宝島 (岩波文庫 赤 242-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003224212

感想・レビュー・書評

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  • かつて子供時代に、少年向け世界文学全集の類で読んだように思う。そして、今回初めて「大人向け」の翻訳で読了。意外。こんな内容だったの? 驚き。
     「少年文学」という先入観から、荒唐無稽でけれん味あふれる冒険物語…、宝探しのファンタジー…、と想像していた。だが、思いのほか抑制の効いた泥くさい描写であった。
     主人公は、ジム・ホーキンズ少年で、幼さの残るティーンエイジャー。その点では、少年の冒険ものらしさがある。だが、ジム以外はみな大人の男衆。荒くれ者の海賊どもわんさか、登場するのだ。そして、人でなしの男どもの破滅的な生き様、裏切り、叛乱、刃物を深く刺すえぐい殺し、無様な死に様。水底の白い砂に死体が沈んでいく物哀しい最期。 少年の冒険ロマンというよりも、そういう男くさい匂い(&アル中の酒臭さ)が濃厚に充溢しているのであった。

    < 以下、ネタばれ 含む >
    そして、なんといっても、海賊のシルヴァーがキャラ立ちしている。片脚ながら機敏に動き、頭も切れる男で、嘘裏切りで生きてきた卑劣漢。だが、なぜか、ジム少年をかわいがり、かばう。憎めない男で、最期まで敵か味方か、よくわからない立ち回りを見せる。終盤、それでも案の定、小金を掠めて船から姿を消し、抜け目ない。かのジャック・スパローの原型を思わせた。

    <以下、あらすじ> 
    英国・ブリストル近くの海岸。ジム少年は、小さな宿屋のせがれ。ある日、海賊くずれの男(ビル)が流れ着き長期逗留。その後、荒くれ男共が宿を夜襲(シルヴァーの一味)。男は斃れるが、ジムは男の「海員衣服箱」の底に、宝を埋めた島の地図を発見。地元の郷士と地方判事(兼医者)は、スクーナー船ヒスパニオラ号を仕立てて出帆。だが、雇われ船員の大半は、金の匂いをかぎつけて乗り組んだ海賊ども。その後、シルヴァーは船を占拠し、船長の座を奪うのであった。 
    (※ ところで、結局、財宝を島に隠したのは「フリント船長」? そうした、シルヴァーらの「前史」がよくわからなかった。)
     ※舞台設定は、1760年代か70年代のどこか、とのこと。

  • リアルとロマンがつまってる

  • 2014/8/16読了。
    いやはや面白かった。夏休みの読書に最高の一冊だ。シルヴァー船長をはじめ、まるで絵で描いてあるかのように生き生きと動き回るキャラクターたちが、最大の冒険は海を行くことでも山を越えることでもない、人間を相手に立ち回ることだと教えてくれる。

  • こちらもレポートの課題としていた一冊。もう一冊の『ロビンソン・クルーソー』(1719)よりもだいぶ新しく,原著は1883年に出版された。歴史を古い方からたどっている講義がようやく『ガリヴァー旅行記』(1726)だから,ちょっと新しすぎた。
    まあ,現代ではディズニー映画の『パイレーツ・オブ・カリビアン』やちょうど公開中のスピルバーグ映画『タンタンの冒険』,そして日本で人気の漫画『ONE PIECE』(これについては受講者がレポートに書いていた)などの原点として本作を位置づけることはできるが,講義で話をしているテーマとの関連はあまり見出せないことが分かってがっかり。そして,学生さんには少し悪いことをしたような気もします。
    本作が執筆されたのは19世紀後半だが,舞台として設定されているのはほぼ1世紀前ということになっている。さすがに,19世紀後半には海賊はいなかったのか。海賊というのも地理学的には面白い歴史的テーマだが,存在が存在だけに私が読んだ歴史書の類いでまともに登場したことはない。しかし,断片的には18世紀における海洋覇権国としての大英帝国を思わせるような記述もあるし,無人島の設定は『ロビンソン・クルーソー』からの文学的影響もみてとれる。
    しかし,『ロビンソン・クルーソー』のリアリティに比べたら,子どもが主人公という時点から明らかにフィクションであることが前面に出ているのは,やはり19世紀後半という時代のせいだろうか。ともかく,一度読んでおいてもいい本であることは間違いない。そして手塚治虫のデビュー作である『新宝島』(1947)を読み直してみようと思う。

  • 小さいころから幾度となく読んだ本作だが、自宅で岩波版を発見したので再読してみた。

    伝説の海賊、個性的な船員、一癖あるが心強い仲間、隠された財宝、島での冒険 などの子供心をくすぐる内容は、いつ読んでも夢に満ちた楽しさを与えてくれる。

  • いわずと知れたスティーヴンスンの名著である。
    こういった物語は何度読んでも楽しめる。内容については紹介する必要も無いだろうが、登場人物といい、宝のありかの地図など、まさに海賊物語の原型とも言える作品であり、痛快でワクワクどきどきの海洋冒険ものがたりであり、『まずはこの1冊を』と自信を持っておすすめする。

    最近は子供が読みやすいようにと新訳本が何冊も出ているが、今から大人が読むのであれば、私は重版を重ねているこの岩波文庫版をおすすめする。巻末にスティーヴンスンによる作品についての話が訳出されていて、非常に興味深いのである。

  • 2022/6/18 読了

    かつて(中学生のときだろうか)読んだときとそれほど異なる印象を持つことはなかった。ただ、大まかなストーリーとしては平凡な冒険小説でありながら、独特の人間模様がときにスパイスとなって面白い。

  • スティーブンソンの宝島は小学校か中学校あたりの頃に配布された記憶があるが、読まずに終わっていた。

    それから20年以上は経っているが、ようやく完読した。

    読んでいると映像が浮かんでくるような感じで、まるで2時間のハリウッド映画をみているかのような感じだ。映像化を期して作られたのではないかと思えるほどだ。

    キャラクターが魅力的で、海賊のジョン・シルヴァーが魅力的で、死んでほしくないなーと思って読んでいた。

    エンターテイメントを志向した古典的な作品だ。

  • 原書名:TREASURE ISLAND(Stevenson,Robert Louis)、訳:阿部知二

  •  これぞロマンあふれる冒険譚というやつだ。この作品に出てきた海賊たちの名前は、現在人気を博しているワンピース(海洋冒険ロマン!)の登場人物にもたしかに受け継がれている。
     ジムは最初は痩せっぽちのかよわい少年を想像していたが、物語のなかで徐々にその像が変容する。その機転や行動力には感服さえしてしまう。一人称は「ぼく」以外ありえないでしょう!

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著者プロフィール

R.L.B.Stevenson

「2018年 『女声合唱とピアノのための ドゥーニィのヴァイオリン弾き』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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