サロメ (岩波文庫)

著者 :
制作 : Wilde  福田 恒存 
  • 岩波書店
3.70
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本棚登録 : 1791
レビュー : 253
  • Amazon.co.jp ・本 (104ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003224526

作品紹介・あらすじ

月の光のもと、王女サロメが妖しくうつくしく舞う-七つのヴェイルの踊りの褒賞に彼女が王に所望したものは、預言者ヨカナーンの首。ユダヤの王女サロメの恋の悲劇を、幻想的で豊麗な文章で描いた、世紀末文学の代表作。ビアズレーの挿絵18点を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 新妻を迎えてすぐの王エロドが夢中になっているのは、新妻と前王の間の娘である王女サロメ。サロメは月光のもとで踊れというエロドの要求の見返りとして、地下に囚われていた預言者ヨカナーンの生首を所望する。
    シュトラウスのオペラ「サロメ」の原典である本作。

    登場人物たちは皆、妖艶で美しいサロメに惹かれています。
    自分に好意を寄せるナラボスを言葉巧みに操り目的を叶える計算高さを持ち合わせながらも、ヨナカーンに口づけするために首のみを望む心の未熟さなど、大人になり切れない危うい魅力を持ち合わせたサロメ。「純粋な狂気」というのが彼女の第一印象。気付けば読者もサロメの虜になっています。
    幻想的で神話のような描写がある一方、それぞれが抱える「欲」も垣間見えて妙に人間臭い。短い作品ながら色々な側面を見せてくれる印象深い1冊。
    そしてビアズリーの挿絵も作品全体の雰囲気を高めてくれる良い潤滑油になっています。

    ~memo~
    ワイルド著書:「ドリアン・グレイの肖像」「サロメ」「幸福の王子」ほか

  • 原田マハさんの「サロメ」を読んだので。戯曲なので、ついついセリフを口に出して読んでしまう。「あたしはお前に口づけするよ、ヨカナーン、あたしはお前に口づけする」「今すぐここへ、銀の大皿にのせて、ヨカナーンの首を」ゾクリとする。次は新約聖書も読み返したくなる。

  • 元祖ヤンデレ!?
    という軽口はさておき、王女サロメの恋物語。
    求めただけなのに、好きになっただけなのに、訪れる結末がただただ哀しい。
    王女の妖艶な空気の奥に、少女のような無垢を見た気がした。

  • 20180708

    エッシャー展の待ちの間に。戯曲って初めて読んだけど、純粋な読み物としては展開が早すぎるので、やはり舞台に行ったほうがいいのかもしれません。

    ミュシャで出てきたサラ・ベルナールがここでも出て来たのは面白かったですね

  • 愛する者を手に入れるためには、その者の命を奪ってでも手にいれたい…という、ある王女の狂気的な愛を聖書を模して一幕に収めた劇。
    登場人物に誰一人まともな人がいない、狂気の世界。醜くい世界ではなく、むしろ美しいかもしれません。
    挿し絵もちょっと幻想的で、非現実的な世界に浸るにはちょうど良い一冊。これを演じきるのは、とても難しそう…
    人間の狂気に触れたい方は、ぜひ。

  • 読んだことはなくとも有名な話ではあるので、読む前から勝手なイメージが根付いていたが、それも見事に裏切られた。サロメから悪女的な印象は一切感じられなかった。新約聖書では母親に唆されて洗礼者ヨハネの首を刎ねさせたが、このサロメは自らの恋心から進んでヨカナーンの首を欲した。サロメはヤンデレ少女の走りだったのか……というのは冗談として。誰もが見惚れる美しい王女が恋した相手は、唯一彼女を拒絶した男。その相手を殺してでも手に入れたがったサロメの倒錯的な初恋。酷く美しい物語でした。

  • 光文社古典新訳文庫http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4334752489と読み比べ。
    口調でだいぶ印象が変わる。

    あちらのサロメは無邪気すぎて恐ろしいバカ娘風だったのに対して、こちらは悲しい悪女風。
    サロメは光文社くらい明るいほうが好きだけど、全体の美しさはこっちのほうが好き。

    光文社「死者たちを探しているかのような」
    岩波「屍をあさりあるく女のやう。」とか。言葉に迫力がある。
    でもたまにあっちのほうがいいところもあって、細かく読み比べていくのが楽しい。

    1959出版のものだけど、解説中の男色の扱いがニュートラルでようやく安心して読めた。
    無視でもヘイトでもそれ一色でもなく、人生の一部として淡々と書かれているのが良い。

    名高いビアズリーの挿絵は好みじゃないのでまったく感銘を受けず。
    光文社版に三島がこれ好きだったんだってと書かれていたけれど、なんかそれは即物的な興味じゃなかろうか。
    これも高尚に読むとずれちゃう絵なんじゃないかと思った。


    しかしなんで1959年刊行なのに旧かななんだろう。
    と思って検索したらこの訳者は昔の人であるだけでなく保守の思想家であるそうな。
    戦後生まれなのに無理に旧かなを使う右翼はバカっぽく見えるけど、現役で使ってた人が時代遅れを引き受けて使い続けるのはその手の輩とは違う印象がある。
    主流の保守は嫌いだけど、流れに乗らない人の思想は知りたい。

  • 古代ユダヤ社会においては、非常に強い女性蔑視の風潮があり
    女性であるということ自体が罪悪とみなされていたらしい
    これに対し、「罪びとこそ天国に入る資格をもつ」としたのがイエス・キリストで
    彼の教えが女性からの人気を集めたのは当然のことだった

    「サロメ」は、新約聖書の1エピソードをもとにした戯曲である
    ユダヤ教の洗礼者として人々を導きながら、自らは救世主ではないとして
    イエス・キリストの出現を予告した「バプテズマのヨハネ」の物語だ
    ここでは「ヨカナーン」の名前で呼ばれている
    ヨカナーンは、ガリラヤ王を批判した罪で牢獄に入れられるのだけど
    これに一目ぼれしてしまうのが、王妃の連れ子の美少女サロメであるというわけ
    当時、ユダヤはローマ帝国に支配されていて
    ガリラヤを支配するのもユダヤではない、異民族の王だった
    だから、同じく異民族のサロメには、ユダヤの常識が通じない
    つまり、自分が女であることを罪悪などとはまったく思っていないのだ

    そんなサロメの求愛を、ヨカナーンは無下にはねつける

    …そう書くと、サロメもなんだか気の毒な女だが
    彼女だってシリアの男に冷たくして自殺に追い込んでいるのだし
    あまり人のことは言えないだろう
    まあとにかく、それで逆上したサロメは
    ヨカナーンに対して、有名な復讐をおこなうわけである

    これはいろいろな見方のできる物語だ
    もちろん、一方的な愛欲・支配欲が憎しみへと変わる一瞬をとらえた
    恐怖の物語と見ることはできるし
    また、地位とプライドのゆえに、ヨカナーンを友とできず死なせてしまった
    エロド王の悲劇ととらえることもできる

    ヨカナーンは、サロメの愛にはこたえず
    イエス・キリストに面会せよと数回にわたって命ずるだけだった
    芥川龍之介は「西方の人」のなかで
    ヨハネが抱えていた、イエスへの劣等感に言及している
    …なぜ神は、自分ではなくイエスを選んだのか?
    そんな劣等感ゆえ、女性という「他者」とまともにむきあえない
    哀れな男の物語と受け止めることもできよう

  • 読む度にうっとり惚けてしまう。血のごとき赤く染まる月、熟れた無花果のごとき落ちかかる星。ヨカナーンの白い肌、赤い唇、漆黒の髪。同じ台詞を幾度も反復するサロメのルナティックな純愛。ピアズレーの挿絵がシナジーとなりより妖しく狂わしく美しく。はぁ‥耽溺。なのでダンゼン挿絵入りの岩波がおススメ。

  • 19世紀イギリスの耽美主義作家、オスカー・ワイルドの代表作。本作『サロメ』はおそらく、新約聖書にあるヨハネ(この翻訳本では、「ヨナカーン」と表記してある)の殉教のエピソードをもとに創作された作品である。

    もともとの話では、ユダヤの王妃エロディアスがヨハネの首を所望するという設定だったが、本作では、王妃エロディアス以上に、王女サロメがヨハネの首を激しく求めるという設定となっている。

    このような変化の原因は、14、15世紀以降の西洋絵画史や文学史において、サロメがどのように描かれてきたのかを分析すれば明らかになるのだろう。

    私見を述べるとすると、淫乱の王妃エロディアスがヨハネの首を所望するより、処女で男を知らない王女サロメが、その情欲で以てヨハネの首を求める方が、文学的な衝撃が強く、またその狂気さがよく表現できるからであろう。

    この幻想じみた悪女文学に華を添えるのは、ビアズリーの挿絵である。とにかく、この人の挿絵は見ていて気持ち悪い。それもそのはず、彼ははじめからそれを意図して絵を描いているからだ。下に、有名なビアズリーの言葉を記しておこう。

    「ぼくの目的はただ一つ、グロテスクであること」

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