透明人間 (岩波文庫 赤276-2)

  • 岩波書店 (1992年6月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (233ページ) / ISBN・EAN: 9784003227626

みんなの感想まとめ

透明人間というテーマは、誰もが一度は夢見たことがある幻想的な体験を描いていますが、物語はその夢が現実にどう影響するかを考察します。主人公の透明人間は、自由を手に入れた一方で、恐怖や孤独に苛まれ、周囲と...

感想・レビュー・書評

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  • 話しには聞いていたが
    始めた読んでみた
    「透明人間を見た‥いや見なかった」
    透明人間になれたら何ができるのか
    誰もが一度は考えたかもしれない
    夢のようなことだけれど
    決して夢では終わらないところが
    現実的
    なんだかせつない

  • 2026/3/19読了(再読)
    再読して、誤解していたと気付いたことが2点。①「人体組織を透明化した場合、網膜細胞まで透明になったら視覚は失われてしまう筈」という“設定ミス”。ところがどっこい、ウェルズ先生はそんな初歩的ミスは犯しておらず、本文中にも、『(鏡の前に立って)霞より薄い網膜の微かな色素だけが見えた』とあったのだ。②透明人間が凶暴化したのは、透明化の副作用によるものだと思っていたこと。透明化する際、身体的にかなりしんどい目に遭うようだが、副作用というより、透明人間になった男、グリフィンの人間性の問題だった(悪びれもせず、己のクズな行いを滔々と語っている所とか、こいつ相当なサイコパスですわ)。そもそも、グリフィンという名前がありながら、作中はほぼ『透明人間』で通されている所からして、「人間じゃない」判定をされてしまっているように思える。夢のような能力・技術を手に入れても使い方を誤れば破滅を招く。“能力・技術”のところに、尤もらしい科学的な説明がくっ付いただけで、お伽噺の昔から連綿と続くテーマだと思った。

  • 「透明人間になりたい」。誰もが一度ならず思ったことがあるだろう。透明になって、あんなことやこんなことをしたい、と。透明になったら困ることがあるとは、考えもしなかった。

    ウェルズの描く透明人間は、各地で騒ぎを引き起こす。逃げ惑う市民たち。見えない者を追う警官。存在がバレそうになると容赦なく暴力を振るう透明人間。繰り広げられるドタバタ劇と、透明人間の身の上話に引き込まれ、一気に読了。

    偉大な発見をするために研究に没頭し、財産どころか姿まで失い、挙句の果てに友人にも裏切られた透明人間にちょっぴり同情した。

  • SF の名作。さすがのストーリー。展開がややゆっくりに感じるが、細部も書き込まれていて、当時の様子がわかって興味深い。
    昔話や空想で「もし透明だったら」と考えると夢がある。しかし、現実的に考え、科学的スパイスで調理して、アナーキズムや革命など時代的な味付けをすればこうなるのかもしれない。透明人間が結構間抜けなところもあり、完全なヒールという感じでもないのが面白かった。

  • 夏向きというより長い間不要不急の外出を控えているこの頃、あらぬ世界に浸れるという、妄想気味の読書がちょっとした支えになっている。
    こんな時透明人間っていいかもと思ったら、読んでいくにつれて、彼は極寒の不幸をしょいこんだようでうすら寒く涼しくなってきた。

    子供の頃、透明人間ってどうしたらなれるの、とたまに考えたことがある。なんだかとても都合がいい面白いことができるではないか。こっそりとあれもこれも。
    ところが読んでびっくり。
    もちろんこの話は、物理の「ブ」から入った方がいいらしいけれど「ブ」のかけらしか知らなければ透明になるのは無理かもしれないな。

    透明になるのに成功したグリフィンがオックスフォードで同級だったケンプ博士に教える。

    物が見えるというのは、物体は光を吸収するか、反射するか、屈折させるか、あるいはこれら全部を一度に行うかだ。もしこれらのどれも行わない時、物体は見えなくなる。


    彼は 様々に物質が透明に見える例を挙げる。屈折率が同じなら物は見えなくなる。水の中のガラスのように、その上人間は、云々。

    三年間頑張って研究を続け、費用がなくなると父親が借りていた金を盗みそのために父親が死んでも気にかけず、ついに成功したのだ。
    事実見えないのだから、ケンプも信じて彼を保護した。

    透明になったグリフィンだが、よく知られているように包帯で顔を隠し、帽子にコートでロンドン郊外の駅に降りた。
    宿をとったが食事中も服を着たまま、宿の女将の不審を招く。金もない。こっそり盗んでくるが、透明人間だということは何かの折に知られてしまう。秘密を知られた泥棒には研究ノートを盗まれてしまう。

    身を護るためということだが、さんざん暴れまわり、追っ手を殴り追い詰められる。
    身体は透明でもなかなか不便なもので、お腹は空く、冬空の下では体が冷える。休むところがない。

    そこでケンプに助けを求める。この頃には人を殺し盗みを働き追われる身だった。

    ケンプは話を聞き、その残忍性の根拠は、グリフィンの研究を理解できない馬鹿どもの妨害だという身勝手なものだと知る。

    実生活は予想通りにはいかないもので、いくら透明でも痕跡を全て消すことはできない。
    グリフィンは追い詰められる

    最終章 「透明人間狩り」でついに無惨に撲殺され、徐々に姿を現す。

    透明人間というのは全く不便で苦しく辛いものだ。

    冬だったのも不幸だったな。夏なら裸でも過ごせるかも。いやそれだけではないかな。

  • 透明人間であり超人

    「食べる方も控えなくてはならない。特に消化しにくいものはグロテスクにも透けて見えてしまうからだ」。私は、こう告白する透明人間の悩みに、どうしても惹きつけられた。本書の透明人間は、胃の中で消化中の食べ物がしばらくの時間見えてしまう人だった。彼は、科学者とは思えぬほど怪力の持ち主で、動きも俊敏であり、持久力もある。そして破壊的に暴れる。暴れる場面では胃の中で消化されている食べ物の描写はなく、透明な姿だったから、相当な空腹の状態で動いていたはずだ。裸で歩き回り、くしゃみをして風邪をひいていたが、衰弱には至らなかった。相当な免疫力の持ち主だとも思う。彼は、透明人間であると同時に、超人なのである。

  • 透明であることを利用して悪さをするとなると密かに人に気づかれぬよう実行しそうなものだが、今作の透明人間は短気で好戦的なのでわりと派手な乱闘が多い。SF的なものとB級のパニック映画的なシナリオが混在しているのが新鮮な味付けだった。
    そして透明人間であることより、透明人間の思想や思考回路があまりにも傲慢で利己的で、他者の犠牲をいやしょうがないことだったんだからみたいに軽く扱い、それに対して指摘されるとなんで俺が悪く言われなきゃいけないんだというような態度を示す性格があまりにもサイコパスで怖ろしい。
    透明人間にいつ襲われるかわからないということを利用して正義の殺戮を行い恐怖政治を敷くという透明人間の思想はデス・ノートなんかに通ずるものがあるなと思った。

  • 後半がハラハラして一気読みできた。

    にしても、透明人間であるグリフィンの人間性が怖すぎ。狂気!

    グリフィンとは違って、元々善人だった人間がもし透明人間になったら、いったい何をするんだろう。

    戦闘機のステルス性能もそうだけど、何かから潜り抜ける機能は、いい事にこそ使うべき。

  • 小さいときに乱歩の「透明怪人」を読んで以来、気になっていたもの。
    透明人間は意外と好戦的。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/707586

    顔を包帯で巻いた謎の男が村にあらわれ、宿で実験を始めた。
    やがて実験は成功し、彼の体は透明になり消えてしまうが…。
    悪意、憎しみ、恐怖。そして明らかになる透明人間の哀れな過去とは?

  • 物語中盤の透明になる解説が興味深い。今では定番の透明人間ものの古典であるが、光の屈折、吸収、反射からの説明はわかりやすく面白い。

    透明人間の邪悪さは、透明になり犯罪が容易になったことで起こったものとは思えない。もともと人間誰もがもつ暴力性、支配欲の強調だと感じた。

    透明人間に襲われる恐怖は、幽霊よりも怖いかもしれない。

  • 透明人間が駅馬車亭に現れ、クリケット選手亭で暴れるまではドタバタでコミカルな感じ。どこかドリフチック。それが、透明人間がケンプ博士邸を訪問してからクライマックスに至るまでは、スリリングが増しハラハラドキドキの展開。透明人間が語る19世紀のロンドンの活発な雰囲気も興味深いものがあったが、私には大学の同窓でありながら、一方は科学分野の成功者であるケンプ博士と他方は社会の落伍者となった透明人間との格差を感じざるを得なかった。彼が透明人間にならざるを得なかったのもそこにあったのではないかと考えると切ない話である。

  • なぜにここまで、透明人間( グリフィン )を悪者に造形するのだろう。逆に批評テーマとしても興味深いのであった。
    同じ異形の者であっても「 フランケンシュタイン 」のモンスターは、殺人を重ねながらも、哀しみや共感と共に語られる悲劇的存在。一方の透明人間氏は、ほぼ犯罪者扱い。終盤 英国の田舎町の共同体あげて“透明人間狩り”の対象となる。実際、透明人間自身も、悪業を重ね続ける。実父を自殺に追い詰め、ロンドンの下宿先自室を放火。その他、生活・逃亡の為の窃盗、障害事件は数知れない。ちなみに性格は劇しやすい。さらには、終盤、透明人間グリフィンは、恐怖政治による人類支配なる野望を掲げる。同情の余地なき悪者である。透明人間になったことで、人間の奥底に潜む悪の本性が解放された、ということか。
    さて、透明人間の日常のディテールは面白い。素っ裸なので寒さに悩まされ、終始クシャミをしていること。( 自分の足も見えない為 )階段を降りることが難しいこと。また、ロンドンの百貨店に忍び込み、食物や衣服を確保する章も面白い。

  • 透明になる理屈や、透明になった場合の実質的な問題がリアルなのがこの作品の根幹で、そこをしっかり押さえれば、ストーリーはそれほど錬られてなくても、充分なインパクトを後世に残せるんだなという感想を持った。

  • 今読んでも新しい

  • 誰もが一度はなってみたいと思ったことがあるだろう透明人間に実際になってしまった男の話。楽しげな想像ばかりしてしまうが、意外と不便なことが多く、なろほどなーと思いながら楽しく読めた。

  • 透明人間になるのはほとんど男でエロい。

  • タイトルでバラしてるじゃねえか!

  • 宇宙戦争に続いてH.G.ウェルズ2作目。

    むかーしドラマでやってた香取信吾の同名作やハリウッド映画「インビンジブル」などインスピレーションを与えるモチーフ「透明人間」の元と言えるような作品
    こういう古典というか名作的なものもどんどん読んでいこうということで知人から借りて読んでみた

    訳文が新鮮だった
    どういうことかというと
    他の訳を読んでいるわけじゃないけど現在ではあまり使われない表現や言い回しが多かったということだ
    92年第一刷発行ってあるしなあ15年以上前だとこうも変わるものなのか


    あと文体が面白かった
    透明人間であるグリフィンという男の顛末について、語り手がその事件を後から知って調べて報告するという形式なんだけど、ところどころで、アレ、この人、この場に居たんじゃあないのか、と思わせるような書き方もされていて語り手の目線が固定されていないことが分かる
    でも、それがそんなに不自然に感じられなくてすんなりと受け入れることができるのは、作者(というか訳者?)の文章力が凄いということなのだろうか


    内容に関しては、村や町でお金が盗まれたり透明であることがばれそうになって乱暴したり殺人したり(癇癪を起して)と、あまりスケールの大きくない話

    人間が透明であるということよりも透明人間(グリフィン)の独善的な性格が恐ろしい

    だから作者はきっと透明人間という発想を使って、人間の性格の一部分を浮き彫りにしたかったんだと思う


    H.G.ウェルズの他の作品も読みたいなあ

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