人間の絆 中 (岩波文庫 赤254-7)

  • 岩波書店 (2001年11月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (420ページ) / ISBN・EAN: 9784003225479

みんなの感想まとめ

主人公の成長と人間関係の複雑さを描いたこの教養小説は、人生の苦悩や愛の葛藤を通じて、深い洞察を提供します。9歳で両親を失い、足の障害を抱えた主人公は、コンプレックスから挫折を繰り返しながらも、出会った...

感想・レビュー・書評

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  • 9歳で両親を亡くした主人公が30歳になるまでの成長を描いた教養小説。
    足の障害を持ちイジメを受けたせいでコンプレックスを抱え、自身のその歪んでしまった精神から何をやってもうまくいかず挫折を繰り返す。
    この本が原作となった映画「痴人の愛」のシーンにもあるが、ある日出会った女性に弄ばれ、相手に憎しみを持ちながらも離れられない愚かな心に長年苛まれる。
    最初は駄目な男だなと思っていたが、次第にその駄目な主人公を少しずつ応援する自分に気づき、最後にはどうか彼がもういい加減幸せになってくれないと参っちゃうなどと思うくらいだった。結末については賛否があるようだし、確かにあと二つくらいのパターンも考えられたが、自分としては納得できる結末で、まんまとモームの策略に引っかかり、上中下合わせて1200頁を超える大長編小説もワクワクしながら楽しく読み進み、読後感としては爽やかな気持ちになった。

  • 「いつも生活費を気にしなくてはならないのは、ひどく屈辱的だよ。
    金を軽蔑する人間を、私は愚かだと思う。そんなのは偽善者か馬鹿者だ。
    金銭というものは、第六感みたいなもので、それがなければ、
    他の五感もうまく働かない。」

    パリで画学生としての生活を続けるフィリップ。
    上巻に登場したとある登場人物。
    フィリップからすれば、不可解で不愉快な行動をすると思っていたその人に、
    そうせねばならぬ実に切実な理由があることが判明し、
    彼は大きなショックを受けることとなる。
    才能と生活していくための経済力。
    悩んだ末に、彼は辛辣と思っていた教師の判断を仰ぐことにする。
    このフォアネ先生の言葉、名言しかない。(出だしの文がそうです。)
    自分に向いていない分野を追い求めるのは良いことでない。
    早くあきらめろと言う残酷な忠告が必要な時もある。
    伯母の死もあり、フィリップはイギリスに戻り医学生として生活する道を選ぶ。
    しばらくは堅調な学生としての暮らしをしていたが、
    彼が恋に落ちたことですべては一変する。
    みじめったらしく、抗えない、支離滅裂で
    悪い病気にでもかかったような恋情。
    何一ついいところがないと思っているのに
    彼女のことを考えない時はない。
    怒涛のような彼女との日々が今巻の主軸ではあるが、
    すべてが終わり、医学生としてまた一歩進んだフィリップの目覚めもまた面白い。
    見習いではあるが、たくさんの患者と接することになり、
    人間観察という面で、非常に得難い経験をするフィリップ。
    様々な人生を目撃することによって、磨かれる洞察力。
    このあたりの描写はたいへん穏やかで
    彼の美質である観察眼や知性が輝いている。とてもいい。

  • 関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB00120293

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18354

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA53849427

  • 上巻分につづきこれもメモから放出↓↓

    中巻はスラスラ読めた、ひたすら人間のこと、色んな人間のことを具体的に抉り出してた。
    感情移入することなく第三者の目線でそこの誰とも関わることなく読めるから、他人事になれておもしろいなぁ人間て愛おしいなぁ色んな人いるなぁ分からんけどなんか分かる〜と思いながら読んでた。

  •  フィリップが哲学を考える場面がとても印象的だ。世界を変えるにあたって自分なりの哲学体系をもつことは絶対に必要だと思う。何者でもないうちに組み上げたおかないと手遅れになる。本文の記述で役立ちそうなものを書いておく。
     社会は個人との争いに際して、法と世論と良心という3つの武器を所有している。個人は策略、弱者が強者に立ち向かえる唯一の武器を用いて法と世論に立ち向かえる。良心への対抗手段は、個人にとって正も不正もないことを理解することだ。

    どれだけ周りがやめとけと言われても、振り回す側がモテるものだと感じた。ミルドレッドからは少なくとも下にマウントされているから都合のいいように扱われてしまうし、苦しい恋愛になってしまっている。自分で哲学体系を組み上げたのに恋愛には全く通用しないのが面白い。

  • 上巻を読んでしばらく時がたってしまった。中巻を読み始めて、なんだかつながらないもどかしさ、自分の上巻「読書メモ」も読み返してみたが今一つすっきりしない。結局また上巻から読み直してしまった。この歳になると間をあけてはいけない(笑)

    さて、両親を失った9歳のフィリップは牧師館で育てられる伯父夫婦との絆。キングズ・スクールで8年間過ごし、あと1年で優等卒業できるのに聖職者になるのを嫌って退学、ドイツ留学。その縁で知り合ったたミス・ウィルキンソンとは夏休みに浅からぬ仲になり、それも絆。ハイデルベルクでの友人ヘイウォードとの絆。ドイツ留学の後ロンドンでの会計士見習いには顧問弁護士に。パリに絵の修行に行けるのも伯母の愛情やヘイウォードの後押しの絆。そしてパリの美術学院での貧しくも苦しい修行のうちにも絆は広がっていく。

    成長記は中巻へも続く。はたしてフィリップは絵の道を進むのか。ファニー・プライスという画友の悲惨な死を契機に悩み、愛情を注いでくれた伯母も亡くなり、「自分に与えられると期待したものと、現実に与えられたものとの落差に幻滅と失望を味わい」​挫折する。
    再びロンドンに戻り、今度は医学校に通う。勉学に励と思いきや、ミルトレッド・ロジャース、ノラ・ネスピットという二人の女性との関係に意志薄弱とも思える状態で拘泥し苦しむ。中巻はその人間のどうしようもない執着をこれでもか、これでもかと描いて終わる。

    うーむ、上巻は絆のほのぼのさがあったが、苦しいばかりの中巻の絆はやりきれない。しかし、下巻でフィリップがどうなっていくのか?読ませるところでもある。

  • 「画家としては凡庸と悟ったフィリップは、医者になることを決意。その頃、ミルドレットという美しく傲慢な女に出会い虜になっていく」
    私がこの小説を長く手放せなかったのは、どうしようもない女にはまっていくフィリップと、どうしようもない男にはまっていっていた私とを重ね合わせて共感していたからかも。この人は私と同じだと思っていたからかも。

  • 恋愛の場面がせつない。

  • 再読。(今度は翻訳者を変えて)
    グリフィスとの顛末、なんと忘れていて途中であっ!と思いだして…
    詳細な感想は(下)にて。

  • タヒチなどを舞台とした作品です。

  • 読書期間:2010年1月13日-1月20日
    Original title:Of Human Bondage.
    感想は下巻で。

  • これまで読んだ小説の中で最高の小説。

  • 図書館所蔵【933.7MA】

  • モームの代表作の一つ。
    この中ではパリでの画学生生活の終焉から、医学生として研修を始めるまでが描かれている。
    詳しくは下巻にて。

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著者プロフィール

行方昭夫(なめかた・あきお)
英文学者、翻訳家。1931年東京生まれ。東京大学教養学部卒業。東京大学名誉教授。ヘンリー・ジェイムズやサマセット・モームなどの翻訳のほか、その正確な読解力で雑誌「英語青年」の英文解釈講座を長年にわたり担当する。

「2019年 『モナリザの微笑 ハクスレー傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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