世界の十大小説 下 (岩波文庫 赤254-5)

  • 岩波書店 (1997年10月16日発売)
3.75
  • (9)
  • (8)
  • (14)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 219
感想 : 14
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (349ページ) / ISBN・EAN: 9784003225455

みんなの感想まとめ

物語の背後にある作家の人生や創作の過程に焦点を当てた作品で、読者は名作の理解を深めつつ、著者のユーモアと皮肉を楽しむことができます。モームの率直な語り口は、時に皮肉を交えながらも、作家たちの個性や作品...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 実に楽しい「物語」と「その作者」の本。

    モームの時に皮肉っぽい、それでいて率直な物言いが大変面白かった。それでいて、読むことに対する楽しみと愛情を感じる。
    モームは本文中で何度も言う。読書とはその楽しみのために読むもので、楽しんで読めなかったならば、その本は読者にとってなんの価値もない、と。また、そんな無理をして物語を読む義務などどこにもないのだ、と。

    読んだことのない著者が半数ほどだったが、読んだことのある作家の章は「なるほど、なるほど」と思い、読んだことのない作家の章は「へぇ~、そうなのか」と興味を掻き立てられる。
    作家の性格・生涯・そして創作スタイルは、なるほど如実にその作品に表れているのだな、と思う。正確にはそのままというわけではないようだが、それでもその作家のもっとも本質的な部分……不思議なことに、その作家がもっとも欲していた部分……が、作品として表現として物語となっている様子が伝わってくる。

    断定的な見方に頼らず、しかし偏見は偏見として小気味よく語り、また著者の人間性に対してピリリと批評を加えるモームの筆は、読者としてとても信頼できる。
    読みながら時にニヤリとしてしまう、とても楽しい世界文学読本でした!

  • 第7章「フローベールと『ボヴァリー夫人』」。

    『嵐が丘』の章に比べて、小説よりフローベールの伝記要素が多い。フローベールの書き方がどう新しかったのかとか彼のこだわりがどのようなものであったのかは解説されているのだけれど、あまり気合が入っている感じではなかった。モーム先生もしかして『ボヴァリー夫人』あんまりおもしろくなかった...? 伝記部分はゴシップ的におもしろく書いてあるので、モーム先生的には小説より小説家の方が興味深かったのかもしれない。事前にバルガス=リョサとナボコフの『ボヴァリー夫人』論を読んでしまっていたのでちょっと食い足りなかったけれど、あまりノリがよくないモームですらフローベールの書簡集は読んでいた。作家としては、凄い先人の創作の秘密は知りたいものなのだろう。

    第9章「エミリー・ブロンテと『嵐が丘』」。

    モームおじさんが好き勝手語っちゃったよという趣だけれど(論の根拠が薄い箇所が多い)、なにせ何を書いても面白いモーム先生なので楽しんで読んだ。ブロンテ家のカラフルな話題は廣野先生の本などから受けた印象と違う箇所もあり、後の研究で覆された部分もありそう。ただモームのいう「ヒースクリフ=エミリー」説はなかなか説得力を感じた。これまで読んだ本からエミリーの頑固さは把握していたけれど、頑固を超えた怖いような激しさを伝える伝聞の選び方がうまいのだ。モームと二人読書会をしたような気持ちになったので、本書で取り上げられているほかの小説についても、読んだ後は本書に戻ってこようと思う。

    上巻
    フィールディング:トム・ジョーンズ
    オースティン:高慢と偏見
    スタンダール:赤と黒
    バルザック:ゴリオ爺さん
    ディケンズ:デイヴィッド・コパーフィールド

    下巻
    メルヴィル:白鯨
    ドストエフスキー:カラマーゾフの兄弟
    トルストイ:戦争と平和

  • ▼上巻の感想
    https://booklog.jp/users/kotanirico/archives/1/4003225449


    「『嵐が丘』を褒めてくれたおじさま」として、モームの存在を記憶した人は少なくないことでしょう。
     私自身も『世界十大小説』を知ったきっかけは、E・ブロンテ著『嵐が丘』の訳者あとがきに出てきたから、という順番でした★ 今となっては名高い傑作でも、発表当時はさほど評価されなかった『嵐が丘』をモームは讃えた! というエピソードは忘れがたい。
     ブロンテ姉妹は、本好き乙女にとても人気が高いのだ……✧ 

     バラしてしまいますと、『嵐が丘』解説が載っているのは下巻です★

     どうしても上下巻どちらも読む時間をとれない人、十作は多すぎると思う人は、自分の知りたい作品評のみチェックするのも一つの選択かと考えます☆ いいのです、サマセット・モーム自身が「読めなきゃ飛ばしていいよ」とする読書観を披露したのですから……

     私自身も下巻のみでその目的を達したのですが、結局は全部読んでしまうことになりました。
     かのトルストイの大長編『カラマーゾフの兄弟』を読み解いた章、悪を誉めてしまう辺りが、すこぶるユニークでしたね~★
     あとは、オースティンの『高慢と偏見』を、たいした事件もないのに……とディスリスペクトしながらリスペクトしていた行が、忘れられません(笑)。

     さて、十大小説すべての解説を終えたのち、本書はとても乙女度の高い妄想を繰り広げます。時空を超えて、十作の作者たちが出席するパーティーを描くという、SFなアイディアにびっくり~★
     作品ごとに、その作者のキャラクターとライフスタイルまでくわしく解き明かしてきたのは、最後のパーティーの仕込みだったのでしょうね☆
     出席者のほとんどが根暗です。(そういえば、昔の文豪は神経症かなという印象のお人が多いです。芸術的な才能のある人は暗いことも、認めてもらえていた気がする。今のほうが人当たりの良さを強制され、自由がない……)。笑えるくらい陰気なパーティーが、スノッブで最高!

  • 名作紹介の本と思ったら大間違い。作者がどういう人間で、どんな生き方をし、どこで作品の着想を得て、どう執筆したのか。力点はその作家におかれている。原題はTen Novels and their Authors。
    その作家についての評伝をいくつも漁りながら、これぞということをピックアップし、モーム風に味付けしている。だから香辛料がたっぷり、そしてモーム流の盛り付け。
    とくに印象的だったのはエミリー・ブロンテの章。前半は父親ブロンテ氏のことで占められ、後半はヨークシャーの牧師館での三姉妹(シャーロット、エミリー、アン)とその兄の暮らしぶりが臨場感をもって描かれる。
    フローベールの章も印象的。生涯独身を通し、ノルマンディーの別荘で、母親と妹の遺児と一緒に暮らした。モームは彼の女性関係にも焦点をあてている。
    とりあげられている名作は、褒められるだけでなく、どこかで必ず落とされる。そこがモームらしい。

  • 手に取って目次を見てみたら、ちょうど自分が読んだ/読みかけの本ばかりだったので購入。『月と六ペンス』よろしく、モームらしいストーリーテリングとシニカルな見方で各著作の内容と作者の伝記的事実が語られていて、面白く読める。伝記的内容の方はけっこう知らなかったことも多く参考になったし、なにより実作者ならではの視点が興味深い。

  • 図書館で借りた。
    イギリスの小説家W.S.モームが選んだ10の小説を、作者がどんな人生を歩んだかのバックグラウンドを語りつつ、作品を評していくもの。それぞれの小説に興味をそそるつくりとなっている。
    タイトルは十大小説であるが、モームが選んだ「小説ベスト10」という意味ではないことに注意だ。原題は「Ten Novels and Their Authors」であくまで10作品とその作者を語った、というテイストだ。
    下巻は『ボヴァリー夫人』『モウビー・ディック』『嵐が丘』『カラマーゾフの兄弟』『戦争と平和』が収録されている。

  • 今巻はドストエフスキーやトルストイなどロシアの文豪も登場し、読み応えがあった。最後の10人がパーティーで一堂に会したらというくだりがとても面白く、改めて自分の小説観を振り返る機会にもなった。

    「小説を読むならば、知識のためにでも教訓のためにでもなく、もっぱら知的な楽しみのために読むのが本当であって、読んでみても知的な楽しみが得られないようだったら、小説などぜんぜん読まないほうがはるかに賢明であると、私はいくら繰り返し言っても多きに失することはないように思う。」

  • 三葛館一般 901.3||MA||2

    和医大図書館ではココ→http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=52047

  • 結び 

  • 下巻で取り上げられているのは、フローベール、メルヴィル、E・ブロンテ、ドストエフスキー、そしてトルストイ。
    各作品の紹介だけでなく、『Ⅻ 結び』で例えられたパーティの様子が面白い。描写がいちいちそれっぽいので、作家としてのモームの特徴も出ているのでは?

    以下は上下巻纏めて。
    人物描写に定評があるモームらしく、作品の魅力を伝える要約部分より、作家本人を紹介している部分の方が面白い。紹介された作家の中には、お世辞にも人格者とは言えない人物も当然いるのだが、そういった、『人間としてはちょっとアレなところ』が、モームの筆にかかると『何故か憎めない人物』に見えてくるのが不思議。
    小説案内というよりは、文豪の手による作家紹介という色彩が濃いと思った。

  • 仮想パーティが面白い。

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003225457
    ── モーム/西川 正身・訳《世界の十大小説 (下) 19600418-19971016 岩波文庫》
     
    (20120612)

全12件中 1 - 12件を表示

この本が好きな人におすすめの本

西川正身の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×