人間の絆〈下〉 (岩波文庫)

著者 :
制作 : W.Somerset Maugham  行方 昭夫 
  • 岩波書店
4.15
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本棚登録 : 172
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003225486

作品紹介・あらすじ

「ペルシャ絨毯に人生とは何かの答えがある」という老詩人クロンショーの謎めいた言葉の意味に、ついに思い至るフィリップ。「彼らを赦したまえ。その為すことを知らざればなり」心の自由を得たフィリップの念頭に、ふいにこんな言葉が浮かぶのだった。全三冊完結。

感想・レビュー・書評

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  • フィリップと一緒に一喜一憂してきたので、ハッピーエンドにほっとした。
    フィリップが様々な人と関わり合うことで、心の成長を遂げていることがよくわかった。昔は好ましく思った人物が急に色褪せて見えたのは、そういうことだったのかと、妙に自分に重ね合わせたり、ミルドレッドに不快感を覚えたり、夢中で読んだ。再読だが、新鮮な気持ちでフィリップの世界に入り込めた。

  • 大好きなモームの「人間の絆」、
    今度は翻訳者を変えて、岩波文庫版で読んでみた。

    オースティンの「自負と偏見」(河出版は「高慢と偏見」)の時も
    思ったけど、読み比べると中野氏訳は読みやすいけれど会話部分などの
    細かいところが省略されているような印象。

    「自負と偏見」の翻訳あと書きで中野氏自身も
    雰囲気重視で訳したみたいな事を書いていたような…

    より細かいところまでちゃんと知りたい私の様な人には
    岩波文庫版がお勧め。

    私はある事をきっかけに「好き」と「嫌い」の感情の源は
    同じではないか?と独自に研究(?)をしていて、

    この本の主人公フィリップ君とミルドレッドをみていると
    その証拠を掴んだという気持ちになる。

    ノラさんとのことは非常に残念。
    けれどフィリップ君はちょいと虫がよすぎるかな。

    自分の才能を見極めると言うシーンが数々出てくるんだけど、
    身につまされる事多々ある!

    とくに今回はヘイウォードのこと、
    哀れだけれど、こういうことを自分もしてるなあ。

    今回も読みながら
    「世界が認める名作がこんなに本当に面白くて良いのかな?」と
    不安になった。

    つまり私には「名作と呼ばれているものはつまらないもの、
    それを苦労して読んでこそ意味がある」という固定概念がある、
    と言う事がわかって面白かった。

    岩波文庫版の表紙

    上巻→牧師館の写真

    中巻→エル・グレコの絵

    下巻→ペルシャ絨毯の写真

    これをみるとこの部分の担当の方の
    モームへの、そして読者への優しい愛情を感じる。

  •  これはモームの半自伝的小説であり、主人公フィリップの成長物語です。

    “若い頃は幸福だ、というのは、若さを既に失った者の抱く幻想に過ぎない。だが若者は自分が不幸だと思っている。何しろ、さまざまなもっともらしい理想を吹きこまれた挙句、いざ現実に直面すると、決まって理想からはほど遠いものであって、心は傷つくばかりなのだ。”(上巻・第二十九章) ── フィリップは若さゆえに、やけに生真面目だったり理想家だったりします。芸術論や宗教論に頭を悩ませ、歩む道に行き詰まりを感じ幾度も進路を変えたり、ミス・ウィルキンソン、ミルドレッド、ノラといった女性達との恋愛に苦しめられたりしながら、精神的に成長していきます。その七転八倒の展開が、この小説の何よりの読みどころです。

     人生の意味は何か? ── この問いに対して安易に答を求めたがる人は、自分から進んで宗教に騙されたり、高尚な哲学に逃げ込んで最初の疑問自体を忘れてしまおうとしたりするでしょう。でも、フィリップは無神論者でおまけに合理的で多感な精神の持ち主だから、そんなことにはなりません。彼は人生の経験を通じて、もっと現実的な答にたどり着きます。なにせ、フィリップこそモーム自身なのだから。

     彼は、そもそも人生に意味などないと悟るのです。人間は何かを成し遂げるために生まれてきたのでもなく、幸福のために生まれてきたのでさえなく、ただ、生物としての人間の本能の結果として生まれてきたに過ぎないのだから。しかも、そのことに気づいたフィリップは、深く納得し、厭世的になるのではなくむしろ人生の重荷を取り除かれたように感じ、自由で幸せな気分になるのです。このような心境に至ることが出来たのは、クロンショーによるペルシャ絨毯の謎掛け(第四十五章)の答を、フィリップが、教えられるのではなく自ら見つけたからでしょうね。

     そして物語の最後でフィリップはサリーと出会い、夢見ることをやめて現実的に暮らすことを決心します。それは長いモラトリアムの終わりなのだと思います。

     この小説にはなるほどと思わせるエピソード(いわば、人間についての「あるある」物語)がふんだんに織り込まれています。まるでこの小説自体が、人生を映すペルシャ絨毯であるかのごとく。この小説をモームが書き終えたのは1914年、40歳の時で、訳者の解説によれば、モームは過去の生活の思い出を小説という形に書くことで心の平静を取り戻そうとしたのだそうです。

     最後に、翻訳について。実は、中野好夫訳も少し読んでみたのですがちょっと古く感じたので、岩波文庫の行方昭夫訳で読むことにしました。行方訳は読みやすく、かつ、原作に忠実です。読者の理解を助けるために原文にない言葉を補っている部分が少しだけあるようですが、それ以外は原作に沿って淡々と訳していると感じます。書かれていることを正確に受け取るには、行方訳は最適だと思います。一方、作品への訳者の思い入れをより生々しく感じ取れるのは、モームの作品を最初に日本に紹介した中野訳の方かもしれません。

  • 名作と言われているが、話の内容が平凡すぎて脱落。そもそも主人公が好きになれない。
    いつか読める日が来るかしら。

  • 最後は、サリーといういい子とうまくいってよかったな。Happy endでした。

  • 人生に意味はない。

  • タヒチなどを舞台とした作品です。

  • 読書期間:2010年1月13日-1月20日
    Original title:Of Human Bondage.
    感想を一言で言うなら「よく、解らない…」です。


    フィリップは生まれつき片足が不自由で、母の逝去に伴い母の兄夫婦に育てられます。
    成長してからはドイツに留学したり、絵画を学びにパリへ行ったり、ロンドンへ戻ったり。

    彼は一度決めた事は絶対曲げず即実行するのですが、長続きがしません。
    この思い切りの良さは一種憧れですが、
    こうもコロコロと変わると「お前…。」とつっこまずにはいられません。
    絵画を学んだ時に女性と知り合うのですが、
    誰の目から見ても絵では生活が立てられない程の腕前で
    「5歳の子が描いた方がマシだ。」という評価。
    でも本人は「継続すればきっと夢は叶う」と信じていて、人からの忠告を聞き入れません。

    この辺りが「Bondage」だと感じました。
    Bondageは日本語に訳すと「隷属」「従属」です。

    日本語訳である「絆」は、フィリップが会った人間はフィリップが見限るか、
    会った人が亡くなるまでは一時離れていてもまた出会います。
    ここが、「絆」だと感じました。
    人と人との繋がりが強い作品だと思いました。

    一方フィリップは、ミルドレッドという女性にかなり熱を上げます。
    2度助けても酷い目に会ったりしたのに、
    もう関わらないと決めても会うと気にかけてしまう…。
    これも「隷属」なんだなと感じました。
    このミルドレッドと出会ってから結婚するなら自分と同等の身分でなければ嫌だ、
    身分と教養の低い女性は低俗だと言っていたのに、
    最終的には無教養で心が優しい年下の女性とお付き合いを始めて物語が終わりました。

    この最後を観て「矛盾してるやん!」と思わずにはいられませんでした。

  • これまで読んだ小説の中で最高の小説。

  • 図書館所蔵【933.7MA】

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