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Amazon.co.jp ・本 (250ページ) / ISBN・EAN: 9784003226728
感想・レビュー・書評
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映画『サスペリア』のリメイク版(https://booklog.jp/users/yamaitsu/archives/1/B07Q2VB4MS)を見てから、元ネタであるというこちらを読みたくて探してたのだけど絶版でなかなか入手できなかったのをやっと入手。結果、元ネタというかあくまで部分的なエッセンスのみではありましたが、まあ詳細は後述。
全体のバランスとしては、第一部の最初の章「幼少年期の悲痛」が1冊の半分以上を占めています。著者の幼少時に、三人いた姉のうち二人が亡くなり、とくに最愛の姉エリザベスの死、その遺体を見たときの感覚、大人になってもずっとそのときの悲哀を引きずっていたという話で、解説によるとクインシーは70代で死ぬ間際にもそのお姉さんの名前を呼んだとか。
「重ね書きした羊皮紙写本」は、記憶の話。昔は今のように紙という消耗品がなかったので、1枚の羊皮紙に何度も上書きしていった、記憶もそのように上書きされていくけれど、下に書かれているものが完全に消えるわけではない、というような内容。
次の「レヴァナとわれらの悲しみの貴婦人たち」が、サスペリアの元ネタと言われている部分。学生時代に著者がよく見た夢に「レヴァナ」という女神が登場したという。レヴァナとは、ひらたくいうとローマの女神で、新生児、子供に慈悲と気高さを与える役目を果たすらしい。ひいては子供の教育の後見者、堕落を許さない、などの言葉が散見されますが、正直よくわからん(こら)
とにかく「そういう次第で、レヴァナは人の心を揺るがす様々な力と親しく交わる。それ故に、彼女は悲しみを溺愛する(146)」というわけで、このレヴァナが夢の中で話を交わしていた使節たち「これらの貴婦人たちは」と著者は思う「彼女たちは『悲しみ』なのだ。数は三人」ギリシャやローマの女神が概ね三人セットの例を連ね、著者はこれら悲しみの貴婦人は三人姉妹とする。
さてその三姉妹とは、
長女:Mater Lachrimarum「われらの涙の貴婦人(マーテル・ラクリマールム)」彼女は夜も昼も消え失せた面影を求めて、物狂い呻吟する者で、子供たちを失った母の悲しみに寄り添う聖母でもある。
次女:Mater Suspiriorum「われらの嘆息の貴婦人(マーテル・ススピリオール)」彼女は長女ほど激しく泣き叫んだりせず、慎ましく絶望している。廃墟や罪人の傍にいる。
三女:Mater Tenebrarum「われらの闇の貴婦人(マーテル・テネブラールム)」彼女は神に反抗する者である。狂気の母でもあり、自殺を教唆する者でもある。彼女の力の根は深い。が、彼女が支配する国は狭い。
夢の中で、長女は著者の頭に手をおき、二人の妹のそれぞれに著者に対する任務を与える。まず「嘆息の貴婦人」には「私のせいで、この者は偶像を崇拝するようになり、思い焦がれる希いのままに、蛆虫を崇め、蛆虫が集る墓に祈りを捧げました。(中略)この者にとって、墓は神聖、その闇は美しく、その穢れは聖なるものでした。(中略)さあ、この者を貴女の胸に抱きとって、私たちの恐ろしい妹のために養育しておやりなさい」
そして三女「闇の貴婦人」には「誘惑し憎悪する邪悪な妹よ、この者を彼女から取り上げるがよい。(中略)暗闇に坐るこの者の近くに、女や女の優しさを侍らせてはなりませぬ。弱々しい希望はすべて追放し――不憫に思う愛情はすべて枯らし――涙の泉は焼き涸らしてお仕舞いなさい。貴女だけが呪えるような呪いを、この者に掛けるのです」
「そうしてこそ、この者は火炉の試練に耐えて完成することでしょう――そうしてこそ、この者は見てはならぬ物を――おぞましい光景を、曰く言い難い秘密を見ることになるでしょう。そうしてこそ、この者は古の真理を、悲しい真理を、壮大な真理を、恐ろしい真理を読み取ることでしょう。そうしてこそ、この者は死ぬ前に再び起き上がれるのです。こうして、神から授かった私たちの任務は――この者の心を苦しめ悩まし、そして遂には彼の精神の数々の能力を開き終える私たちの任務は完了するのです」(150)
というのが主な内容となっております。私はリメイク版1作しか見ていないですが、もとのサスペリアは一応三部作で、各姉妹と関連づけられているそうで、1作目であるサスペリアは、スペルから見るにMater Suspiriorum=嘆息の貴婦人のことでしょう。蛆虫を崇める偶像崇拝者を養育しろと言われいるので、あのような偶像崇拝の新興宗教の話になったのでしょうか。
全貌は、ダリオ・アルジェントの魔女三部作を全部見ないとわからなさそう。怖いの苦手だから悩む。
第二部は、初恋の話やオックスフォード時代の話など雑多な回想。
あと余談ですが解説によると、本書の二年後に発表された『嵐が丘』、ブロンテ家ではこのクインシーの「深き淵よりの嘆息」が掲載されていた「ブラックウッズ・マガジン」を定期購読していたので、ヒースクリフのセリフに本書からの影響が見られるという。本書にある「向うが戻って来ないなら、それもよし。ならば、こちらから向うに出掛けて行けばよいではないか(80頁)」という部分。簡単に言うと、死んだ人は戻ってこれないんだから、会いたければこっちも死ぬしかない、ということ。嵐が丘を再読することがあれば確認してみたい。
※収録
第一部(幼少年期の悲痛/重ね書きした羊皮紙写本/レヴァナとわれらの悲しみの貴婦人たち/ブロッケン山の幻影/第一部の終楽章―サヴァンナ・ラ・マール)第二部詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『阿片常用者の告白』は青春の1冊なんですけど、続編なんてあったんですね!
夢想は大事。
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