サイラス・マーナー (岩波文庫)

制作 : 土井 治 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 105
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003223611

作品紹介・あらすじ

信じ切っていた友に裏切られ、人も世も神も呪う世捨て人となったサイラスの唯一の慰めは金だった。だがその金も盗まれて絶望の淵に沈んだ彼に再び生きることの希望を与えたのは、たまたま家に迷いこんできた幼児エピーの無心な姿だった。「大人のためのおとぎ話」として広く愛読されてきたエリオット(1819‐80)の名作。

感想・レビュー・書評

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  • 「書店主フィクリーのものがたり」がこちらのオマージュ要素アリ、と解説に書いてありまして読みました。
    お金が充分になくても幸せになれるということだ。

  • 大人のおとぎ話。人に裏切られ続けた後に天使のようなエピーと暮らすようになって、だんだん心が開いて行くサイラスを、知らず知らず応援していた。

  • 夏目漱石も愛読した古典です。はじめの方はなかなか話が展開せず、またわかりにくい表現が多いので、途中で読むのが辛くなってしまいした。しかし、後半は心温まる話で、最後まで読み切ったときには、感動が心の奥底にじんわりたまっているような心地がしました。

  • 一度人間というものを信じられなくなった人が再び人間を信じられるようになるにはいかなる精神力がいるのだろうか。・・・いや案外簡単なのかもしれない。周りに善人が幾人かいるという条件が必要だけど。・・・逆に周囲に悪人しかいないと「クリスマス・カロル」の爺さんみたいになるのだろうね。人は人を変えてくれるってことか。

  • 人によって人生に絶望して、人によってまた救われるという
    よくある話をちゃんと感動させる展開で描いてる。

  • 「サイラスのような人生、どう思う?」

    ある人に、こう聞かれた。
    私は、はて?と考え込んだ。


    私にはそれは優しい祖父が居た。
    幼い頃はよく、祖父の家で、昔母が子供だった頃に読んでいた、古い児童書を読んでいて、
    そんな時に「エピーのねがい」という題名の児童書とも出会った。
    この本は「サイラス・マーナー」を、少女向けに易しくした本だったのだ、と知った頃には、私は高校を卒業し、もう祖父も亡くなっていた。
    こうすると、おかしな話だが、思い出補正が手伝って、どうしてもサイラスの笑顔と、眼鏡をかけて優しく微笑む祖父の顔とが重なってしまう。
    祖父の布団の横に布団を敷いて、寝る前にオレンジ色のランプの下で、本を読み耽ったあの幸せな時間…


    作中のサイラスは、エピーと出会ってからはとても幸せそう、だと私は思う。
    苦しいこと、辛いことがあっても、サイラスは、彼の人生を全うするまで、穏やかな幸せな人生を送るであろう。…そう願わずにはいられない…。
    サイラスも、エピーも、その他多くのサイラスの周辺の村人も、好きでした。
    また、村人の描写が大変魅力的。

    読了後、それでも、「“サイラスのような人生”は幸せだ!」と、声高らかに言うことは私は出来ない。そもそも、自分にとって、声高らかに言えるようなことなんて、そうそう無い。
    私にとっては、サイラスの姿を思い浮かべた時、彼はそれは幸せそうに微笑みながら、その傍にはエピーが居て、村のみんなが居て…そんなサイラスの姿がどうしても思い浮かべられて…


    私がサイラスだったら、サイラスの人生を幸せに思ったのかは分からないけれど、
    サイラスは、彼自身の人生を幸せに思っていると、やっぱり思う。

  • この作品をサイラス・マーナーというひとりの人間の物語であると同時に、架空の共同体ラヴィロウの物語として読みました。

    19世紀初頭を扱った『サイラス・マーナー』が書かれたのは1861年、大英帝国の繁栄がもたらした落とし穴というか、繁栄の結果露呈したマンネリズムというか、そんなマイナス面が少しずつ明らかになっていった時代。

    この時代、日々のささやかな糧を得ようと働く貧しい人々が多くを占める共同体では、神籤で「サイラス・マーナーが罪人であることを決定」(p.25)したり、教会に行くことで「天国で神の恩寵を得、近所の者たちよりいっそうすぐれた特権にあずかろうという欲深さを示す」(p.147)安易な宗教観や道徳観が存在していたのですね。

    本来、人の暮らしの基盤であるべきそうした共同体の危うさは、イコール人々の内面の虚実の象徴でもあります。裏切りと信頼、人の心の崩壊と再生 ――それらが多様な、けれども誰もが共同体の一部である住人たちの毎日の生活のなかで多層的に重なりあいながら、共同体全体を描きだしているように感じました。

    著者はサイラス・マーナーが真の光を手に入れる終盤までに、ずいぶんいろんなエピソードを盛りこんでいます。正直なところ、ちょっと長いなと思うときもありましたが、それもこれも著者の単なる寄り道ではなく、サイラス・マーナーひいては共同体すべてを描くために欠かせないことだったのですね。

    19世紀初頭という時代を表すために少々古めかしい訳語が使われています。多少とっつきにくいかもしれませんが、読み進めると著者がこの作品で描こうとしたものが見えてきます。興味のあるかたはぜひご一読を。

  • 後半部分で、サイラスとエピーとの絆を何よりも強く感じた。
    何もかも希望も愛さえも失った男が、偶然が重なることで赤ちゃんを見つける。
    そこで人生の希望の光を発見する。

  • 何かを愛するということ。
    それがお金でも、人でも幸せでいられる。
    その人が幸せだと思えばそれが幸せなのね。
    不幸せになるのと同じくらい
    簡単に人は幸せにもなれるのだとおもう。
    物もお金も人も環境も
    何も関係なくて
    ただ気持ち一つで。

  • なんというか…おとぎ話のように綺麗な話でした。読みやすいっちゃ読みやすい。でもこうゆうの、キライじゃぁない♪

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著者プロフィール

George Eliot(Mari Anne Evans)1819-1880.
本名マリアン・エヴァンズ。
男性名で評論、小説、詩作品を発表し、
英国小説史におけるもっとも傑出した
リアリズム小説家と評される。

「2018年 『サイラス・マーナー (仮)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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