが、下品で行儀の悪い表現が多く、代名詞の指すものが不明瞭なのだ。

    amazonでは光文社文庫版が好評のようだったので立ち読みしたところ、新潮とあまり違いを感じず。そしてこの岩波も立ち読みしたら、すんなりすらすら読める。この時点で改めて上下巻ゲットし、漸く読了。いやぁそれにしても気づいたら随分熱心に入れ込んでいたもんだ(笑)

    内容的には、この歳になって改めて感じるものがいくつもある。ほんの一例だが「墓を暴く」という行為の意味なんぞ、ハタチ前の青二才にはピンとこなかったけど、今なら身震いをもって感じ取れる。他にもシンメトリーの妙とか、怨念とか、切り口は豊富。いつでも読めるし、読んだその時々で様々な感想を抱ける作品だ。

    新訳の出来・不出来は、おそらく橋本治がかつて『桃尻語訳・枕草子』で言っていた「直訳で分かりづらいのは清少納言の表現力の問題!」に通じるもののような気がする。要するに、岩波の新訳はその辺を親切に訳し直してくれている。ストーリーをつかむには岩波が最適かも。

  • 全二冊。必読。小説はこうでなくっちゃというかんじ。爽やかさに欠ける、癖だらけの登場人物たちを一人残らず好きになってしまう。作者ブロンテが生涯故郷を出なかったという事実が興味深い。

  • とことん重苦しいし狂気すら感じる。所々ホラーかってくらい怖いし。人間てここまで心すさんじゃうのかと思うと人間そのものについて凹みそうになる。文章自体は読みやすいけど、なんかもうねぇ‥うん(´ω`;)
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    アンナカレーニナのレビューつながり。読み応えあるって聞いて。

  • 読み進めるほどに先が気になる名作でした。( ̄ー ̄)

    ☆詳しいレビューは<a href="http://ihuru.blog46.fc2.com/blog-entry-862.html" target="_blank" title="コチラ">コチラ</a>

  • 有名な小説なので、以前読んだと思っていたのは抄訳だったのかもしれない。ロックウッドが手伝のディーンからヒースクリフに関係する人々の話しを聞く、というスタイルの小説である。抄訳では、ロックウッドがディーンから話しを聞くスタイルが割愛され、ヒースクリフだけの話になっていたと思う。イギリスの屋敷についての何の知識がない人でも、翻訳ではわかり易いが、英語で読むのは難しいと思う。

  •  19cイギリスヴィクトリア朝の小説。
     作者は有名作家三姉妹の次女、エミリー・ブロンテ。ヴィクトリア朝の小説は、栄華を極めたように見えるヴィクトリア朝期イギリスの水面下の社会問題に気付かせるためのものが多い。
     この小説の特徴は、初期の心理小説、情熱の小説(ヒースクリフとキャシーの関係)、ヨークシャーの田舎の荒涼とした丘陵地帯という舞台設定、一人称の語りである。他にも18cイギリスで流行った、恐怖による感情の揺さぶりを目指した「ゴシック小説」的要素を持つ。ゴシック要素に関しては下巻のレビューで触れたい。
     この作品の簡単な説明としては、スラッシュクロス屋敷と嵐が丘という屋敷に住むリントン家、アーンショー家の2家族の2世代と邪悪な心を持つ男ヒースクリフの、復讐と愛憎の物語である。
     作品の始まりは、スラッシュクロス屋敷を借りるために嵐が丘の屋敷にロックウッドという男が立ち寄り、彼が寝るときに嵐が丘に住む人たちの複雑な関係性について使用人のネリーが昔話を語って聞かせるというものである。なぜ嵐が丘の人々の関係性がそのように複雑になったのかが昔話により紐解かれていく面白さを感じた。
    物語の流れとして、昔話と現在の話という時間軸の前後も特徴となっている。
     この小説の舞台設定は、ヨークシャーの田舎の荒涼とした丘陵地帯である。ヒースクリフとキャシーはとても気性が荒い。さらに2人はお互いと自分のことしか見えていないため、他の人を寄せ付けない。これらは丘陵地帯の悪天候の激しさ、荒々しさと重ね合わせられている。更にはこの小説の流れを見たとき、ヒースクリフが2家族に影響を与えたり人が亡くなったりする悪い時期と、そうでない平和な時期の繰り返しとなっている。これらは突然入れ替わったりする。これも山の天気の変化のしやすさが重ね合わせられているのかなと想像した。
     この小説の語り手は、ロックウッド、使用人のネリーとジラの3人である。ロックウッドは比較的中庸的な視点の傾向があり、ネリーとジラは、一人称の語りらしく、彼女らの主観交じりの視点で語る。一人称の小説では、語り手が与える人物や事柄への印象に関して、語り手の主観が入っていると考えて読むのが肝要である。次読むときは、彼らが自分の想像で結論付けた様々な人物の心情をもっと想像しながら読みたい。
     上巻では主にヒースクリフとキャシーの関係について書かれている。彼らの愛情や関係性について考えるのは楽しかったが、話の展開としては下巻のほうが動くので、むずむずする、先の展開が気になるといった感想を抱いた。

  • 中学進級時に父からもらって読んだ本。これは恋愛小説なのか?と思うほど、怒りというか、エネルギーに満ちた作品。荒々しい登場人物に圧倒されつつも、するすると読んだような記憶。

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