- Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003225127
作品紹介・あらすじ
イェイツ(1865‐1939)は、アングロ・アイリッシュのプロテスタントとしてアイルランド文芸復興に携わった特異な詩人であり劇作家であった。変貌し続けたその詩は、芸術至上主義、象徴主義、神秘主義、オカルティズム、アイルランドの民族意識と神話伝説等々の複合体とでも言うほかはない。その全体像を伝えるべく54篇を収録。
感想・レビュー・書評
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岩波文庫 イェイツ 詩集
「アルカディアの森は死んだ〜」に始まり「教会墓地にイェイツは横たわる〜」で終わる構成は、アイルランドの土地に生きた詩人の魂を感じさせる
良かったのは「動揺」。異種共存的な世界観であり、アイルランド生まれのイギリス人かつプロテスタントであるイェイツの複雑な出自を感じた
詩の中に「薔薇」が よく出てくる。愛、恋人、アイルランドの神話世界、神秘主義的体験などを暗喩しているらしいが意味不明なので、アイルランドの血肉と読み替えた
「渦巻」「螺旋」もよく出てくる。死と再生を意味するのだと思うが、一つの円をぐるぐる回る再生でなく、新しいものに変わる再生ということでは?
「火」「緑」「妖精」にケルト精霊的な意味が含まれているように思うが、石や岩のモチーフは何を意味するのだろうか? アイルランドは石や岩が多いのか?何かのシンボルなのか?
韻律がわかりやすい。愛の喜び、老いても悠々とする生き方を感じる詩が多く、怒りなど激しい感情がないので、読んでいて疲れない。夜に読んでも昂らない。
大江健三郎「燃えあがる緑の木」のモチーフとなった「動揺」は 小説の世界と一緒。詩の世界を小説に転換した 大江健三郎の再現力に驚いた
ポストキリスト教文明の無秩序、野獣性を危惧した「再臨」は 宗教的には多様性のない西洋人の恐怖そのもの
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このザマは何だ?! という感じで叩きつけるような語り口が印象的。男くさい。 例えば…
シェイクスピアの魚ははるかな沖を游いだ。
ロマン派の魚は手繰られる網の中で游いだ。
岸に放り出されて喘いでいるこの魚どもは何だ?
詩人に人生あり、詩人に背(歴史)あり。
イェイツの詩には、アイルランドの歴史が滲んでいる。
例えばリルケだと抒情的だったり崇高だったりするのだが、イェイツには暴力や血の匂いがする。そのへんは稀有で固有のものに思われ、新鮮な味わいであった。 -
She bid me take love easy,as the leaves grow on the tree.(愛はすなおに受ければいい、木の葉が芽吹いてくるように。)
She bid me take life easy,as the grass grows on the weirs.(人生はすなおに生きればいい、堤に草が萌え出るように。)
イェイツに出会える人生で良かった。 -
普段は原文は読まないけど、リズムが良くて原文の方が好き。
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醜いものを高尚に描いている感じがかっこいい。
彼の価値観が読み取れる気がする。 -
レビューや感想と言えるか怪しいが、映画「リベリオン」の劇中で、主人公の同僚がこの詩集にも収録されている「彼は天の布を求める」の一部を読み上げるシーンがある。
そっと踏んでほしい 私の大切な夢だから
名訳だと思う。テレビ放映バージョンの吹替だったと記憶しているが、今でもその一節が心の深くに突き刺さっています。 -
初めてのイェイツ。個人的に詩というジャンルに関してもよく分かってない部分があるうえに、アイルランドに関しての詩が多かった印象があって、さらに理解しづらい部分があったんだけど、芸術や戦争に関しての詩は自分でも掴めた感覚はあった。
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初期の作品は綺麗で好きなんだけど・・・
後の方はなんだか思想くさくてあまりピンとこない。 -
神話的であったり当時のアイルランドであったり、木と土のにおいのする詩の数々。