船出(上) (岩波文庫)

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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003229125

感想・レビュー・書評

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  • 「つまり問題は、君と本当に話せるか、ということなんだ。君に理性が備わっているのか、それとも他の女性と同じなのか?」
    「(本を貸すのは構わないが)君はその価値がわかるというのかい?(エドワード・)ギボンが試金石だ。女性となると、言い当てるのが非常に難しい。つまり、わからないのは、訓練が欠けているのか、生まれつき無能力だからか、自分には見当がつかない。ただ君がいかに愚かな生活をしてきたかと想像できる。長い列を作ってぞろぞろ歩いてきただけ」即座に頰っぺたつねるぞ。どの口がゆうてるの!

  • 他の人のレビューにあるとおり、ウルフの処女作にしてウルフ要素があれこれ入っている。ダロウェイ夫人が「二度と会わないだろう人」として冒頭に出てくる。
    主人公のレイチェルはウルフ自身ではなく「世間知らずの(矯正されるべきという批判を込めた)若い女性」なんだろうと思ったが、ウルフがこれを書いたのは33歳か。やはり24歳のレイチェルよりは年上。若い女性の恋を19世紀小説ぽく読めてリーダブルではあるが、恋の最中に死んでしまう(まさかね!)ので成長しきらずに終わってしまうのが物足りなくはある。
    相手として、高慢で醜いハーストとイケメン(らしい)ヒューウェット、前者を選んでいたらもっと面白かったのに。
    これはヒューウェットの台詞。「家の中で女性たちはいったい何をしているのか(中略)ぼくらはいつも女性について書いているー罵倒したり、からかったり、あるいは崇め奉って。しかし、女性自身から来る言葉は何もない。」「表に出るのは男の見たこと、考えたことばかり、そうだろう?(中略)血が煮えくり返らないかい?もしぼくが女なら、銃で頭を打ち抜いてやる。きみらも僕らを嘲笑っているんじゃないかい?まったくもってばかげていると思わないかい?」

  • ウルフのスタートって実はジェイン・オースティンだったのか、と。以後の作品のイメージで、もっと新しい作家だと思っていたが、このデビュー作は想像に反して古典の流れを強く汲んでいるように感じた。

  • 感想は下巻で。

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著者プロフィール

1882年―1941年、イキリスのロンドンに生まれる。父レズリーは高名な批評家で、子ども時代から文化的な環境のもとで育つ。兄や兄の友人たちを含む「ブルームズベリー・グループ」と呼ばれる文化集団の一員として青春を過ごし、グループのひとり、レナード・ウルフと結婚。30代なかばで作家デビューし、レナードと出版社「ホガース・プレス」を立ち上げ、「意識の流れ」の手法を使った作品を次々と発表していく。代表作に『ダロウェイ夫人』『灯台へ』『波』など、短篇集に『月曜日か火曜日』『憑かれた家』、評論に『自分ひとりの部屋』などがある。

「2022年 『青と緑 ヴァージニア・ウルフ短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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