- Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003225448
作品紹介・あらすじ
世界の十大小説として選んだ十篇を、実作者の視点から論じたユニークな文学論。まず作家の生涯と人物について語り、作者への人間的な興味を土台に、痛快な筆さばきで作品を解説する。(上)では『トム・ジョーンズ』『高慢と偏見』『赤と黒』『ゴリオ爺さん』『デイヴィッド・コパーフィールド』を取上げる。(全2冊)
感想・レビュー・書評
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下巻の『嵐が丘』の章が読みたくて入手したので、上巻は第1章「小説とは何か」のみ。
モーム先生の「小説とはこうであらねば」論が、現代だと素朴な意見なのかもしれないけれどすっきりと断固としていてよかった。「つまらないところは飛ばしていい」は新鮮。現代はつまらなかったり不快だったりする描写を意図的に重ねる小説があるけれど、モームが生きていたらなんと言っただろうか。
いわゆるアート作品と同じで、現代の小説は居心地が悪かったり気持ち悪かったりをわざと演出するものもある。でも、個人的にはなんといってもおもしろくてページを繰るのがとまらない小説が読みたいのよね。自分の立ち位置を再確認した。
上巻で取り上げられている作品は以下のとおり。
フィールディング:トム・ジョーンズ
オースティン:高慢と偏見
スタンダール:赤と黒
バルザック:ゴリオ爺さん
ディケンズ:デイヴィッド・コパーフィールド詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
図書館で借りた。
イギリスの小説家W.S.モームが選んだ10の小説を、作者がどんな人生を歩んだかのバックグラウンドを語りつつ、作品を評していくもの。それぞれの小説に興味をそそるつくりとなっている。
タイトルは十大小説であるが、モームが選んだ「小説ベスト10」という意味ではないことに注意だ。原題は「Ten Novels and Their Authors」であくまで10作品とその作者を語った、というテイストだ。
上巻は『トム・ジョーンズ』『高慢と偏見』『赤と黒』『ゴリオ爺さん』『デイヴィッド・コパーフィールド』が収録されている。 -
大変な良著。現在絶版で入手がやや困難なのが勿体ない。願わくば、高校生の頃に読みたかったと思うような種類の本。「小説はとにかく楽しいものでなければならない」とするモームの主張に私も完全に首肯するのだけれど、その他にも端々に「その通り!!」と言いたくなるような言葉が溢れていてとても小気味良い。例えば、
「『戦争と平和』とか『カラマーゾフの兄弟』とかがそうであるが、これら偉大な作品は、元気な時に細心の注意を払って読むのでなければ、何の利益も得ることができない。ところが、オースティンの小説となると、どんなに疲れて意気のあがらぬ時に読んでも、かならず読む者の心を魅了してくれるのである。」
など、まさにオースティンの小説の真価を端的に表現しており、読みながらそうそう、と何度も頷いてしまった。上巻は他にもスタンダールのヤバさやバルザックの金銭的だらしなさなどなど読み応えがあった。下巻も楽しみ。 -
三葛館一般 901.3||MA||1
和医大図書館ではココ→http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=52047 -
文豪サマセット・モームが選んだ世界の十大小説。上巻ではフィールディング、オースティン、スタンダール、バルザック、ディケンズの著作を紹介している。
但し、上巻で最も読むべきなのは『Ⅰ 小説とは何か』ではなかろうか。同じようなことを言った人物は大勢いるが、こちらも上手く纏められている。 -
精神に不朽の支柱を立てたい人のためのブックガイド、その1。
というかモームだのトルストイだの以前に、この『世界の十大小説』という、あざとくも卑怯すぎる邦題をつけた人を尊敬せずにはいられませんな。
原題(Ten Novels and Their Authors)直訳のタイトルだったらきっと、売り上げも激減だし、この本の存在感自体がまったく変わっていたはず。 -
文学は読みたくなければよまなくてよい。
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小説とは、不完全なものだ。けれど、小説を読むのは、やっぱり楽しい。
詳しい感想は下巻にて。 -
価値観てみんな違うっしょ。なのに10っこ小説選んで、誰もがうーんたしかにこれが10だ、ってのはどうしても納得せずにいれない!
で、そんな選球眼を見せた人はこれらの小説をどう読んでるか。もついてくる。という醍醐味です。
フィルター、選択するという行為はそれそのもの制作的な可能性を含んでて、複数を選び出すなかで描かれていく地図やイメージが、独特の雰囲気や風景日を作り出すのだ、という事実も教えてくれます。
単語のレベルでなにかを選ばなくても例えば本の選び方でも、一種の作品を形成することはできるぜ。ってことですね。
モームの小説作品はあんま好きじゃないですがこれはおもろい。