対訳 ディキンソン詩集―アメリカ詩人選〈3〉 (岩波文庫)

制作 : 亀井 俊介 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 286
レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003231012

作品紹介・あらすじ

生前、わずか10篇の詩を発表しただけで、無名のまま生涯を終えたエミリー・ディキンソン(1830‐86)。没後発見された千数百篇にのぼる作品により、アメリカの生んだ最もすぐれた詩人の一人に数えられるにいたったディキンソンの傑作50篇を精選。「夢をはらむ孤独者」の小さくて大きな詩の世界を堪能できる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 「今日から地球人」がとてもとてもよかったので、そのなかに出てきたエミリー・ディキンソンの詩を読んでみよう!と。
     うーん、わたしには難しかった。。。
    対訳で、英語と日本語、プラス解説があるんだけど、解説があるのでやっとなんとなく意味するところがわかるような、という感じ。解説なかったら、まったくなんのこっちゃ?だったかもしれない。この詩がすばらしいのかどうなのか、ほかの詩人の詩と比べてどうなのか、とか、わたしにはさっぱりわからないのかも。。。(泣)
    エミリー・ディキンソンの詩も小説のなかで、引用されていたり、話に出てきたりすると、いいなと思うのだけれど。
     
     でも、解説のおかげで、エミリー・ディキンソンがどんな人だったのかということはけっこうわかった気になっている。
     共感できるというか、親しみがわいた、というか。

  • デュラスの『エミリー・L』の世界を旅する詩人が、この孤独なひとりの詩人を下地にしてゐることを知り、呼び寄せた。
    別に英語に特段詳しいといふこともないから、読み方もしらなければ、単語もよく知らぬ。ましてや文法など余計に知らぬ。けれど、このひとが、はるか遠い世界まで思考し、それをつぶやくやうにおずおずと書きとめたのかはわかる。
    生涯のほとんどを自宅から離れず過ごしたといふ。しかし、彼女の心のなんと自由なことか。一滴の水から、川は流れ陸を貫き、大海へと至る。彼女の精神は大陸を流れる。さうかと思へば、空高く、どこまでも光を求め、手を伸ばす。すると、今度は地中深く堕ちてゆき、静かに眠る。縦横無尽に世界の隅々まで駆け巡る。
    生きること、死ぬこと、おそらく彼女はひとつの同じことだと看破した。だからこそ、信仰が信仰であることの本質も見抜いてしまつた。きつと叫び声をあげてしまひたくなつたこともあるだらう。ところが、書くことに賭けて、決して彼女は叫ぶことはない。多用される―が示すやうに、声にならないものだけが、力なく漂ふ。まるで伸ばした手が何にも届かず、そつと胸にあてられるやうな。
    書きながら、彼女はかなり迷つてゐたのではないか。表現云々ではなく、書くことでことばになることで生じる痛みに。出版などもつての他、できるなら誰の目にもふれずしまつておきたかつたのだと思ふ。しかし、書かなかつたり、処分できなかつたりしたのは、生れてきてしまつたものを、殺すことが彼女にはできなかつたからではないか。思考の止まる場所、自身の死をどこまでも書きつづけたのは、それだけ、それこそ旅など必要ないほどに、ことばの、生命の躍動の中で生きてゐたからに他ならない。
    天国にしろ、冷たい墓の中にしろ、もうひとつの世界にしろ、そこに辿り着けるなら彼女はどれほど渇望してゐたことか。しかし、辿り着くには、どんなに考へても生きてゐる限り決して届かない。死が隔絶した何かであることを知つてしまつた。そして、死ねなかつた。生きることしか彼女にはできなかつた。それが彼女のどこか不器用なつぶやきだつたのだと思ふ。

  • 映画『静かなる情熱』を鑑賞した際に岩波ホールにて購入。同じころ買ったプレヴェール詩集と並行してちょっとずつ読み進めてきた。俗世にまみれた都市の詩人プレヴェールの詩が開かれた詩だとすれば、自然を歌った孤高の詩人ディキンソンの詩は閉ざされた詩。どちらかと言えばプレヴェールのほうが好みなんだけども、かといって、ディキンソンの詩の世界が狭いわけでは断じてなく、それどころか、閉じているがゆえに奥に向かって無限の広がりを見せるのだ。映画での恐ろしすぎる闘病シーンのイメージが強すぎて勘違いしそうになったが、彼女がまだ病気を得る前、30代の頃から、死を身近に感じ、まるで死が親しい友達であるかのようにうたっているのには驚いた。信仰や名声といったものに対する感受性も独特で何度かはっとさせられた。あと、虫や草などのちいさな有機物に注ぐ慈愛に満ちているようでちょっと毒のある、どこか共犯者めいたまなざし。すごい。映画を観ることで、ディキンソンが暮らした自然の風景やまとっていた服なんかをありありと思い浮かべながら読めたのはよかったけど、実は映画は事実とはだいぶ違っていたみたいで、余計な先入観ができてしまったのはちょっと残念かも。今も私の脳内では、シンシア・ニクソンが複雑な笑みをたたえている。あと、これからは詩集を読むときは付箋を用意して、気に入った詩をあとから気軽に読み返せるようにしたい。あとの祭りだけども。

  • 映画鑑賞の下準備

  • 英文学の講義で作者を知り購入。のびのびしたもの、暗いもの、それぞれに美しい。

  • 今回の課題書に思いのほかたくさん引かれていたので、あらためて買って読んでみた。

    アメリカの教養ある文章での引用では、エマーソンやホイットマンとならび、トップ3くらいには軽くくる人物だというのは何となく知っていたが、英文学を修めたかたによると、「イギリス人が唯一認めるアメリカの詩人」だという。平易かつ知的な語彙で、目に見えない何かに向かう心情をつづった詩は、わかりやすいとはいえないところもあるが、印象的なフレーズも多く、つい何篇も読みたくなってしまう。

    彼女の生涯を追うと、高い教育を受け、匿名で作品を発表し続けたことなど、ジェイン・オースティンと通じる点が多いように思う。もちろん、今日まで高い評価を受け続けている点でも同じ。

    この文庫についていえば、対訳と脚注つきの収録作品50篇と、参考書っぽい雰囲気をたたえているので、受験勉強を思い出して遠ざける向きもあるかも知れない。でも、外国語の詩は翻訳ではなく原文の表記や響きを味わうことも醍醐味のひとつなので、手とり足とりの丁寧な翻訳や構成よりも、こういう直球で味わえる体裁のほうがいいと思う。

    気分的には☆5つの本だけれど、自分が探していた詩が少々抜けていたので☆ひとつ引きます。ちょっとごめんなさい。

  • 亀井俊介 編「対訳 ディキンソン詩集」赤310-1 岩波文庫

    初めて詩集を読んでみました。

    編者によって選定された50篇のなかで、特に印象的だった詩は下記の6篇でした。

    ‘I like a look of Agnoy,’
    (わたしは苦悶の表情が好き)

    ‘This was a PoetーIt is That’
    (これが詩人というものー詩人とは)

    ‘The Poets light but Lampsー’
    (詩人はランプに火をともすだけー)

    ‘Tell all the Truth but tell it slantー’
    (真実をそっくり語りなさい、しかし斜めに語りなさいー)

    ‘A word is dead’
    (ことばは死んだ)

    ‘The Heart has many Doorsー’
    (心にはたくさんのドアがありますー)

    生涯孤独で、人生の半分以上を引きこもっていた彼女の詩について訳者のまえがきではこう述べられています。

    『孤独で、頼りなげだが、ぎりぎりのところで無類の硬質さを示している。そして、外見だけ派手な「金めっき」文化の中で、いわばダイヤモンドの輝きを発するのだ。』

    何も考えずにパラパラと読み、引っかかったものについてはじっくりと読みました。

  • 何気なく本屋で手に取った詩集。
    一瞬で好きになった。
    心の底から好きといえる詩集。
    詩が良いとか悪いとかそういう次元では無い。
    この詩集だけは特別。
    これは恋なのかもしれない。
    この詩集を開く度に恋に似た感情が湧いてきてしまう。
    この感情を喪いたくないないから、心が欲した時だけ、そっと開く。
    せつない恋心。片思い。

  • 左ページに英文が、右ページ和訳が載っており、下部に単語ごとの詳細な解説と詩全体が記載されている。和訳を楽しみながらも、左ページで原文に触れられる形式になっている。
    和訳ページだけではエミリーディキンソンの声を聞くことは難しいかもしれない。今までにエミリディキンソンの詩集や解説を見たことがない人には取っつきにくいものが散見される。自分もその中の一人であった。和訳をただ単調に読み進めたのなら読まないことと同じであり、文字を追ったという事実しか残らないだろう。しかし、原文を読むにしてもある程度の語力が必要となる。そんな人たちのための下部の解説であろう。
    解説を読めば詩の内容はもちろんのことエミリディキンソンという人物についても深く知ることが出来る。そして、徐々に彼女の詩の読み方を理解できるように変わっていくことが出来るのだ。

  • 比較的短い詩が多く読みやすい。詩はロマンチックでありながらどこか人間への冷めた意識を忘れていない言葉の数々が大変快い。

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