狐になった奥様 (岩波文庫)

著者 :
制作 : David Garnett  安藤 貞雄 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 163
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (162ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003229712

作品紹介・あらすじ

テブリック氏の夫人シルヴィアはまだ23歳、立ち居ふるまいは上品で人並みすぐれた美形。いつものように二人は散歩にでかけるが、突然、夫人が狐に変身してしまう。次第に内面も野性化してゆく妻をあくまでも愛しぬこうとする夫…。「一切の批判をよせつけない佳篇」とウエルズに絶賛された、イギリスの作家ガーネットの代表作。

感想・レビュー・書評

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  •  ある日、なぜか、突然きつねになってしまったテブリック夫人。
     はじめは姿こそきつねであっても気品を失わなかった夫人は、やがて内面も獣に変わってゆく。テブリック氏はきつねに変わりゆく夫人をひたすら愛し続ける。はたして、テブリック氏は夫人を愛しているのか。きつねを愛しているのか・・・

     きつねになった夫人に対するもっとも分かりやすい見方は、人を愛するということのむずかしさ、自分と他人の断絶のたとえとして見ることだと思います。テブリック氏は妻を人間のルールに従わせたかっただろうし、きつねになった夫人はテブリック氏をきつねのルールに従わせたかった。

     そんなとき、テブリック氏のもとに夫人を育て上げた乳母が帰ってきますが、それがかえって夫人の変化に拍車をかけてしまいます。

     テブリック氏は変わりゆく夫人に絶望し、ときには八つ当たりしながらも愛し続ける。その結果、テブリック氏は、きつねのルールに理解を示すわけですが、人がきつねのように振る舞おうというのだから滑稽そのもの。けれどそれをあざ笑うことができないのは、愛のもつ盲目さ、悲しさ、美しさなどを見出すことができるからなのかもしれません。

     あるいは、乳母の登場が夫人の変化を進めたことから、女性として上品であるべきだという規範に対する反発が関係しているのではないかとか、夫人は自らきつねとして生きることを早々に決意したのではないかとか、いろいろ考えさせられるところがありました。

  • メタファー?
    寓話?
    とにかく、1922年の資料としてだけ

  • シュール。妻がある日突然狐になり、日に日に人間性を失い動物に近づいていく。夫は、完全に狐になり意思の疎通ができなくなった妻を愛することがやめられず、苦悩する。愛に関する性(さが)。人間を人間たらしめているものは何か。

  • ある日突然妻が狐になってしまった夫の話。
    最初は妻も嘆き出来るだけ人間としての気品を保とうとして、夫もそれを手伝う。
    しかし徐々に妻は狐の精神に侵され、服を嫌がり、生肉を欲し、庭から外に出ようとする。
    ある時夫も耐えきれず妻を森に逃してやり、しばらく後に小狐を産んだ妻と再会する。
    そして。

    狐になったことの理由などは一切無く、状況が与えられてはいどうぞ、という感じ。
    読みどころは変化と葛藤、そして夫の変わらぬ愛、ではなく変わる愛の描写だろう。

  • とても切ないファンタジーでした。いや、これは童話に近いかも。現代のファンタジーやラノベ的なものならばもっともっと書き込み読者の想像力の自由さを支配しようとするが、古い時代の作品らしくアッサリサッパリと書かれてい、そのため想像力が嫌でも掻き立てられ主人公の心情に吸い寄せられてしまう。小説もアニメも絵画もそうだが、受け手に想像する余白を残してくれている作品の方が好きだ。

  • 変身譚。面妖な説だが、実話を基にしているという噂さえある。一度読んでおいて損はない。 029 図書館本

  • 変身譚というものは昔からあり、好きな作品が多いので、チェックしていたつもりだったが、これは見落としていた。岩波文庫だけど、読みやすく、非常に面白い。変身譚で素晴らしいものは色んな読み方ができるものだ。ヨーロッパは、人間が動物になるパターンが多く、これもそうだが、人間に戻らないのは、昔話とは違い、近代以降の人間の有り様を描こうとする作家ならでは。カフカの「変身」と似ているが、これは変身した人間の心情の直接描写はなく、妻がいきなり狐に変わってしまった夫の心情を描いている。
    男と女の理解しあえない様子、解き放たれた女の生き生きとした、かつ得体の知れない姿、不貞を受け入れる心情を描いて、尚且つ純愛小説になっている。
    結婚する前に男性は読むといいかも。
    夫婦の幸せとは何か、考えさせられる。
    女が自由に生きる難しさも。

  • 河合隼雄推薦の書。突然妻が狐に変身。夫は、徐々に野性化するのを苦悩する。2015.7.7

  • 【本の内容】
    テブリック氏の夫人シルヴィアはまだ23歳、立ち居ふるまいは上品で人並みすぐれた美形。
    いつものように二人は散歩にでかけるが、突然、夫人が狐に変身してしまう。
    次第に内面も野性化してゆく妻をあくまでも愛しぬこうとする夫…。
    「一切の批判をよせつけない佳篇」とウエルズに絶賛された、イギリスの作家ガーネットの代表作。

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    [ 参考となる書評 ]

  • 奥様の好きだった朗読をしてあげたテブリック氏、でも気づくと狐になった奥様は鳥籠の鳩を凝視。でも、これはギャグじゃないよ。最後まで気も狂わんばかりに奥様を愛そうとする物語。
    ああ、獣。獣とのじゃれあい。
    正月休みに実家の猫との距離感を1ミリも縮められなかったわたしは、この獣のしぐさや愛嬌に、少し慰められたのでした。

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