- 本 ・本 (381ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003230312
感想・レビュー・書評
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絶えずあなたを何者かに変えようとする世界の中で、自分らしくあり続けること。
恐怖は常に無知から生ずる。恐れていることを実際にやってみれば、恐怖心は跡形もなく消え失せる。
同じことを知る人たちは、もはや互いに最良の友ではない。
民主主義者は若い保守主義者であり、保守主義者は老いた民主主義者である。『代表的人物』
ラルフ・ワルドー・エマソン。思想家。
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衣服も友人も、むやみに新しいものを求め、かえって面倒を背負い込んでないか。旧き良き物に繰り返し親しみ、古き良き友人を大切にせよ。物事はそう変わらない。変わるのは自分だ。▼自分の部屋にひとりでいる時より、外で他人の間に交っている時に寂しさを意識する。▼書物はそれが書かれたときと同じように思慮深く、注意深く読まれなくてはならない。▼忙しいだけでは十分ではない。問題は何が忙しいかである。▼熱意を失った人ほど、年老いた人はいない。▼腐敗した善から立ち昇る悪臭ほど胸の悪くなるものはない。▼貧しくても、生活を愛したまえ。ヘンリー・デイヴィッド・ソロー『森の生活』1854
不快な騒音も、遠く離れて聞けば音楽かと思われる。ヘンリー・デイヴィッド・ソロー詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『エマソン論文集』上巻(酒本雅之訳、岩波文庫)を読む。恥ずかしながら、エマソンの著作を読んだのは初めてである。
この巻に収録されている「自己信頼(Self-Reliance)」が読みたかったので、手をのばしてみたもの。ほかの収録作(「自然」「償い」「主の晩餐」など)にもいちおう全部目を通したが、正直よくわからなかった。
「自己信頼」はオバマ大統領の座右の書にして、ニーチェやソロー、福沢諭吉や宮沢賢治にも影響を与えた「自己啓発書の元祖」……なのだそうだ。
論文というより、詩的な哲学エッセイという印象。最近、より平易な新訳も出ているが、この岩波文庫版の訳は格調高くていい感じだ。
心に残った一節を引く。これは、「自己信頼」で最も名高いくだりでもある。
《わたしの家の窓のしたに咲くばらは、むかしのばらや、もっと美しいばらをいちいち参照したりはしない。このばらはこのばらとして咲いているのであり、きょう神とともにここにいるのだ。
このばらにとって時間などはない。ただばらというものがあるだけだ。この世にある一瞬一瞬に完璧なばらというものがあるだけだ。葉の芽が萌え出ぬうちに、すでにばらのいのちはあますところなく活動していて、満開の花に多いとか、葉のつかぬ根に少ないということはない。
あらゆる瞬間に変わることなく、ばらの本性は満たされており、みずからも自然を満足させている。
ところが人間は延期したり思い返したりする。現在に生きないで、目を背後に向けて過去を嘆き、あるいは自分をとりまく富には気づかずに、未来を予見しようと爪先立ったりする。
人間も、時間を越え、現在のさなかに自然とともに生きるのでなければ、幸福になることも強くなることもできない。 (改行・行あけは引用者)》 -
なんでもそうだが、一見わかりやすそうに見えるものでも、じっくり考えてみるとなかなか複雑な側面が見えてくることがある。これもそんな感じ。エマソンの思想=トランセンデンタリズムに関してはこの本を読めばよくわかる。まったく奇妙な思想だ。ではなぜそのような思想を作り上げなければならなかったのか、そしてなぜ奇妙だと感じ、そのことが思想にどのような歪みをきたしているのか、ということを考え始めると、難しい。ううむ。
著者プロフィール
ラルフ・ウォルドー・エマソンの作品





