ジーキル博士とハイド氏 (岩波文庫)

  • 岩波書店 (1994年11月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784003224229

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

人間の心理の二重性をテーマにしたこの作品は、善と悪の葛藤を鮮やかに描き出しています。主人公のジーキル博士は、清らかさを求める一方で抑圧された欲望に苦しむ姿が印象的で、彼の秘薬によって生まれたハイド氏は...

感想・レビュー・書評

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  • 内容は有名なので内容は知っていました。映画や舞台ではジーキル博士を主人公としているものが多いですが、原作では前半は友人のアタソン弁護士からの第三者目線での「善良なジーキル博士と、悪行のハイド氏の関係は?」という謎の物語、そして後半は2つの手紙によりその謎の回答となっています。
    私は内容は知っている状況で読んだのですが、知らずに読んだら前半はアタスン弁護士と一緒に謎を不思議に思い、後半はジーキル博士の焦燥感を感じながら読んだだろうなあ。

    ※※※以下ネタバレしています※※※

    私が知っていたのは「薬により、善のみのジーキル博士と、悪のみのハイド氏に分かれる」ということだけだったので「もともとジーキル博士は善意の人で、善意から研究をしたんだけど、悪に乗っ取られてしまった」のかと勘違いしておりました。
    しかしちゃんと読んでみるとジーキル博士は若い頃から悪行の二重生活を送っていた、ということなので、すると薬が利かなくなったのは、薬によりハイド氏の悪が本性だと暴かれたってことでしょうか。
    小説の根本にはキリスト教思想とかあるのかなあ。人間の性質は神が作ったのだから、科学的に悪意に飲まれてないけないよとか、
    現在読者としては、人間には善と悪があり、どうしても悪のほうに惹かれてしまうが、それを認めてできれば善行を行おうとするのが人間だよね、というようにも考えた。


    ===
    弁護士のアタスンは、親戚のリチャード・エンフィールドから「その建物の出入口で、凶悪な人相のハイドという中年男がぶつかって転んだ少女を足蹴にした様子を見た」ことを聞く。
    エンフィールドとアタスン弁護士が気になったのは、通行人に詰め寄られたハイド氏が慰謝料として支払ったのがヘンリー・ジーキル博士の小切手だったということだ。
    ※冒頭はアタスンとエンフィールドの関係やら会話やらに行を費やすのだが、エンフィールドの出番はここだけ。

    ジーキル博士は50代の温厚で品行方正で知られ、アタスン弁護士の顧客でもあったのだ。そしてアタスン弁護士はジーキル博士から「自分が死ぬか行方不明になるようなことがあったら、遺産はハイド氏に譲る」という遺言書を預かっていた。
    ジーキル博士はハイド氏に恐喝されているのではないか?と気にになったアタスン弁護士は、ジーキル博士の長年の友人ヘイスティー・ラニョン医師を尋ねる。しかしラニョン医師は「昔はヘンリー・ジーキルとは友達だったけどさ、彼の最近の科学的主張があまりにバカバカしいのでもう友達辞めたよ」と言う。(ラニョン先生は明るく豪快な印象なのでこんな口調で書きたくなる 笑)
    数日後、ジーキル博士を訪ねたアタスン弁護士は、その住居でハイド氏と鉢合わせる。聞いた通りの凶悪で人を不快にさせる風貌。アタスン弁護士がジーキル博士に問いただすと「その気になればハイドを追い出すことができるのだ。今は遺言状のままにしてくれ」と言ってそれ以上のことを答えようとはしない。

    1年後、ついにハイド氏が大事件を起こす。ある老紳士をステッキで撲殺したのだ。ハイド氏は姿を消した。
    アタスン弁護士はジーキル博士にハイド氏の行方を問うと「ハイド氏とは関係を絶った。彼はもう現れない」と言う。ジーキル博士は慈善事業に力を入れるようになる。

    平穏な日々が続いたかと思ったが、ジーキル博士の様子がおかしくなる。住居に引きこもり来客を拒むようになったのだ。
    その頃、ラニョン医師が病死する。ラニョン医師はアタスンに「ジーキル博士が死ぬか行方不明になったら開封すること」という手紙を遺した。
    ジーキル博士の遺言状と同じような「行方不明になったら」だ。ジーキル博士は行方をくらまさなければいけない理由があるのだろうか?
    ある夜アタスン弁護士のところに、ジーキル博士の執事のプールが助けを求めてくる。「ご主人様の元で長年勤めておりますが、今ご主人の研究所にいるのは主人のジーキル博士ではありません。体格も声も全くの別人でございます。あれは何者なのでしょう。そして主人のジーキル博士はどこに行ってしまったのでしょう」と言うのだ。
    アタスンはジギル博士の研究所に駆けつけ、プールとともに扉を壊して中に入る。そこには、ジーキル博士の服を着たハイド氏の屍体が横たわり、ジーキル博士の姿はどこにも見つからなかった。そして机には、ジーキル博士からアタスン弁護士宛の手紙が置かれていた。


    物語前半は、「紳士のジーキル博士が凶悪なハイド氏の関係は?!」という謎。そして物語後半は、アタスン弁護士に当てられたヘイスティー・ラニョン医師とジーキル博士からの二通の手紙で、前半の謎の答えとなる。

    【ラニョンからの手紙】
    「友人で科学議論の相手であるジーキル博士から突然『私の研究所から薬を持ってきてくれ』という手紙が届けられたんだ。理由分からないけど必死の様子が読み取れたから薬を取ってきたんだよ。
    そこへ乱暴者のハイド氏が乱入してきて私が取ってきた薬を飲んだんだ。
    すると!なんと!小柄で凶悪で中年のハイド氏が、自分の目の前で大柄で温厚で初老のジーキル博士に変わったのだ!
    ああ、あんなもん見ちまったらびっくりしちまって、自分の人生ももう長くはないよ。」


    【ジーキル博士からの手紙】
    「私は温厚で善良で人付き合いの良い紳士で通ってきたけど、若い頃から悪の快楽への欲求を強く持ってきた。若い頃は二重生活を送ってきたけれどジーキル博士としての名前が上がると難しくなってきた。そこで実験を繰り返し、人間の善と悪を完全な分離させる薬を発明したのだ!これを飲むことにより、善のみのジーキル博士、悪のみのハイド氏に自在に変身することができるようになった。
    初めは薬により、ジーキル博士としての善良な社会生活と、ハイド氏としての悪行や暴力を入れ替えて暮らしていた。
    だが薬を飲まなくてもハイド氏に変身するようになってしまった。(ラニョン医師の手紙はこの頃のもの。外出先で急にハイド氏になってしまったので、友人ラニョン医師に研究所から薬を手に入れてもらった)
    その後もジーキル博士でいられる時間はどんどん短くなってゆく。その中で必死の研究を続けたが、ハイド氏に変わった時にその研究を阻害される。私の中から善意のジーキル博士が消え失せ、悪行のハイド氏に成り切ってしまうのは時間の問題だろう。ハイド氏は殺人者として処刑されるのだろうか。その時にはジーキル博士である自分はもう消え失せている。それならジーキル博士最後の意思が残っているうちに、自分の人生を終わりにしよう」

  • 翻訳が古いためか、そもそも作品が古いためか、文章を読み進めることが、非常に困難で、忍耐力を試されているかのようであった。

  • 人間誰しも二重人格だと思うんだけどな。

  • 弁護士アタスン氏の古い友人である医者のジーキル博士には恐るべき秘密が隠されていた。
    アタスン氏の住むロンドンの街では不気味な人物ハイド氏に関する奇妙不可解な事件が起きていた。アタスン氏は友人であるジーキル氏とハイド氏に謎の接点があることが分かってくる。
    アタスン氏はついに友人のラニョン医師の手記とジーキル氏の陳述書から真実を知ることになる。

    この『ジーキル博士とハイド氏』は従来より人間心理の二重性に触れた作品として知られている。ジーキル氏は資産家の家に生まれ、幼い頃より努力と徳の節制した生活をしてきた。しかし、彼は欲望に旺盛であり、そういった欲望を節制により抑圧してきたのである。
    だが、のちに人間本来の二元性に気づいたジーキル氏は善悪二元の完全分離を夢見て、ついにその秘薬を完成させた。

    人間誰しもが持つ善悪を分離するという発想もさることながら、邪悪な面を凝縮したハイド氏は善の部分がなく歯止めがないため、次第にジーキル氏自身が変身をコントロールできなくなるという展開は、人間の心理をよく分析した筆者一流の怪奇ストーリーである。

  • アタスン氏の語りにより進められる、博愛家で有名なジーキル博士と残忍なハイド氏の奇妙な関係。なんとなく二重人格の話?という印象を持っていたのですが、読んでみると、そんな単純な話ではありませんでした。
    良い人と思われたい。だけど、欲望のままに自分を満足させたい。清さや愛を求める心と、罪や享楽を求める欲望を併せ持つのは、いたって普通な人間の姿だと思います。だけど罪にふけりすぎると結果自分自身を滅びへと招いてしまう。でも相反する二つの心を持っているのはつらい。人の持つ葛藤をこの物語はよく現していると思います。
    そう、そして、ジーキル博士に言いたいのは、そんな罪人のあなたを主は愛している、ということです。

  • 名前だけは聞いたことのある有名な作品。二重人格の男が主人公ってことしか知らなかったんだけど、ここまで高尚な作品だったとは…。ペラペラの本だけど凄く読み応えがあって、とても面白かった。善と悪の戦い。最後には悪に屈してしまった博士が切ない。人は悪しき心には勝てないのかな…。ハイド=hide(隠れる)という命名にも感服。時の洗礼を受けた作品はやっぱり損なわれない魅力があると改めて実感。2011/353

  • ジキハイが嫌いなオタクはいません

  • おすすめされて読んだ本。
    いわゆる名作ってなかなか手が出せずにいたけど、これはおもしろかった。
    流石時代を超えて読み継がれて来ただけある。
    謎の答えを知ってるのにこんなにドキドキしながら読めるってすごい。途中で、ん?と思ったところもちゃんと回収されてて、天才ってすごいと思いながら読み進めた。

    楽な方に流されたり、ダメだなと思いつつ抑えられないときの自分と重ね合わせながら、あるよね…と思いつつ読んでたので、その後のハイドに侵食されてくところがリアルに恐怖を感じられた。

    これがプロの手でどう解釈されてるのか、論文とかも読んでみたいかも。

  • 図書館で借りた。
    岩波文庫の赤・西洋文学から1冊。怪奇小説モノだ。個人的には「ジキルとハイド」というワードだけがひとり歩きしていた印象だったが、この作品から広がったものであると改めて認識し、学んだ。
    多重人格って、一般的には怖いと感じるのだろう。ただ私は、ワードやあらすじが既に入っている上で読み進めると、すんなり「そういう人ね」と納得してしまう自分がいる。それも本作品から派生した物語が身に染み付いているからだろうか。むしろ、「この人を生かすには、どのような環境を作れば良かったのだろうか?」を考えてしまう、そんな私はおかしいのだろうか?
    作品が作られて150年。自分のこの感覚は世界が進歩しているからだ、と思うことにする。

  • ジキルとハイド、ちゃんと読んだのは初めてだ。
    昔の文庫本だから文字が小さくて老人にはきつい。
    中学生の時に夢中になった江戸川乱歩シリーズを思い出した。
    物語はシンプルだけど、こんな人間の二重性の話を、昔の人は恐る恐る読んで怖がったんだろう。

    いい人でいなければと思うから辛くなる。
    たまにはイヤなやつになった方が楽になれる事に最近気づいた。実はハイドの方が居心地がいいとは!
    7:3くらいの割合が一番いい塩梅なのかな。
    そのうち自分の全部がハイドになったりして…
    そうなったら、私は幸せなんだろうか。

  • この物語の設定と、二重人格という概念を知らない状態でもう一回読みたい

  • 短いものでありながら、直接語ることのほとんどない「ハイド」という悪の存在をジーキル博士の内面から描き出していた。読了して、彼らには二重人格というより、表裏一体の言葉が適切なのではないかと思った。多重人格の話として、ビリー・ミリガンについても読んでみたいと思った。

  • 今まで読んだこともなく、話も知らなかった。とても面白かったが表紙がネタバレだったので残念だった。

  • 漠然と二重人格の話だと思っていて、しっかり読んだのは初めて。思っていた感じと違うから、やっぱり本は自分でキチンと読まないと、という気付き。誰でも持ちうる二面性の話で、その一面が出過ぎちゃたのがハイドかと。

  • 読了

  • 結末は知りつつ読んだことないなと思って手に取った。
    思ってたより複雑で博士が葛藤してた。
    ハイドのような、誰もみたことがないくらい悪の権化の見た目や声を表現できるのが小説だよな〜と感心。想像力が発揮される。

  • やっぱり海外の本を翻訳した本って、文章が独特でしっくりこないんだよなぁ。きっと文章の構成というか言い回しとかも日本とは違うという要因もある。その辺違和感なくスッと読める読解力がほしい。

  • あまりにも有名な物語だけど、ちゃんと読んだのは初めてだった。何故かわからないけれど、人間の善と悪、二元論的な話に惹かれる。誰しも完全な善ということはなく、多かれ少なかれ悪が備わっているのだと思うと、ちょっと安心するからかも。

  • 2021.11.14

    ジーキル博士がハイドになることで快楽を得ている一方で、ハイドのことを憎んでいる点が、ジーキル博士の善人の部分だとおもった

    完全に善でいる、自分を作り上げて意思を抑圧することは難しくて、どこかしらで押さえていた欲が爆発してしまうっていうことなのかな

  • 発行当時はショッキングだったろうと思われる内容。これが先駆けだったことを思うと、時代も感じる。

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著者プロフィール

本名ロバート・ルイス・バルフォア・スティーヴンソン。1850年、スコットランド、エディンバラ生まれ。エディンバラ大学を卒業後、弁護士の資格を取得。結核の転地療養で各地を転々とする傍らエッセイや小説を執筆する。1894年、脳溢血により死去。代表作「宝島」(1883)や「ジーキル博士とハイド氏」(86)は世界各国で古典的名作として読み継がれている。

「2019年 『眺海の館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ロバート・ルイス・スティーヴンソンの作品

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