オルノーコ;美しい浮気女 (岩波文庫)

  • 岩波書店 (1988年2月16日発売)
3.00
  • (0)
  • (2)
  • (6)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 62
感想 : 6
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (269ページ) / ISBN・EAN: 9784003227114

みんなの感想まとめ

恋愛や道徳、社会の欺瞞をテーマにした物語が描かれています。作品では、清教徒革命後のイギリス社会における女性の役割や、彼女たちが持つ美貌の影響が鋭く論じられています。特に『美しい浮気女』では、魅力的な女...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 夏目漱石の「三四郎」に登場していたこと、また白人が書いた初めての「黒人が主人公である小説(「オルノーコ」と「美しい浮気女」は別の物語で、黒人が主人公であるのは「オルノーコ」の方)」であることから興味を持ち、手に取った作品。
    相当読みにくいであろうことを予想していたのだがそれほどではなかった。もったいつけた言い回しや、短い文章を句読点で区切って繋げて長文にする手法は、解説にもあるように作者の個性として受け入れられるレベル。小説というよりは聖書を読んでいるような気持ちにさせられた(内容としてではなく文体として)。
    黒人が主人公の小説ではあるが、当時の奴隷制度や黒人差別に対して、先立って異を唱える先駆者的なものではない。主人公の容姿が「黒人にはあるまじき」美しさだと強調されている部分など、黒人差別が如実に(自然に)表れているように思えるし、なにより主人公自身が奴隷の売買に関わっており、それを悔いる描写もない。「オルノーコ」「美しい浮気女」両編ともに輝かしい美貌を備えた登場人物がこれでもかと出てくるところなど、ロマンスというか大衆的というか、とにかく「娯楽小説」の分類ではないかと思う。特に「オルノーコ」はロマンスもあり、英雄譚もあり(というかごちゃ混ぜ)、予見し得ない展開で読者を飽きさせることはないが、構成に破綻や矛盾が度々見受けられ、まさに「上・中流階級が無聊を慰めるべく片手間に手に取る本」といった印象か拭えない。
    ただ、当時の世界情勢において、奴隷制度や人種というものが世間にどのように受け取られていたのか、また宗教や貞操などに関した一般的な価値観は、ということを考える点にあたり、十分に価値あるものだと思う。

  • 英文学史上最初の女性職業作家の作品。『美しい浮気女』私利私欲まみれで攻撃的な美女ミランダ。彼女に関わる男は利用されはめられ皆不幸になるが、なぜか皆素直でいい男ばかり。ちょっと嫉妬してしまった。『オルノーコ』。アフリカの王子オルノーコ。愛したイモインダを父に奪われるわ、奴隷として売られるわ、奴隷としてイモインダと再会し、短くも濃い愛の時間を過ごせたのもつかの間、結末は非常につらく悲しい。気高く誠実な王子がキリスト教に改宗したが身も心も染まり切らないところも印象に残った。2作の取り合わせで読めたのも良かった。

  •  
    ── ベイン/土井 治・訳《オルノーコ Oroonoko 美しい浮気女 1688 1988‥‥ 岩波文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003227115
     
    ♀Behn, Aphra 作家 1640‥‥ England 16890416 49 /英国初の女性職業劇作家
    …… 夏目 漱石《三四郎》にアフラ・ベン(ベーン)の名が出てくる。
    (武田 邦彦)
     
    (20220424 )
     

  • 『美しい浮気女』…イギリスにおいて、美しい容貌を持った浅ましい女が、その美貌をもって男を魅了し、自らの私利私欲と欲望を満たそうとしたことでその周囲を不幸にしていく。
    美しいことは罪ではない。しかし、そうした女性が持つ魔力に対する恐れや、淫らさについての危険をこの作品は説いているように感じた。

    『オルーノコ~やんごとなき奴隷』…この作品を、『美しい浮気女』のあとに読むと、面白い。
    『美しい浮気女』では、移り気で私利私欲に走る美女が描かれたが、オルーノコ~で描かれる美女イモインダは、貞節であり、自らが決めた男性のみを強く愛した。
    美しい~のほうでは女を中心に、オルーノコ~では主人公を王子オルーノコにし、その勇敢さを描いたのも対称となっている。
    そして、オルーノコでは黒人たちの持つイノセンス性を皮肉に描きつつも称賛しており、当時のイギリス社会の持つ欺瞞や低俗な精神を批判している。

    美しい浮気女にしても、オルーノコにしても、いずれも当時のイギリス社会における問題を取り上げているものであり、
    散文が一つのメディアとして利用されていることを示している。
    文学として、内容や文体はともかくとして、そうした歴史的背景を想像しながら作品を読むことが好きな人には、
    この作品を面白いと感じることができるだろう。

  • >美しい浮気女
    容姿の美しさは、人を少なからず思い上がらせる。男共は美しい女の下に跪き許しを乞う。何をかいわんやである。

全5件中 1 - 5件を表示

アフラ・ベーンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×