荒地 (岩波文庫)

制作 : 岩崎 宗治 
  • 岩波書店
3.63
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本棚登録 : 224
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003225820

作品紹介・あらすじ

「四月は最も残酷な月…」と鮮烈な言葉で始まる『荒地』は、20世紀モダニズム詩の金字塔である。本書には、『プルーフロックその他の観察』から『荒地』までのエリオット(1888‐1965)の主要な詩を収録し、前期の詩作の歩みをたどれるようにした。引用と引喩を駆使し重層性を持った詩を味読できるよう詳細な訳注を付す。

感想・レビュー・書評

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  • …これは評価保留ということで。私の方に読む準備ができてません。

    詩そのものの何倍もある注釈を読まないと意味がわからない(というか読んでも良くわからない)、膨大な引用と引喩からなる詩です。最低でも旧約聖書、アーサー王の伝説、オウディウスの変身物語、ダンテの神曲など、西欧文学の古典に通じていないと真に味わうことはできないでしょう。シェイクスピアにワーグナー、スペンサー、ボードレールなどもちょいちょい引用されて、詩そのものがまるで世界文学講義のようです。私はこういう衒学趣味は嫌いではありませんが(正直、詩の本編よりも注釈の方が面白かったです)、それは作品が好きというのとは違うと思うので、星の数は保留で。読書遍歴をもう少し続けてから、いつかまた読むことにします。

    とりあえず、以下の点は押さえておきましょう。ここは試験にでますよー(嘘)↓

    ・T.S.エリオットは20世紀前半に活躍したアメリカ生まれのイギリスの詩人である。日本の戦後詩にも大きな影響を及ぼした。

    ・1922年に発表された代表作『荒地(あれち; The Waste Land)』は、20世紀モダニズム詩の金字塔と言われている。

    ・『荒地』は第一次大戦後の西欧社会の荒廃を前衛的な表現で綴った長編詩である。聖書やギリシア神話をはじめとする古典文学の膨大な引用とオマージュから成り立っており、内容は極めて難解である。全体としてはアーサー王と円卓の騎士の聖杯伝説、そして文化人類学の名著『金枝篇』に出てくる植物神の死と再生がモチーフとなっており、荒廃した世界を描きながらも、蘇生への希望も描かれた作品とされている。

    ・冒頭の「四月は最も残酷な月(APRIL is the cruellest month)」 という一節が特に有名である。

  • 『荒地』。T.S.エリオットの詩集です。新しい訳が出たのでさっそく購読しました。

    5部からなる長編の詩ですが、最初の「I. 埋葬」はこんな風に始まります。

    四月は最も残酷な月、リラの花を
    凍土の中から目覚めさせ、記憶と
    欲望をないまぜにし、春の雨で
    生気のない根をふるい立たせる。

    「あれ」、って思いました。僕が慣れ親しんできた「荒地」とはだいぶニュアンスが違います。

    僕が覚えているのはこうです。

    四月は残酷極まる月だ
    リラの花を死んだ土から生み出し
    追憶に欲情をかきまぜたり
    春の雨で鈍重な草根をふるい起こすのだ。

    だいぶ違うでしょう?

    はじめに紹介したのは岩波文庫から8月に出たばかりの岩崎宗治さんの訳です。あとの方は、僕が学生の頃に読んだ西脇順三郎の訳です。

    西脇といえば、僕らが若い頃は「泣く子も黙る」くらい偉い人で(笑)、なんとなく手が届かない感じの人でしたけどね。英文学者である以上に西脇自身が詩人でしたが。

    訳ですから、翻訳者によっていろいろあっていいですけど。僕は、慣れもあるのでしょうが、西脇のシャープなところが好きですね。「残酷極まる月だ」なんて素敵ですよ。

  • 日本戦後詩に多大な影響をエリオットが与えたことは知っていたのだが、この本を読み進めていくうちに戦後詩の「荒地派」は何か決定的な勘違いをしているのではないか、と思った。
    この本は全体の約1/3が詩本編で、残りが訳注・解説などに費やされており、さながら訳者によるエリオット論の体裁になっている。
    その訳者による訳注を読む限り、エリオットの詩は巧妙に仕掛けが施されている難解かつ宗教的な意味合いを持ち、自分が知る範囲での荒地派とは異なるタイプの詩人であると感じたのだ。
    最後まで読み切るとその疑問もしっかり解けた。
    彼ら「荒地派」は荒地の第1部しか読んでいなかった、という何とも切ないオチだった・・・。
    正直このエリオットに関しては、自分の乏しい詩情ではあまり感受することができなかった。
    上述したように詩集としては歪な構成となっており、詩全体の流れよりも訳注ばかりに追われてしまったという部分が大きいと思う(その訳注も途中から読むのが苦痛になってしまった・・・)。
    おそらく何度も読みこみ、また西洋文化への理解を深めないと楽しめないのだろう。
    いや、読みこむほどに分からなくなるかもしれない。
    もっと成熟してから詩本編だけを読むことにしようと思う。

  • 初エリオット。全323頁のうち、207頁を注と解説が占めるほど難解。「四月は最も残酷な月」で始まる『荒地』は言葉の言語性の否定であり、現実拒否と虚無と絶望らしい。唯一理解できたのは『ある婦人の肖像』=ダンディーなエリオットの自伝。詩からダンディー男の低音ボイスが聞こえそう。婚期を逃した感のある女が男にしがみつくが、二人の会話は噛み合わない。女の求愛を受け止めない男は女を心理的に凌辱したことになるか。女が死ねば男は罪を感じるべきか(ピューリタン的発想)。もっと成熟した大人にならないと、子供には分からないや。

  • 有名な翻訳がほかにあるようだが、私はこの翻訳で初めて読んだし、この翻訳がとても気に入っている。「四月は最も残酷な月。」ではじまる『荒地』は詩でありながら物語が進行し、『火の説教』で見られるような現代に通ずる描写をもちながら、どこか古典的である。表現は詩的で美しい。古代詩や戯作を継ぎ合わせた言葉のコラージュは斬新である。もちろん『荒地』以外の作品もどれもが秀逸である。カバーがよれるまで読んだ。

  • 表現が現代的。
    B.スプリングスティーンの歌詞に通じる所がある。
    あるいはチャンドラーか・・

  • とりあえず原文でも読む

  • なんだこれは、というほど散文的
    なのに詩。
    まるでドラマのような、細切れフィルムのような詩。
    これは影響力があるはずだよね。
    詩が得意ではない私でさえ、先へ先へと読みたくなった。

  • 岩波文庫(赤) 080/I
    資料ID 20102004437

  • 若いうちに読んでおいてよかった・・

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著者プロフィール

1888年ー1965年 アメリカ・セントルイスに生まれ、1928年、イギリスに帰化。『荒地』を発表、詩人としてゆるぎない名声を確立。1948年、ノーベル賞受賞。

「2015年 『キャッツ ポッサムおじさんの実用猫百科』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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