幸福/園遊会―他17篇 (岩波文庫 赤 256-1)

制作 : 崎山 正毅  伊沢 龍雄 
  • 岩波書店
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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003225615

感想・レビュー・書評

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  •  キャサリン・マンスフィールドはニュージーランド生まれであるが、主にイギリスで作品を発表した。繊細な心情を描くショートストーリーの名手であり、34歳でその短い生涯を終えることがなければ、きっと深淵なる小説を書きえた作家である。マンスフィールド自身が育ってきた環境を反映しているためか、上流階級のお嬢様のひとりごとのように読める部分も多々ある。が、彼女の描く情景や感情を読んでいると、心が浄化されていくような心持になる。彼女の描く対比―富める者と貧しい者、生と死、若さと老いが彼女なりのオプティミズムでくくられていくのが快い。
     とくに、表題作である「ガーデン・パーティ」におけるオープンエンドの在り方は特筆に値する。彼女の投げかけた問いとそれに答えもせずはぐらかしもしない兄の洒脱なやりとりに、生涯この作品を忘れないであろうと感じた。

  • 繊細だがなれないと難しい。

  • 小川洋子さんの『心と響き合う読書案内』に紹介されていた「園遊会」を読むために借りた。「園遊会」はとても感動した。
    内容…パーティー当日、近所の人が事故に遭って亡くなったことを知った女の子は、パーティーを中止しようと家族に頼むが、家族はみんな「何言ってるの?パーティーは勿論行うよ」という反応。女の子は「そんなの絶対間違っている」と思うが、結局パーティーを行う。そしてパーティー終了後、母の提案でパーティーの残り物の詰め合わせを持って、女の子は遺族の方たちに顔を出しに行く。最後は、人生ってよく分かんないね、と感じるという話(私の解釈)。

    女の子の気持ちも、家族の気持ちも理解できて辛かった。泣けた。こういうことって、誰もがでに1度は経験すると思う。
    女の子が初めて死人の顔を見て、「ふかぶかと眠りこけていた」「夢を見ているのだ。さましてはいけない」と思ったことが印象的。私も初めて見たときそう思った気がする。

    「新しい服」「子どもらしいが とても自然な」「風が吹く」は意味不明すぎて、読むのをやめようかと思った。
    他の作品は、読んでいくにつれて少しずつ理解できるようになったけど、全体的に読みづらい文章だと感じた。
    急に空想始まるし、代名詞が指す人物は誰なのか分かりづらかった。また、海外小説を読みなれていないからか、名前を見ただけではその人物が男なのか女なのか分からず、読み進めていくうちに「あ、この人男性だったんだ」と気付いたこともよくあった。
    「心情」を描いている作品が多いかな?

  • 本当に繊細で美しいお話ばかり。大好きです。

  •  マンスフィールドの短編はどれもが宝石箱のよう。わずか十数ページの中に登場人物の過去・現在・未来がつまっており、風景描写がそれに花を添える。この短編集では特に上流階級と労働者階級の差や女性の生き方というテーマを扱った短編に絞られています。

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プロフィール

ニュージーランド出身の作家。1888年、ニュージーランドの首都ウェリントンの裕福な家庭に生まれる。1903年にロンドンのクイーンズ・カレッジに留学。06年に帰郷し、プロのチェリストを志すが、父親の反対で断念。偏狭で保守的な生活に閉塞感を覚え、二年後に再びロンドンへ。11年、第一短篇集『ドイツの宿にて』 を出版、後に夫となるジョン・ミドルトン・マリと出会う。ロンドンの文芸サークルでD・H・ロレンス、ヴァージニア・ウルフらと親交を結ぶ。18年に喀血して以降、欧州の保養地を転々とする。20年の短篇集『幸福』は評論家の絶賛を浴びた。続く短篇集『ガーデン・パーティ』(22年)も高く評価され、収録作「ミス・ブリル」によって、モダニズム時代の極めて優れた作家と見なされた。23年、パリ郊外のフォンテーヌブローの療養所で、結核のため34歳で逝去。主な既訳:『マンスフィールド短篇集』(ちくま文庫)、『マンスフィールド短編集』(新潮文庫)、『マンスフィールド短篇集——幸福・園遊会 他十七篇』(岩波文庫)、『マンスフィールド全集』(新水社)

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