- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003229712
感想・レビュー・書評
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紀伊國屋書店の本のまくらフェアで出会った一冊。面白かったです。
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ある日突然、妻が狐になってしまう。
妻の狐は、だんだんと内なる野生に目覚めていき中身もどんどんと狐になっていく。
と、言うとカフカの変身っぽいのだけど、
違うのは、主人公である夫のテブリック氏がもう情けないほど
一途でぐずぐずで妻のこと愛しちゃってもうたまらないところ。
妻のシルヴィア=狐、は、まあ本当はどう思っていたのかはわからないけど
状況にけっこうするすると順応していって、狐ライフを満喫したと思う。
とにかく、もうテブリック氏が、可愛い。そして、かわいそう。
不条理でもなく悲劇でもなく、何かなごなごしてしまったお話。
ほんのまくらフェア・三冊目 -
中島敦「山川記」からの、ガーネット
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ブルームズベリーの人らしい。おもしろいのもあるんだな!
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予想外の展開でしたがその容赦の無さがいい
甘い夢をめためたにしてくれました -
カフカの変身を思わせる作品。だが決定的に違うのは、変身したのは主人公ではないこと、主人公が狐になってしまった妻を愛していること、また妻の本能がどんどん人間であった頃を忘れていく点だ。相対するようで面白い。ラストは、結局はこういう終わり方しかできないんだな、と思う。ハッピーエンドは事実(現実)のみでなければ軽々しい作品になってしまうというか。一命を取り留めた主人公と子狐たちはその後どういう関係になったのか、ちょっと興味ある。
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なんでそのようなことにいつまでも執着するのかと他人は思う。
なんでそのようなことを幸せに思うのかと他人は思う。
何が人の幸せなのか、よく分からなくなる。 -
結構おもしろかったよ、そんな感想を言いそうです。この本を題材にして談話するなら、もっとおもしろいのでしょうけど、読んだだけではおもしろさに欠けてしまうような気がします。この本を読んだだれかと意見交換してみたくなります。
狐という動物がどう思われているのかわかっていれば、よりおもしろく読めたのかもしれません。p95に、『あらゆる国、あらゆる時代に、あらゆる人種のあいだで、欺瞞と奸智と狡猾さで知られる狐とこうくらしていながら』と記述されているように、狐がすくなからずも卑しい存在であるのなら、純真な妻が狐になったことなど、耐えられないことなのでしょう。
次第に、というよりもすぐに野生化していく奥様を愛し続けるなんて、正気の沙汰ではありません。確かに、狐になってからも人間らしい様子をちらほら見せるのですが、あまりにも野生化した様子が多すぎます。それでも、妻が絶命する描写には心打たれてしまいました。だって、元は人間だったのですから。
2008.11.16. 23:03 自室にて読了 -
佐藤亜紀さんの狼になってしまう男爵のお話を読んだ後で、
似たような話だなーと思って借りてきた本。
こっちは奥さんの方が狐になってしまうのだけど、
メインは夫婦愛に尽きます!
旦那さんが奥さんを信じて、世間から冷たい眼を向けられても、
愛し抜く姿がすごいです。