黒猫/モルグ街の殺人事件 (岩波文庫 赤 306-1)

著者 :
制作 : 中野 好夫 
  • 岩波書店
3.68
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本棚登録 : 316
レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003230619

感想・レビュー・書評

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  • 十数年ぶりに再読した「黒猫」。今回は笑ってしまった。男は飼い猫を虐殺するが、そっくりの黒猫が現れ、恐ろしげな気配と行動で、男をじわじわと追い詰めてゆく。
    「…悪夢にうなされて、目をさます。そして気がついてみると、彼奴の熱い吐息が、私の顔にかかり― あの恐ろしい体重― /私の心臓にのしかかっているのだ!」。(笑)
    つまり、夜更けに、気づくと胸の上に猫が乗っかっていたのだ!…という一場面だ。猫ならではの愛らしい行動を、逆説的に恐怖として描いているやに思われ、失笑したのだ。3年程前から、猫と一緒に暮らしていて、猫のそういう愛らしさを身近に感じているためかもしれない。

    「ウィリアム・ウィルソン」は云わばドッペルゲンガー奇譚で、自分自身に追い詰められてゆく男の話。
    「盗まれた手紙」は、手紙の隠し場所を巡る推理。
    などなど、この文庫では、人間心理の機制、心理の深淵、をサブテーマに集めてある模様。

  • 「黒猫」を読んだ時に実によく構成された小説だなと思った記憶がある。
    また「モルグ街の殺人事件」は昔母親が大学の時に、これを原文で読まされたらしく、つまらなかったという話になった。よくよく聞くとどうもこの短編の最初に、哲学的な話が繰り広げられるのだが、そこだけ切り取って読まされたようである。
    確かにそこだけ切り取られてもなあ。
    名文は名文だが。。

  • なにぶんにも訳が古い。。。。特に漢字で表現されているものが実際何なのかさっぱり分からないものが一つや二つだけでない。

    ただその古さが幸いにして、「黒猫」、「ウイリアム・ウィルソン」、「裏切る心臓」、「天邪鬼」において、つまり殺人の独白作品では、却ってその狂気が増幅されるというプラス面もある。

    「モルグ街の殺人事件」、「マリ・ロジェエの迷宮事件」、「盗まれた手紙」はまさにシャーロックホームズそのもの。まさかパクったか?と思って調べてみると、ポオの方がコナン・ドイルよりも50年も前に生まれているのですね。。。。さて、コナン先生、ポオの作品から着想を得たのでしょうか?

  • これはなかなかに面白かったですねぇ…古い作品だのに色褪せていないというか、現代人にも通じる精神世界?を描いているように思いました…。

    作者もなんだか波乱万丈な人生を送られたようで…それは解説に書いてあるのですけれどもまあ、孤独な人生だったっぽいですねぇ…晩年にはすっかりアル中になってしまったようで…昔もこんな人が居たんですねぇ…という感じですかな。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    ウィリアムウィルソン?とかいう短編が面白かったですかねぇ…単なるミステリではなく、人間の暗部やら深部やらに迫っている感じが良かったです。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    他にも作品があるのなら読んでみたくなりましたねぇ…後はまあ、乱歩さんも影響を受けた作家さんであって、なんとなく乱歩が書きそうなお話だな、とも思いましたかねぇ…さようなら。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • この推理小説、言わず知れた著者の作品集です。
    しかも、有名どころがたくさんあり読み答えがあります。

  • ★★★2017年6月レビュー★★★


    探偵小説の先駆けともいえる、エドガー・アラン・ポー。
    「黒猫」「モルグ街の殺人」など。
    名探偵デュパンの活躍する「モルグ街の殺人」のラストは衝撃的だった。
    何故誰も気づかない?というのがまず第一。
    そして、ペットのオランウータンが人を二人も殺したのに、飼い主には何のお咎めもなし、というのが驚きだ。むしろ同情されている感がある。時代と国が違えば価値観も違うものだ。

  • 「黒猫」
    子どもの頃、何で知ったのか忘れたが、「黒猫が横切ると不幸なことが起こる」という科学的根拠も何もないいわゆる「迷信」を聞かされたことがある。他には「靴紐が切れると…」というのもあった。今でこそそんなことは信じていないが、昔は友達同士ふざけあっていたような気がする。
    さて、表題にされているように短編「黒猫」にも黒猫が出てくる。あらかじめ言っておくと白猫は出てこない。
    語り手である「私」は心の優しい性格で、動物好き。小鳥、金魚、うさぎ、まだあるが割愛して、猫を1匹飼っていた。その猫は全身真っ黒の非常に大きな猫、名は「プルートゥ」。最初のうちこそ可愛がっていたものの、「私」の悪癖である酒乱によって黒猫に虐待を加えるようになる。眼をくりぬき、あげくには首に縄をかけて木の枝につるすというまさに狂気としか言いようがない行動を起こす。その晩、「私」の家が原因不明の火事になる。奇妙なことに、寝台の頭近くの壁だけが焼け崩れておらず、そのかわりに巨大な猫の形が薄肉彫りのように現れていた。首のところにはしっかりと縄の跡がついていた。
    恐怖と後悔の念に襲われていた「私」はある店で、「プルートゥ」そっくりの黒猫を見つけて買う。しかし、またもや黒猫に対して憎悪を抱くようになり、手斧を振り上げて殺そうとしたが、それを阻止した妻を殺してしまう。妻の死体を地下室の壁に塗りこめる。数日経ってから警官がやってきたが、殺人の証拠を何も発見できず引き上げていこうとする様子を見た「私」は気分が高揚し、死体が塗りこめられている壁を杖で叩いて、「いやー実に頑丈な造りになってましてなあ」と余裕の勝利宣言というか完全なる墓穴を掘ったわけだが、そのとき壁の中から猫の鳴き声が。「私」は猫をも壁の中に塗りこめていたのだった。
    この話の最初のほうでポオは「天邪鬼」の精神について触れている。

    「だが、天邪鬼こそは、人の心の最も原始的衝動の一つ、(…)してはならぬという、ただその理由だけで、人はいかにしばしば悪事、愚行を犯していることだろうか。」(p.9 4-7)

    「私」は3つの悪事、愚行を犯している。「飲酒」、「虐待」、そして「殺人」。
    作品の主題を最初に提示することで、確かに「私」の犯したことは(「飲酒」は例外としても)残虐なことであるが、どこか滑稽じみているようにも見える。
    「あーだめだこりゃ」と呆れながら読むという感じ。そのため、結末をに差し掛かったときに恐怖というよりは、口の端が少し持ち上がったように記憶している。「ふっ」と笑ったようだった。
    一見相反する「ホラー」と「滑稽さ」という要素を合わせた物語をわずか20ページ弱という分量で書ききっている。無駄のない創作、これぞまさしくポオだということを感じることができると思う。

  • 2015/3/31読了。
    数学的アヘンというものを味わいたくて購入。
    内容というよりは文章に何か依存性を感じるような印象(訳者の書く文章がそうさせるのかもしれないが)

    原文で読むとどうなのだろうか。もし原文でもそういった印象を受けるとしたらポオの素晴らしさとともに訳者もまた素晴らしいということになりそう。

    『マリ・ロジェエ〜』はまだるっこしくてダメだった。

  • 「モルグ街の殺人」は推理小説のさきがけとして知られるが、「黒猫」での「私」の使い方はまるで叙述トリックの萌芽のようだった。
    それにもしても日本での化政文化(直後)期の作品とは思えないほど今読んでも前衛的。まだ推理小説というジャンルが確立する前の作品だからでしょうか、まるでアンチミステリの雰囲気がある。

  • 探偵小説のはしり。耽美的側面がある。

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